昨年9月に始動した新宿LOFT発の企画ライブ『2TO2』。今回は有村竜太朗、そして前回に続いて健康の2マンとなって帰ってきた。
Plastic Treeでの活動も行いながらソロワークスも精力的に行なう有村。有村のソロワークスにいまや欠かせない存在となっている悠介と、松本明人によるユニット、健康。
各々が母体となる音楽から、若干の距離を保ちながら紡ぐアンサンブルは実に純度が高い。似た境遇でもある存在同士が互いをどのように認識しているのか、触れてほしい。(Interview:山内秀一)
テレビで見てた人がそのままO-EAST裏のエレベーターから出てきた!
──よろしくお願い致します! 今回、アコースティック2マン開催とのことですが、有村さんと健康という並びの新鮮さに嬉しい驚きもあります。両者の関係…いつぐらいからお付き合いがあるんでしょうか?
有村:まず、(松本)明人くんは、僕が共通の友達に紹介してもらったことがきっかけで出会いました。音楽のジャンル的には違うんですけど、バックステージとかでとかでちょこちょこお話しさせていただいてましたね。悠介くんの場合はlynch.が同じような界隈にいるので、存在はもちろん知ってました。悠介くんもPlastic Treeを知ってくれてて、一回、名古屋でPlastic Treeとlynch.で2マンさせてもらったときに、意気投合した感じですかね。お互いのバンドのことも知れたんですけど、lynch.の中でも特に悠介くんと音楽的な嗜好がすごく似てて。僕のソロでずっとギターを弾いていたhiroくんがやっていたtéっていうバンドをすごい好きっていう流れもあって、結構仲良くさせてもらってたんですよ。それでhiroくんが病で亡くなってしまったときに、ぜひ“僕のソロでギター弾いてくれませんか?”ってお願いをしたような経緯ですね。
──出会った年数で言うと、明人さんのほうが先なんですね。意外でした。
松本:調べ直したら、2014年の5月19日月曜日に…。
有村:曜日まで! すごいです。
松本:同じイベントに出させていただいておりました。
有村:性格が出ますね。マメですね、明人くん。で、悠介くんと喋ったのはもっと後。
悠介:さっき仰っていた、名古屋で2マンしたあとの打ち上げだったと思うんですけど…。
有村:そうだね。打ち上げでも結構喋った。それで言うと明人くんもプラのことを知ってくれてて。ネジ。で弾き語りをやったときもあったし、バンドでの共演もあったり、僕のイメージだともうかなり昔から知り合っていた気がするんですよ。
松本:もう8~9年前とかですよね? 時間が経つのは早いですよね…。
有村竜太朗
──お互いの第一印象みたいなものって、明人さんは覚えてらっしゃいますか? 初めて会った有村竜太朗さん。
松本:第一印象は…テレビで見てた人です!
悠介:(笑)
──直接の出会いよりも先に、すでに有村竜太朗像があったということですか。
松本:実際に会ってもイメージと違いはなかったですね。むしろ、テレビで見てた人がそのままO-EAST裏のエレベーターから出てきたぞ! って感じ。そのまんまです。
──逆に竜太朗さんにはどのように映りました? 当時の明人さん。
有村:んー、繊細そうな人だなって。あと、すごい優しそうな子だなぁみたいな。でも、彼の音楽を聴いたら、すごい良かったんですよ。周囲の人間から明人くんのお名前も聞いていたので、すっと話もできて自然な流れでその日に一気に仲良くなれたような感じだよね? ただ、その日はセッションイベントみたいな感じだったんで、またしばらく会わなくなっちゃったり。
松本:そうですね。一気に仲良くはなれたんですけど、すごく頻繁に…とまではならなかったですね。
──なるほど。時系列的におそらくその間に竜太朗さんと悠介さんと出会いがあったわけですけど、もともと音楽的な住所が近いお二人の第一印象はいかがでした?
悠介:僕も明人くんと同じなんですけど、初めてお会いしたときは“イメージ通りだ”と思いました。纏ってるオーラも雰囲気もイメージのまんまだなと。ただ、それから親しくなって一緒にお酒を飲むようになってからは、いい意味で印象が変わりましたね。もっと人間らしい部分に触れられたというか。なんだろうな、本当に温かいんですよね。実は人情深くて…お酒を介してそういう部分も知れて、より好きになりましたね。こういう温かい人が、ステージではあの世界観を表現しているっていうそのギャップがたまらないですね。
有村ソロと健康は音楽的にマッチングがいい
──世界観だけじゃない部分。よりコアな内面っていうところですよね。ところでお二人は深酒するタイプですか?
