出身地もそれまでの音楽活動もばらばらのメンバー4人が集まり、初めてスタジオに入って音を鳴らしたのが2016年12月。その日から同じ4人で音楽活動を続けてきたPARIS on the City!が、8月6日(日)に『夏のパリまつり!』と題して新宿ロフトのホールとバー・2つのステージを使っての自主企画を行なう。新宿ロフトという場所での自主企画は初開催で、この日は彼らと繋がりの深いアーティストが総勢8組集まり音を鳴らすが、既に発表がある通り、PARIS on the City!メンバー1名がこの日をもって脱退するため、現体制の4人で音を鳴らす最後の日でもある。いろいろな思いが交錯しているであろうなか、PARIS on the City!・明神ナオと阿久津信也が新宿ロフトを訪れて思いを語ってくれた。お話を通して『夏のパリまつり!』で彼らのライブはもちろん、集うアーティストたちの演奏もとても楽しみになった。是非にこの日、たくさんの音楽好きに集まってもらい音を楽しんでほしいと願う。(Interview:高橋ちえ)
現体制でのPARIS on the City!を『夏のパリまつり!』で見届けてほしい
──早速、『夏のパリまつり!』という企画について教えてもらいましょうか。
明神ナオ(vo, g):渋谷のライブハウスで『パリまつり!』と題した自主企画を去年秋にスタートして、今春も開催してきました。昨年末に『新宿ロフトの年末大感謝祭2022』に出演したとき、“ロフトを会場に(ホール&バーの2ステージを使って)できたら、お客さんが移動しやすくて良いんじゃないか”という考えになりまして。今春、秋頃の開催を考えて相談をしたんですが、週末はもう既に埋まっているとのことで、そうだよなぁ…と思っていたら、“8月に急きょ空きが出た”と(ロフトから)ご連絡があって。
阿久津信也(dr):本来なら去年と同じく秋に開催の予定で考えていたんですけど、だったら夏にやろう! っていう流れです。アコースティックもライブバンドも見られて、少なからずゆったりできるスペースもロフトにはある、自分たちがライブを見に行ってお客さんの立場になると移動やずっと立ちっぱなしは疲れちゃって、ぶっちゃけ途中で帰りたくなるから(笑)。程よくくつろげる場所があるのは集中力も保てるなぁ、というのが会場を考える上で念頭にありましたね。
──ロフトはベンチやソファーが常設されていて、休憩がてらおいしいフードが食べられるのも魅力的ですものね。全出演アーティストが発表になっていますが、PARIS on the City!の皆さんと近しい方々が出演される感じで?
明神:基本的にこれまでの『パリまつり!』も、自分たちと何かしら繋がりがある方をお誘いしている、というテーマがありまして。
阿久津:その上で今回は、この日でベースの田中(裕一)が脱退するので、今年に入って話し合いが行なわれて脱退が決まったときに、最後にみんなで楽しく企画をやってお別れしようっていう流れになりまして。その流れが決まった時点でより、今まで一緒にやってきた人たちと一緒にという気持ちが強くありますね。だから前回の『パリまつり!』の出演者も多いのは、“より”一緒に見届けてくれるメンツに集まってもらったから、というところがありますね。
──今の4人でスタートして、そのうちのお1人が脱退というのはいろいろな思いがおありでしょう。
阿久津:(リズム隊として)ベースと2人で練習したりもしてきたので、純粋に寂しい思いはありますけどね。
明神:いろんな気持ちはありますけど、よくよく考えると人生は一度きりだから後悔はしてほしくないし、行きたい方向に100パーセント振り切って行ってほしいなという気持ちで送り出したいなとは思っています。でも今はまだちょっと、何て言うべきか難しいところがあるんですけども。それで『夏のパリまつり!』までに自分の中での正解が見つかれば良いなと思うところもありますし、そもそもPARIS on the City!は解散するわけではなくこれからも続いていくので、そのことに集中できるようになれば良いのかなと考えてます。お客さんからすれば、“このメンバー4人じゃないと”みたいに思う方もいるかもしれないけど、僕らは引き続き良い音楽を作って良いライブをして、やりたいこと・やるべきことをやっていく、というだけですね。
──「脱退のお知らせ」内で田中さんが“最後の最後の一音まで魂込めて演奏していますのでぜひ4人の演奏を観にきてください”と綴っていますが、これがまさに『夏のパリまつり!』に向けた大いなるメッセージですよね。
明神:そうですね、この4人編成では最後のライブになるので。この4人でしか出せない音を出し切りたいです。4人ならではの空気感は再現はできないし、今まで関わってくれた人やライブを見にきてくれた人全員に、それを見に来てほしいです。さっき言ったように僕らは音楽を発信し続けていくし、それが全てではあるので。
──“音楽を発信し続けていく”という揺らがない思いはどこから湧いてくるのでしょう?
明神:まず単純に曲を作ることがとにかく好きなんです。それを自己満足だけでは終わらせたくないし、それがもしかすると何かの役に立てたら良いなという思いもあります。音楽とか歌詞の言葉に救われる、そういう経験がこれまで自分にはたくさんあったので、PARIS on the City!の曲は主に僕が書いてるんですけども、自分の音楽がそういうものになれたら良いなという思いも根本にはある感じですね。