のび太&山さん“一緒にまた新宿LOFTでやるのはしっくり来た”
──2人の再会から、“対バンイベントをやる”お話に向かった経緯を知りたいです。
山さん:解散してから僕自身が純粋に、いつかどこかで混ざりたいっていうのはあって。THE LITTLE BLACKの活動再開と、山岡トモタケで活動するっていう動き出しのタイミングも一緒だったし、これは一緒にやれたら良いなぁ…って思ったりはしてて。そしたら今年、新宿LOFTがこの場所に移転して25周年っていう話で。もともとWHITE ASHが新宿LOFTの事務所でお世話になったし、「Stranger」(2010)のMVはLOFTで撮ったし。その思い出から考えても、この25周年の機会に何かやりたいっていう思いで、去年の10月かな、僕からのび太に声をかけた感じでした。
のび太:(その提案を)シンプルに面白そうって思ったし、新宿LOFTでウチらが再会する、っていうのは見え方的にもしっくり来ると言うか。もともとLOFTきっかけでインディーズデビューしたのもあるし、解散以降初めて、また一緒にLOFTでやるっていうのは、良いなぁって思って。
──そして当初の発表では、THE LITTLE BLACK/山岡トモタケ&FLAMINGSという、バンドでの対バンでしたが…。
のび太:そうなんですよね、山さんも苦笑い。
山さん:だってねぇ、びっくりしたよ。(対バンの)発表をした2日後に、解散する旨の連絡をもらったから。それはここ最近で、一番の衝撃だったよ。今ではね、もう前向きに5月19日を作り上げるために、いろんなことも笑い話にできるようになれば良いなって思ってるけどね。
のび太:THE LITTELE BLACKの解散の原因にも繋がるんですけど、俺自身が結局のところ、生きること・生活するということに対してだらしがないんですよね。
山さん:そうかな?(笑)
のび太:音楽をやるっていうのはある意味、自分にとっては好きなこと・楽しいことなんですけど、性根の部分でだらしがないからいろんな人に迷惑をかけちゃう。普通に考えたらまず“お昼寝って、何!?”みたいな感じもあるわけで。自分が音楽をやるということがシンプルに…結果的にいろんな人を巻き込んで活動するわけだけど、(THE LITTLE BLACKの)2人にもそれぞれの人生があるわけだし、自分のだらしなさが皆の足を引っ張りかねないなっていうのがあって。お昼寝してる間もメンバーは待っててくれたし、活動再開してからも支えてくれてはいたんですけど…人と何かをするっていうのが向いてない…のかな。そういうところに俺はやっと気づいて、だから解散の矛先がメンバーに向くのだけは望んでないし、ただ俺が、生きるのが下手っていうところで。だから5月のライブを持って、自分の中での音楽活動は一旦、無期限でお休みしようと思ってて。
──え!?
のび太:Xを通しても言ってるんですよ(笑)。でも分かんないですけどね、そもそもWHITE ASHが解散したときも“山さんと会うことは今後この人生ではないだろう”って思ってたけど今回のライブがあるように、この先の人生で何があるか分からない。けど自分の中では一旦、漫画で言うならば“ご愛読ありがとうございました。先生の次回作にご期待ください”みたいな感じ。だから5月19日、来て欲しいなぁ〜!
山さん:WHITE ASHのときもね、それぞれ不器用の度合いが違うメンバーが上手く合わさってやっていた感はすごくあるんですよ。のび太はいろんなことを言葉で論理的にするのが得意だったし、僕はわりと感情的になる。それを彩さんと剛が収めてくれて、上手くバランスが取れてたなぁって。今バンドをやったりしてるから、バンドとかバンドのフロントマンってこんなにムズいんだ…バンドで出すサウンドもそうだし、メンバーの気持ちを上げたりとか人間関係もだし、そういうのも大変だなって自分も感じたりしてて、“のび太、よくやってたな”って思う瞬間がね、あるよ。個人的にはのび太に音楽は続けて欲しいっていうのは変わらないし、まずは5月19日が(WHITE ASH解散後)初めて一緒にやるわけだから(笑)、どうなるか本当に分かんなくて。メチャメチャ良い感じになるかもしんないし、コケるかもしんないじゃん。この日は「のび山」として、のび太が THE LITTLE BLACKの曲を1人でやりつつ、僕とのび太でWHITE ASHの曲を、で半々ぐらいでやろうみたいな話を今、してるところで。アコースティックでWHITE ASHの曲をやる場合、昔1回やって以来じゃない?