悠介:始まったらもう朝までが基本ですね(笑)。
有村:そこはまあ(笑)。
──では今回の2マンの後も、場合によっては3人で朝まで行く可能性が。
有村:はい。確定してますね。
悠介:行けるかな?(笑)
松本:(笑)
──竜太朗さんは翌日に桜井青さんとの2マンも控えてますが…。
悠介:そうですよ!
有村:ペース配分だけ…考えないでやろうかなと思ってますけど。
──むしろ考えない! いや、最高ですね。互いに今回、ソロワークスと健康っていうことで、母体になるバンドとはややスタイルが異なると思うんですけど、そのあたりはいかがですか?
有村:今回の2マンに向けて健康さんの音源を聴いて、すごくしっくり来たんですよ。と言うのも、悠介くん自身が好きな音楽的嗜好とか実験的なことをちゃんと体現しているなって。lynch.のハードさとは違いますけど。明人くんも前から知っているので、彼の歌だなって一聴しただけで腑に落ちる。納得できたんですよ。ライブも一回観させてもらって、自分的にもすごい好みの音楽で、こんなに早く対バンできて正直嬉しいです。自分のソロ活動の音楽とすごくマッチングがいい。2人とは個人的に友人としての関係もありますが、そういう背景を差し引いても、僕のやっている音楽と合うなぁと思ってます。
健康(悠介+松本明人)
── 一方、健康サイドのお二人はどうですか? Plastic Treeとはまた違う、有村竜太朗の世界。
松本:強いて言うなら…意識されているかはわからないんですけど、洋楽性を感じます。J-POP的なキャッチーさを敢えて精査、排除しているほうがソロなのかな? と思ったりしました。あと、これは関係ないんですけど、ライブを観させていただいて、僕と一緒に活動してる悠ちゃんが、竜太朗さんの隣で弾いてるってこともすごい嬉しかった。優しいお兄さんが優しいお兄さんの隣でギター弾いてる光景が親戚の集まりみたいな感覚って言うのかな。
有村:あっ、はい。優しいお兄さんですよ。
悠介:はい(笑)。
──あははは。洋楽っぽいけど、温かい空気でもあると。
松本:温かさは僕が勝手に感じているだけかも知れないですけど(笑)。
悠介:竜太朗さんのソロでも一緒にやらせてもらっている僕からすると、プラとの差って言ったら、竜太朗さんが通ってきたであろう、80~90年代の洋楽だったり、自分の好きなものがより自然に反映されているという印象ですかね。プラだったらそれぞれ皆さん曲を作るし、その色が出てくる良さがありますけど、ソロはそうじゃないというか。好きなコード進行であったり音のイメージを、自分が思った通りの気持ち良いところにフォーカスして鳴らしてるのかなって。僕もバックボーンとしては、好きな音楽が近いので楽曲のアプローチからはシンパシーも感じます。竜太朗さんと一緒にやらせてもらえるようになってから、自分がもともと通ってきたものを自然と作品に投影できるし、演奏面でも割と自然体でいられますね。
松本:リバーヴのかかったファズの音とかもめちゃくちゃいいんですよ。
──悠介さんはライブだけでなく、竜太朗さんのソロ作にRECでも複数曲で参加されていますね。
悠介:音楽的な共通言語をお互いに持っているような気がするので、RECも自分の思う自然なものを提案して、まずは反応を伺う感じなんですよ。ただ、ちょっと違うね…とかっていうのも特に出てこなくて、割と最初に提出したもので反応が良い。んー、だから根本的に合うんでしょうね。
──「色隷」とかもだいぶ変わりましたよね。手触りが。
有村:あのリアレンジしたやつですよね? 「色隷」なんかは特に、悠介くんはドラムの録りから参加してくれて。僕にはないアイデアも入れ込んでくれたし…っていうかほとんどアレンジしたんじゃない? 「色隷」は我ながらこの人(悠介)にお願いして良かったなと心底感じましたよ。