映画を観ることで新しい見方ができました
――本作はメインの出演者が小岩井・山下・大石の3名とシンプルな作品です。それだけシンプルだとみなさんそれぞれの役者としての力量を試される部分もあったのかなと思いますがいかがでしたか。
田鶴：3人ということでプレッシャーを感じることはなかったです。僕自身もエキストラから役者としての道を歩み始めましたが、今回も多くのエキストラの方々に支えています。カメラの中で話しているのは2人だったり、映像的に少ない人数に観えても撮影中はそんなに少ない人数だと感じることはなかったです。エキストラ時代は「自分もカメラの前で台詞を言う役をなりたいな。」と思った時期なんかを思い出すこともありましたね。
――しかも今回は主演ですから。
田鶴：感慨深いものはあります。
――松田さんはどういったかたでしたか。
田鶴：松田さんは出会ってきた役者の中でもトップレベルで尊敬できる方です。それが根底にある小岩井だからこそ最初に家に行くシーンも「ビジネスホテルに泊まるから」とかのシーンがいやらしくならないんです。本当に申し訳ないけど行くねとなっています。それは松田さんの演じる小岩井だからこそだと感じました。
――おっしゃる通り、他のシーンも清潔感がありました。自販機の補充で回られる方の時間って知らないじゃないですか。それを知っていて待ち伏せをしているというのは、悪く言うとストーカー気質な部分もあるんですけど。
田鶴：確かに（笑）。
――そこにもいやらしさがないのは、松田さんの持つ人間性からですね。
田鶴：本当に吉井ハルアキ先生が描かれた小岩井というキャラクターのいい塩梅を表現されてますよ。グイグイくる部分があっても実は恋愛経験がないという、そういうところの納得感も出ていて凄いです。
――ご自身が主演された映画を観られていかがでしたか。
田鶴：自分で自分をほめるわけではないですが、映画を観ることで新しい見方ができました。原作コミックだけだったものが映画になって読み方・観方・キャラクター・物語の解釈が増え新鮮でした。あと、僕は普段は舞台が多いのもあって、今回の映画でいい幅の広がり方を経験することが出来ました。舞台はいつも前で観たいなと思うんですけど、毎回は無理じゃないですか。映像作品だとそれができるので、新鮮でしたね。
――本当に面白い映画でした。『こいじは』続編のある作品ですし映像化も含め、今後の活躍を楽しみにしています。
田鶴：ありがとうございます。僕も改めてもっと映像作品にも携わりたいなと思っています。みなさんの力を借りて続編の映画化もしたいですね。
©2023『その恋、自販機で買えますか？』製作委員会 ©吉井ハルアキ／メディアソフト
