人の生々しい心理を描いた『彼女と彼氏の明るい未来』がドラマ化される。本作で主人公のひとり佐々木雪歌を演じた関水渚に本作への思いを聞いた。
[interview:柏木 聡(LOFT/PLUS ONE)]
演じるということは本人になること
関水渚:橋爪駿輝監督とご一緒でき、とても嬉しかったです。
――原作『彼女と彼氏』を読まれていかがでしたか。
関水:谷口菜津子先生の描かれている絵が大好きなんです。『彼女と彼氏』は現実でもありえそうなストーリーが面白いと感じました。台本になるとより一層生々しさが増していて、そこがツボでした。
――演じられた佐々木雪歌(以下、雪歌)について伺えますか。
関水:雪歌は自己肯定が低い女性だと感じました。さらにトラウマとなる出来事が重なり、 “自分のことが好きじゃない”ところまでいってしまった。なので、雪歌は自分が愛されなくて当然だと考えているんだと思います。
――おっしゃる通り、自暴自棄な部分もありますね。
関水:そんな自分の考えを変えてくれる青山一郎と出会えて雪歌はとても幸せだったと思います。そんな雪歌を演じることができ私も凄く幸せでした。一郎と一緒にいることで満たされている雪歌の笑顔はぜひ注目していただきたい部分です。それだけ幸せなきもちだったので、橋爪監督に「このシーンで仲がいいシーンは最後だよ。」と言われたときは涙が止まりませんでした。
――それだけ雪歌に感情移入できたのはどうしてですか。
関水:演じるということは本人になることだと思っているので、どの役も入り込めないといけないと考えています。演じる人が一番の理解者にならないといけない。いつも演じるキャラクター本人になれるように、とにかく丁寧に台本を読んでいます。雪歌本人として会話のキャッチボールをするというのを繰り返していくことが演じるということだと思うので、撮影に入る前にとにかく台本を読んで役作りをして初日から雪歌になった状態になっていきました。
――先ほど橋爪監督の言葉で泣いてしまったということで、お仕事という観点から見ると気持ちが落ちてしまうと演じることもできなくなってしまうのかなと思いましたが如何でしたか。
関水:撮影に影響が出ないようプライベートは省エネで生活しています(笑)。落ちてしまいそうになった時も、絵を描いたり・モノを作たりして気持ちをリフレッシュして、負の感情はため込まないようにしています。ですが、気持ちのストックはするようにしていて、こういう時にこんな気持ちになったなとか、今こういう気持ちだなというのは忘れないようにしています。
――まさにプロフェッショナルですね。
関水:ありがとうございます。
気持ちを吐露させてもらうことで爆発した
――橋爪監督と作品に関して話したことはありましたか。
関水:撮影に入る前に、お話しする機会をいただきました。その時に「なぜ雪歌は一郎のことが好きなのか」など、いろいろ質問されたので、関水渚としてではなく雪歌として答えました。橋爪監督から質問を投げてもらい答えていくことで解消され、そのプロセスを経たことでより雪歌になることが出来ました。
――ぼんやりとしていた輪郭をハッキリと捉えられたというイメージですか。
関水:感情が爆発したという感じです。それまでは一人で台本を読み・ノートに書くということを繰り返していましたが、橋爪監督に私の気持ちを吐露させてもらうことで爆発したイメージです。
――溜まっていたエネルギーに火が付いたということなんですね。
関水:そうですね。
――末澤誠也さんと初共演ですがお会いした際の印象を伺えますか。
関水:初めて会ったときから一郎がいると感じたので、末澤さんに役が入っていたんだと思います。いい人そうという雪歌が一郎に会ったときと同じ印象です。
――共演者のかたとのエピソードや現場の雰囲気は如何でしたか。
関水:本当にいいチームで共演者の皆さん・スタッフの皆さんに支えていただきました。個性的な方が多い現場で、みんな大好きです。