――実写化となったときに染谷将太さん・松山ケンイチさんを選ばれたのは何故ですか。

 

福田：この二人しかいないと思ったんです。最初の打ち合わせから言っていた記憶があります。めっちゃ似ているじゃないですか、二人とも。

 

――イエスはともかく、ブッダもあのままなんだと思いました。染谷さんがこんなにハマるんだとビックリしました。

 

福田：「勇者ヨシヒコ」シリーズの経験があるので自信がありました。二人とご一緒するのは念願だったので、オファーをうけていただけて嬉しかったです。

 

――なぜ今作のオファーをしようと思われたのですか。

 

福田：映画『デスノート』のスピンオフ作品『L change the WorLd』に出ているLと一緒に行動するBOY役の福田響志は僕の息子なんです。1度だけ撮影の引率に僕が行くことがあったんですが、その時にお話をさせていただいて素の松山さんに触れられたのが新鮮で、その時さらに大好きになってしまってずっと追いかけていました。

 

――染谷さんは。

 

福田：映画『寄生獣』を観て大ファンになってしまって。一時期、「染谷将太が主演じゃないとやらないです。」と言っていた時期があったくらいです。

 

――どちらも福田監督作品の空気感とは反対側ですね。

 

福田：合うだろうという自信はありました。実写をやるとなったときに一人でホリプロに交渉しにいきましたから。

 

――凄い熱量ですね。それがドラマだけでなく映画にまでなっていますから。

 

福田：本当に嬉しいことです。

 

――松山さん・染谷さんはドラマからですが、映画から参加された方も多くいらっしゃいます。この独特な世界観をどのように共有されたのですか。

 

福田：中村光ワールドというより福田組の空気感を遊ぼうと思ってきてくれた役者さんばかりだったので「どうぞ、好きにやってください。」という感じです。

 

――劇中のみなさんの遊んでいる感はスクリーンから伝わってきました。

 

福田：誰も言うこと聞いてくれなかったです（笑）。「監督どうしましょうか。」と全く聞かれなくて、本当に遊んでいる感じでした。

 

――全編アドリブに近い雰囲気だったんですね。

 

福田：そうでした。賀来賢人さんは「シーンによって全然しゃべり方が違ってすみませんでした。」って。凄かったです。

――この大人数をそれだけ自由にさせても作品としてまとめ上げるのは凄いです。

 

福田：そんなことないです。次から次へと面白く来てくれる方ばかりだったので、撮影は毎日ワクワクと楽しんでいるだけでした。唯一、聞かれたのが神木隆之介さんから「ヨハネはボケですか。ツッコミですか。」だけです。即答で「ボケです。」と答えて、出してくれたものがあれでした。

 

――神木さんの極まっている感が最高でした。それを受けてのミカエルも良かったです。

 

福田：岩田剛典さんも楽しんでいましたね。今までの僕の作品では押さえてくれていたみたいなんですけど「遊ぶならこの作品だ。」と思ってくれたみたいです。

 

――本当に年齢関係なく楽しめる、ファミリーで観に行ける作品ですね。

 

福田：こういう作品も無いとダメだと思います。笑いは本当に難しいです。「泣くのツボは4パターンくらいしかないけど、笑いのツボは千差万別。笑いのものを撮るのは本当に難しいんだよねって。」言われたことがありますが、本当にそうだと思います。

 

――変な撮り方すると怖くなってしまう部分もありますから。ホラーの作家さんが笑いのセンスを持っていることも珍しくないです。

 

福田：表裏一体なんです。

 

――そこを陽の気のまま突き抜けているのが素晴らしいです。

 

福田：ここまで振り切ったコメディは久しぶりなので大変でした。

――個人的には特撮のシーンをあの聖地で撮っていただけたのは嬉しかったです。

 

福田：僕もあそこに行けたとき感動しました。ニチアサというテーマなら行かないと。

 

――本当にノンストップでいろいろなことが起きるので、頭がついて行くのが大変な部分もありました。山田さんはこんな役かよって。

 

福田：あれはご本人の希望です（笑）。この役か布団の声を希望されていました。

 

――布団の声もズルくないですか。

 

福田：ズルいです（笑）。

 

――冒頭に軽い振りがあって、緒方恵美さんが布団の声を充てている。椅子から落ちそうになりました。

 

福田：またご一緒したいとは思っていましたが、こんなに少ないシーンだし無理だろうと捨て身でお願いをしたらまさか快諾いただけて。

 

――本当に捨て所がなかったです。

 

福田：随所に細かい笑いを散りばめています。梵天役の加賀賢人さんがあんな芝居すると思わないです。

 

――どのキャラも想像つかないです。

 

福田：確かに（笑）。弁才天役の白石麻衣さんも素晴らしくて、あんな芝居をしてくれると思ってもみなかったです。今回の弁才天が本当に良かったかので『アンダーニンジャ』にもお呼びして、2作連続で出ていただきました。

 

――白石さんの眼力凄かったです。

 

福田：顔を見ているだけで楽しかったです。「とにかく、大きな声で台詞を言ってくれ」とだけ伝えるとあの表情を出してくれました。

 

――素晴らしい女優さんですね。これだけ多くの俳優・女優のみなさんが出ていても、誰も薄まっていないのが凄かったです。

 

福田：僕もあらためて役者の力は凄いなと改めて思いました。