BorisのAtsuoにバンド・プロデュースを依頼した理由
──Borisとの付き合いは古いですよね。それがここに来てなぜ急に密になったんですか?
NAN:俺がお願いしたんだけど……なんかね、まぁこれまでの活動に特に不満は感じてなかったし、次もがんばろう、その次もがんばろうっていうスタンスでいいかなと思ってたんだけど、「このままでいいのかな?」って不安もあって。
──コロナもありましたしね。
NAN:そうそう、考える時間もあったし。このままただがんばってるだけで歳とっちゃうなって。俺は20代のときに周りのみんなより早くアメリカ・ツアーさせてもらったりとかレコーディングも経験してたからさ、やっぱり海外で活動するってことにすごく魅力を感じてて。自分にとってもそれは根底にある部分でそれによって得たものも大きかったし、がんばってくることができたんだよ。だからやっぱりまた海外でリリースしたりライブもやりたいからさ。そこで自分の周りで一番海外で活躍してるのは誰だろう? って考えてみたら.....やっぱりBorisだなと。
──近くにいるじゃんと。
NAN:そう。早速、Atsuoくんに(プロデュースを)お願いしてみたら「音源だけじゃなくて、バンド・プロデュースだったらいいよ」と。出来上がってるものをいじるのは面白くないから、もうちょっと骨組みから一緒にやりたいとのことで。
──7人目のメンバーみたいな?
NAN:そう。アツP(Atsuo)からも「メンバーのつもりで相手してほしい」というようなことを言われて。それで一緒にやり始めたけど新鮮だったね。これまで音源も企画も全部自分たちでやってきたけど、まるっきりの外部の人で、しかもBorisってゴリゴリのハードコアでもないじゃん? そういう人が外から見た意見をポンと言うわけよ、それが俺たちにとってはすごいびっくりするようなやつで。
──NANさんの肉体改造にまで口を出してきたんですよね(笑)。
NAN:それを一番最初に言われたからね、音のことより先に。これがプロデュースかと(笑)。びっくりしたね。
──そこはもう信頼関係がなきゃ無理ですよね。アドバイスに合わせたことで良さがなくなる可能性だってあるわけですから。
NAN:たしかに。うちのメンバーは年齢もバックボーンも違うから、Borisのことを知らないメンバーもいて。最初は戸惑って「誰、この人?」みたいな感じよ。雰囲気も自分たちのフィールドとも違うしね。でも、今はみんな(Atsuoの)ファンになってて絶対的な信頼を得てる。そういうのも俺は外から見てて面白かったけどね。俺はもともとリーダーじゃなくてドラムがやめちゃったことによってリーダーになったのね。そんで「みんなで作っていこうよ」って言ってたんだけどさ、年齢もキャリアも全然違うのにそんなこと言ったところでねえ。だから彼がみんなの信頼を得ていく姿を見て、あぁ俺の役目ってこういうことかもな……って。
──ロベルト吉野さん(Turn Table)という“異物”や、女性メンバーのKBさん(ギター)が入ったとこにさらにAtsuoさんが加わり、風通しがまた良くなりましたね。
NAN:開けっぱなしだけどね(笑)。AtsuoくんもBorisでできないことをSMASH〜でやれるから楽しいみたい。俺たちも「それはちょっと……」とか言わないからね。