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INTERVIEW

トップインタビュー映画『国葬の日』公開記念対談<大島新×足立正生>

2022年9月27日──私たちは何を見たのか?
大島新監督と足立正生監督が語る「国葬の日」そして「REVOLUTION+1」

2023.09.24

『国葬の日』、何を考えて何をしたのか、今どう思っているのか

足立 ところで大島さんの映画はいつから公開するの?
 
大島 東京は9月16日からで、その1週間後に関西で公開されます。国葬の1年後を目指して作ってました。
 
足立 大島さんが国葬の1周年に向けて映画を作っていると聞いたのもあって、僕も国葬1年後の9月27日にLOFT9でイベントをやることにしたんです。本当は大島監督にも出て欲しかったんだけど自分の映画の方で忙しいだろうから、こっちは横並びをしたくてもできない人達を、若者から我々の世代まで全部集めて徹底討論しようと準備しているんです。
 
大島 それは興味深いですね。その日は私も映画のイベントがあるので残念ながら出れないのですが。
 
──『国葬の日』には全国各地の若者も何人か登場しますよね。安倍元総理に心酔している奈良の大学生や清水の被災地でボランティアをしている高校生たちなど。
 
足立 彼らそれぞれはとんがっていると思うんです。それを映画として並べると似たようなものに見えてくるでしょ。安倍首相に心酔している人と安倍大統領って言ってる人のどこに違いがあるのかって。そこがすごい。
 
大島 あと長崎でも若者が出てくるんですが、彼はどちらかというと国葬に賛成だと言ったうえで、周囲の友達とは政治の話はしないんだと。それは仲が悪くなりたくないかという理由なんですが、それって足立さんの世代にはあり得ない若者像ですよね。他者と軋轢を生みたくないというのは日本人の傾向でもあるんですが、それが若い世代ではより強まっているんじゃないか。
 
足立 それは私もすごく感じました。
 
大島 だから図らずも映画の中で元気なのは、足立さんをはじめ、辺野古で基地反対運動をしている山城博治さんや国葬反対デモに参加していた落合恵子さんなどオールド世代が目立ってしまった。
 
足立 それでまた福田村事件の話に戻るんだけど、日本人というのは集団に身を委ねると声が大きい人、強い主張の人に同色化して暴走するということを森監督は描きたかったと思うんですね。それは今話しているような日本人のコミューン思想が軍国思想とうまくマッチしているということなんでしょう。だから日本は明治以降、そうしたニセ右翼思想を延々とやってきた。問題は天皇制をどうするかということもあるんだけど、そこを省いて問題を立てると、僕は福田村事件を日本人の横並びの特性が集団化した時に狂気に発展したものだとは見ていなくて、権力によって巧妙に作られたものなんだと。在日朝鮮人が暴徒化しているからそれを取り締まれと官報で命令されるわけでしょ。それでやったわけですから。
 
大島 いま天皇制という言葉が出ましたが、僕も考えていくとやっぱり天皇制の問題に行き着くと思います。
 
足立 天皇および天皇制を利用して横並びをどちらに向けて扇動していくか、それをやってきたのが日本の近代史のほとんどです。だから根本には天皇制の問題があるんだけど、天皇制を利用してきたことの方が犯罪性は高いですね。
 
大島 日本において天皇制は変わらないものの象徴じゃないですか。他にも老舗とか歌舞伎とか、世襲政治とか何でもいいんですが、そういうものがよきものとして語られる。変わらないことの美徳が日本人の心に染みついてしまっている。
 
足立 そういうわかりやすい、ひっかかりやすい美徳を利用してやっているこの政(まつりごと)をどうやって正していくのかというのが基本なんだけど、もう政治を変えようという漠然とした話はやめたほうがいい。政治家一人ひとりを見て、政治家を変えるということが大事だと思うんです。地方議会でも区議会でも都議会でも、一人ひとりの議員が何をやっているのか、それを問うていけば自ずと自分がどうするかという問題になる。それで、大島さんの映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』を観たというのもあって、私も最近は地域の選挙を手伝って回ったりするようになったんです(笑)。地方選挙をやっていると政治と日常が乖離しているなんて言えなくなる。
 
──では、最後にこの映画の見所をお願いします。
 
足立 『国葬の日』を見た人は、自分がその日何を考えて何をしたのか、そして今どう思っているのか、それを考えるとてもいい機会になると思いますね。だから大島さんは今後も『国葬の日』のようなスケッチ映画を連発してやっていくといいんじゃないですか。事前に構想したり、準備したり、資金を集めたりとか一切しないで、なにかテーマが決まったらどんどんスケッチしていく。ぜひそれを続けて欲しいと思っています。
 
大島 あの日、自分が何を考えていたのかはとても大事なことですが、私たちはすぐに忘れてしまうじゃないですか。だからこそ一度立ち止まって考えるきっかけになって欲しいと思います。
 
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(C)「国葬の日」製作委員会

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©REVOLUTION +1 Film partners
 
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LIVE INFOライブ情報

(INFORMATION)
<上映>
映画『国葬の日』
[東京]ポレポレ東中野、[大阪]第七藝術劇場、[愛知]名古屋シネマスコーレほか全国順次公開中
監督:大島新
プロデューサー:前田亜紀
制作:ネツゲン
配給:東風
 
<イベント>
REVOLUTION+1上映一周年
「9・27一周年 国葬反対 ぶっ通し大論戦」
【上映】「REVOLUTION+1」(国葬反対バージョン)
【第1部登壇】白坂里彩(学生)、田中駿介(院生)、平田竜二(元鈴木邦男秘書)、海野 学(一水会)、司会・ダースレイダー(ラッパー)
【第2部登壇】宮台真司(社会学者)、中川文人(文筆家)、山田忠史(愛国思想家)、足立正生(映画監督)、司会・ジョー横溝(『君ニ問フ』編集長・文筆家・ラジオDJ)
日時:9月27日(水)OPEN 15:00 / START 15:30
会場:LOFT9 Shibuya
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