のび太:(今のところは)2人で弾き語りでアコースティックで、っていう話だけどスタジオに入ってみたらやっぱり“俺はエレキでいい?”ってなるかもしんない。
──この対談は、ライブの約1カ月前に行なっています。
山さん:実際スタジオに入るのはこれからだからね。ルーパーでリズム取って弾くとか、今までにない…本当に、どうなるか分からない(笑)。
のび太:ルーパーね、俺も買ったのよ。ただ、それを1回も使わないまま THE LITTLE BLACKが解散しちゃったから。
山さん:それこそルーパーを使って「Hopes Bright」(2014)とかのリズムを取ってやるとか。どう作るかまだ何も見えないから逆に楽しみだし、それが面白い感じになれば!
のび太:でも、今までずっと白のストラトをシンボル的な感じで弾いてきたのに、最後の最後にアコギかい! ってなるのもなぁ(一同笑)。
山さん:うん、それはあるね。
のび太:でも対バンって考えると片やバンドだし、だったらのび山はアコースティックに振ったほうが良いのかな、って考えたりもするわけよ。
山さん:エレキで良いんじゃない? WHITE ASHの曲は、僕はエレキもアコギでもどっちも行けるようにして支えますんで、のび太は弾きたいほうで良いよ。それでTHE LITTLE BLACKの曲に関しては、ちゃんと1人で完結させてください(笑)。THE LITTLE BLACKの解散は悲しかったし(対バンで)一緒にやりたかったけど、のび山として一緒に鳴らすっていうステージがあるっていうのはまぁ、面白いのかなって思ってるから。
のび太:確かにね。こうならなかったら、WHITE ASHの曲を一緒にやる機会もなかったから。
山さん:そう。だからこの日、5月19日しかない特別な企画になると思うので。
のび太:最後は山さんと、っていうのもね(一同笑)、人生の不思議だよね。
山さん:大学時代に音楽が始まったのも僕が“このリフ、カッコ良くない?”ってのび太に言って、そこからのび太が考えた曲が「Stranger」で(笑)。だから結構、繋がってるんですよね。この後はどうなるか分かんないけど、5月19日でのび太が一旦…っていうのは…演りながら、泣いちゃうかも知んない。
のび太:人生オモロ〜! って感じがするよね。でも、“これで最後なんだ”とか気持ちが高まりすぎて、その日のライブを純粋に楽しめなくなっちゃうぐらい感傷的なムードでやるのも違うなって(笑)。(音楽を今後)やらないかもしれないし、やるかもしれないし分かんないけど、一旦・いったんですから! っていう気持ちだし、そもそも新宿LOFT移転25周年のお祝いですから!
山さん:そうなんだよね。普通にお祝いに来て欲しい。お祝いに向けて、この日は特別な編成でやるっていうことだからね、確かに。彩さんも「スナック彩」をやってくれるし。
──お話しするのび太さんの表情、すごく生き生きしてますよね!
のび太:だって本当に、人生何が起こるか分かんないっていうのを体現してるような人生だから(一同笑)。
──では、5月19日もどんなライブになるかは分かんない、ということで楽しみにしています!
山さん:とにかく2017年の解散以来で一つの空間に集まるわけだからね、「スナック彩」に剛が飲みに来るかもしれないし(笑)。
のび太:先にのび山が出て、その後の山さんバンドにプレッシャーを与えようかなと(笑)。
山さん:一番プレッシャーを感じるのは僕ですよ(笑)。相当な覚悟でプレッシャーを受け止めてるし、でもそもそも今回は新宿LOFTのお祝いとして、皆で一緒に音楽で楽しませられるようにやろうと思ってます。
のび太:ただの大学生の軽音部のバンドがある意味、新宿LOFTでちゃんとした音楽人生としてキャリアがスタートして、人生が変わったようなもので。新宿LOFTの周年をお祝いできるっていうのと、自分的に一区切りをつけられる場所がLOFTでありがたいなって思ってるし、誘ってくれた山さんに対しても感謝があるし。この日遊びに来てくれる人たちと純粋に、“人生いろいろあるけど、楽しもうよ!”みたいな。そんな日にできれば、ですね。