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INTERVIEW

トップインタビュー菊池陽報(This is LAST)×和田 唱(TRICERATOPS)/『DREAM MATCH 2023』フロントマン対談【後編】- 世代を飛び越え、"夢"のある"戦い"が新宿LOFTで繰り広げられる一夜

世代を飛び越え、“夢”のある“戦い”が新宿LOFTで繰り広げられる一夜

2023.08.11

両バンドにとって『DREAM MATCH』は“チャレンジング”

──前編から続きますが、2バンドに共通項を見出せたりして見る側も『DREAM MATCH』の日がとても楽しみになってきました。This is LASTにとっては、GRAPEVINEとの対バン時のように勉強になることも多いのではと思ったりしますね。

和田:う〜ん、どうでしょう。僕らがコテンパンにされて終わるかもしれない(笑)。これまで20数年のキャリアがあると言ってもライブの時間が空くと鈍るし、バンドも筋肉と一緒でね。

菊池:分かります。僕らは今年の1月から3月で約30本のツアーをやって春フェスに出て、30本っていう密でやりすぎるとちょっと空いただけで“こんなだったっけ!?”ってなりましたから。

和田:いや〜、マジでその本数は凄いわ! 僕らもね、選曲も考えなきゃだしこの日はね、僕らにとってチャレンジングですよ。

菊池:いやいやいや、僕らにとってのほうがチャレンジングですよ! でもそれでも、絶対に負けたくないって思っているので、チャレンジングさせてもらいます! って言えば良いですかね(一同笑)。

和田:僕らも心のどこかでは負けないぞっていう気持ちもありつつ、でも負けても良いかなっていう(笑)、そういう境地もちょっとあるんだよね。もちろん頑張るんだけどさ!

菊池:そういうことを言う先輩こそメッチャ強いって知ってるので(笑)。

和田:あとはとにかく楽しめればって思ってるかな、音楽だからね! ライブもさ、自分たちの演奏に入り込んで楽しめてるときっていうのは自然とうまく行くしね。ポジティブな楽しい気持ち・楽しいムードでできればね。不安な気持ちでやってもイイことないから。

菊池:今、仰っていたメンタリティを僕らもすごく大事にしてて。それこそトゥーマッチで病んでたときとか、自分のライブについてすごく考えていたときにどんどん自分の内側に行っちゃって、自分の出している声も音も全然、外に出て行かなくなっちゃったときがありまして。それを今の信頼できるライブスタッフとライブを作っていく中で自分が楽しんで空間をしっかりと捉えていくことで、より伝わるんだなと感じて。バンドの音もなぜか大きくなって音圧も出るし、ライブでのカッコ良さみたいなものはそういうところから出るんじゃないかなと最近すごく大事にしていたところだったので。今お話を聞きながら、やっぱりそうだよな! って思ってました。

和田:ネガ(ティブ)な波動を放つと、物事って上手く行かないからね。

菊池:だから悩むのも、曲を作るときだけにしようって決めました。そこから自分の中でもいろいろと変わり始めて、それこそロフトで出させていただいた昨年末の『スペシャ列伝』あたりから“バンド、すごく良くなったね”って言ってもらえるようになって。普段から頭でいろんな物事を考えるほうなんですよ。だから気がついたら考えすぎてハマってるタイプなので気をつけるようになりました。

和田:曲を書くときの悩みっていうのは、曲をもっと良くしようって悩む感じなの?

菊池:今、自分が出しているギターのサウンドはすごくカッコ良いと思ってるけど、もっと追求できるよなとか、楽曲だと時代との戦いがあって、自分の中で良いと思う曲が時代にマッチしてるかは別の話になるから、今の時代のトップチャートを見てどういう特徴があるかとか、極端な話でどういうキーが多いかまで調べて、そういうことを気にしていると神経質になってくると言うか。で、(気持ちが)やられるときがありますね。

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This is LAST

和田:チャートはさ、日本のチャートを意識してる?

菊池:今はそうです。海外のバンドは趣味として聴きながら、チャートは日本を意識してます。

和田:すごいなぁ。俺、日本のチャートを聴いちゃうと自分とのあまりの違いに唖然としてショックを受けちゃうことが多いからなぁ。

菊池:僕も結構そういうショックが多いです。僕が“良い曲”って思っても、日本のトップチャートと比べるとトレンド感が違ったりして、僕の価値観に悲しくなったりします。

和田:僕なんかもうずっと悲しんできて、今は開き直ってる(笑)。でも、洋楽のトップチャートは聴くようにしますね。国が離れてると客観的に聴けるし、逆に大いに影響されるし。こんなにコード進行が少なく曲を作ってるんだとか、最近は音数も少ないんだなぁとか。何ならギターの音が入ってないじゃん(笑)とか。

菊池:僕も(この先)いつかのタームでは海外を気にしていくと思ってるんですけど、今は発達してるSNSというツールを使いこなしてる日本の10代〜20代を狙っていくというのをすごく考えているので、そのトレンドを掴みに行きながら尚且つ自分が満足する楽曲を作っていく、っていう感じですね。

和田:良いんじゃないかなぁ。今この歳になって自分が若いときに作った曲を聴くと、ちょっと媚びてると言うか…“皆、こういう音楽が好きなんでしょ”っていう気持ちで作った曲が何曲かあってさ。それを今聴くとね、“お前、何で自分を貫かなかったんだよ! もっと突っ張ってて良かったんだよ!”って思ったりするから、自分を貫くのは良いと思うんだよ。

菊池:そうですよね。1曲が凄い売れて“あの曲の人たちでしょ”ではなくて、僕はちゃんとアーティスト、ロックバンドとして売れたいので、トレンドを掴みながらも自分の色や自分が良いと思える楽曲を出していくことでThis is LASTを作っていきながら、ちゃんと時代を掴んでいくのが今の時代を戦っていく上で必要なことだと思って、上手くミックスできることをすごく考えてます。

和田:大したもんだよ、講演会とかやったほうが良いよ!(一同笑)

菊池:それを頭では分かってるんですけど、いざギターを持って曲を作り始めるとやりたいことをやりたくなって、トレンドはこっちって分かってても“俺はこっちに行きたいんだ! ウワーッ!”ってなってしまうときが結構、辛いですね。ロックバンドとして行きたい方向はあっちで、時代が求めてる方向はこっちで。時代も早く変わるし、いろんなことを気にしなきゃいけない時代なのかなと思ってはいるんですけども。曲を作るのは、僕なので。

和田:そっか、セルフプロデュースか。じゃあ悩んじゃうよね。でもプロデューサーがいればそれはそれで悩むんだよ、作った楽曲を聴かせたらプロデューサーからいろいろ言われてさ。言われたことを聞いておかなきゃいけないのかなぁってわりと言うことを聞いて、聞いた結果、“あのとき、何で言うことを聞いてたんだろう?”って後悔することも多いから。難しいところなんだよね。

菊池:曲のアレンジに関しては許容範囲はあるんですけど、メロディと歌詞は絶対に触らせないっていう気持ちがあります。俺から(楽曲が)出た段階でもう中途半端は絶対にないから、メロディと歌詞は絶対にそのままでっていうのはメンバーにも伝えてます。

和田:偉い、偉い! 堂々たるもんですね。俺も(若いときに)そう言えれば良かったなぁ(笑)。でもそんな自信がなかったもん。

菊池:いや、それを許してくれる環境だということなんだと思ってます。その分、責任を自分が持たなきゃいけないなと思ってるんですけど。だからやっぱり、音楽だけはちゃんとしよう、っていうところですね(笑)。

和田:菊池くんはさ、夢って何?

菊池:僕は、爆売れしてお金持ちになりたくて!(笑) その上で、カッコいい男になりたいです。そこは音楽で一本、筋を通して悩むこととも向き合いながら、はい。

和田:こういう場で言えるのは偉いよ。思っててもなかなかさ、“金持ちになりたい”なんて言えないもん!(笑) 僕はそういうのを隠してきたほうだし、カッコつけで言うわけじゃないけども、音楽・ロックバンドの一員っていうのがまず憧れだったの。って言うのも、俺らがバンドを始めた90年代ってロックバンドがちょっと下火と言うか、ヒップホップとか(クラブ)DJが人気があった、みたいな頃で。それが悔しくてさ、でも自分はロックバンドがやりたかったし、自分が憧れていたロックバンド像は決して古くさいイメージではなかったから、自分なりに普段着っぽいキャッチーな感じで、等身大なロックバンドをやれたら良いなと思って始めたの。だから決してモテたいためとかではなかったんだけど、文化祭で友達と一緒にバンドで洋楽のカバーで出たとき、当時付き合ってたいつも上から目線の彼女がさ、急に“唱くん、唱くん”ってベタベタするようになって(笑)。あのとき、ここまで彼女を変える力があるんだ、バンドってスゲー! って、ロックの魔力を知ったよ(一同笑)。だからロックバンドへの道っていうのは間違ってないんだと、あのときに将来の夢への決意を強めましたよね(笑)。菊池くんは20代だし、今は楽しいことをいっぱいしてさ、いくらでも夢を叶えたら良いよ。今はさ、好きな子とかはいないの?

菊池:いないですね〜。何人か付き合ってきて、全員に浮気されてるんで(一同笑)。

和田:そっか。今のうちに曲、いっぱい作ったほうが良いよ。同世代のバンドの子たちってどんな歌詞が多いの? やっぱり恋愛もの?

菊池:恋愛ものは多いと思います。それこそ上手く行かない恋愛とか浮気とか、そういう曲が増えてきた感じがしますね。

和田:俺らのファーストアルバム(『TRICERATOPS』)はわりとそんな感じで、僕は君と付き合ってるのに、君はあいつとも仲が良くて…的な、嫉妬心とか所有欲とか、ほとんど20歳ぐらいのときに書いたそういう曲ばっかりなの。98年のアルバムだけど、同世代に宣伝しといて!(笑)

菊池:あと、“男が弱い”っていうのがトレンドかなぁ、と思います。

和田:そのアルバム、確かに男が弱いわ(笑)。

菊池:じゃあ、今のトレンドにバッチリです!(笑)

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新宿LOFT 歌舞伎町移転25周年記念KICK OFF EVENT『DREAM MATCH 2023』
2023年8月15日(火)新宿LOFT
開場 18:00 / 開演 19:00
前売¥5,500(D別)/ 当日¥6,000(D別)/ 10代割¥2,000(D別)
イープラスにてチケット好評発売中
問い合わせ:LOFT 03-5272-0382

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