ライブに飽きることがないし、まだまだライブをやっていきたいから
──セクマシだって話せばこんなにフレンドリーですけど、知らないとバンド名からの勝手なイメージでそもそも音を聴かなかったりしますもんね。セクマシはたとえば、資料をデータで預かるときにバンド名がちゃんと表示されなかったり(笑)、何て言うんだろう…ちょっと下ネタ(?)的なバンドのイメージを持ってしまうかもしれないですね。
森田:“ファイル名にセンシティブな内容が含まれています”みたいに表示されるんですよね、(送信元のアドレスや件名から判断されて)メールがゴミ箱に直行してるっていう話もメッチャあります(笑)。
オガタ:でもたとえば食べ物とかもそうですけど、嫌いだった物が好きになった瞬間メチャクチャ食べられるんですよ。突破した瞬間って絶対に好きになるんですよ。
森田:分かりやすいわ〜、それ僕は納豆やわ!
オガタ:食わず嫌いとかってあるんですよ。
森田:バンドにしても最初に組んだときからいろいろと変化をし続けると思うんですけども、打首さんはクレバーやなと思うのは、オフィシャルのSNSでアイコンとかにかわいいキャラクターを使ってそういうことも同時に提示する。われわれは“セックスマシーン!!”っていうバンド名で、たとえば“コイツらはアホで品がなくて話にならん”みたいな印象から、いかにライブに来ていただくか。そこまでの前もっての活動がいかに大切かということなんですよね。僕らほら、ちゃんと会話が成り立つし、そもそもライブ中に下品なことも言わないですしね。
オガタ:逆に下ネタなんか禁止ぐらいですし(笑)。
森田:バンド名でもう一生分使ったと思ってるんで(一同笑)。
──確かにライブ中、下ネタなんか一切聞いたことがないですね。強いて言うならば最近のオガタさんの衣装ぐらいのもので(笑)。
オガタ:シースルーのステージ衣装ね(笑)。あれは最初“こんなの着たら面白いかな?”っていう悪ふざけで始まったんですけど、“良い”っていう人と“直視できない”で賛否両論分かれたのでシメたもんだなと。(ドラムなので)後ろにいるしMCもあまり喋らないし、見た目で波風が立ったほうが逆に良いかなと思って。とか言いつつ、好きで着ててこれを着ないと興奮できないんで、と書いておいてください(一同笑)。
森田:これまで25年やってきて自分たちのパブリックイメージとかも分からないですし、ただ、先輩方を見ていて思うのは“正直にバンドをやっていると続く”という思いはありまして。オガタくんも瞬間的に思いついたことが面白いタイプの人間で、“メンバーをびっくりさせたろ”ってある日突然、あの格好でライブをやったんですよね。それってバンドが次に続いていくパワーとして大事で、お客さんのことも対バンも、メンバーすらも驚かせたい・楽しませたいっていう。割と純粋なショーマンシップだと思うんですよね。
──ロフトではどんな衣装なのかも楽しみにしつつの2マンライブは、“「明日への活力」〜再・バンド名による影響を考察編〜”と銘打っています。
森田:自分たちのバンド名すら逆手に考え抜いて上手いこと利用したりとか、時に自らバンド名をいじってもいる打首獄門同好会。自分たちのバンド名とすら・までも、闘っている彼らとバトルをしたいな、って思いまして。今や打首さんは公共の、農林水産省で大臣の表敬訪問して写真を撮ったりしてますからね(2019年)。
オガタ:その頃ちょうど一緒にライブをやってたんですけど、“お役所の人がライブに来るらしいぞ”って事務所の方が慌て出したのも横で見てましたからね。
森田:変わったバンド名で人に言いづらいっていうのはわれわれもある、でもそれがオーバーグラウンドに達したときに前から応援してた人からすれば“ほれ見たことか!”っていう気持ちもなるなと、そのときの打首さんですごく思いました。“打首さんが打首獄門同好会の名前のままで役所に入って行ったぞ! 大したもんやな、(拍手しながら)カッコ良い!”って。尊敬してます。
オガタ:われわれの名前に近いところでは、SEX MACHINGUNS先輩もNHKに出演されてますしね。前に、ガガガDX(ガガガSPメンバー+メガマサヒデ&森田)で『ミュージックステーション』に出たときに“神戸でバンドをやってる森田さん”って、バンド名を紹介してもらえなかったんですよ(一同笑)。
森田:“そのズボン、どこで買うんですか?”ってKAT-TUNのメンバーに話しかけてもらったときね(補足:ライブ時の森田は穴開きジーンズがトレードマーク)。
──ちゃんと“セックスマシーン!!”として、バンド名がTVやいろんなところで紹介されるようにならなくてはですよね!
森田:一般化していく壁は険しいなと。世間に嫌がらせをしたいわけではない(笑)ですし、険しいからこそバンドの続け甲斐もあって、ジェームス・ブラウンって本当に純粋にカッコ良い、1フレーズだけでも上がっていける祭り感みたいな、そういう音楽がしたいんだぜ! っていう原始の気持ちなので。
オガタ:それは20周年でアメリカに行ったときにすごく思ったことで。
森田:アメリカでバンド名を言ってライブをしたとき、“オーサム(=awesome)!”とか“Good!”って。ライブを見に来てくれたおばあちゃんが、ジェームス・ブラウンの人形を持ってきて“これ、あげる”って。
オガタ:ストリートライブもやったりしたんですけど、小さい街の皆と仲良くなってこんなにハートフルになるなんて。
森田:これまで、われわれは運が良かったと思ってます。これも運の良さだと思うんですけど、今まで爆売れしたこともない(笑)と言うか、爆売れするのはこれから先に取ってあるし、で、自分たちのできる最大限のエンタテイメント・ライブを、いかに多くいかに熱く大勢とやるかというのを軸に、状況に応じて形を変えたり自分たちにとってのバンド活動の定義を柔軟に変えながらやってきました。メンバーチェンジとかはあってそれまでのメンバーがいなくなって1人になったときにオガタくんが入ってくれて、そのときのサポートをしてくれた近藤(潔/Gt)さんがメンバーになって最後に日野(亮/Ba)くんが入った。それから十何年経ってますけども、ライブ活動をしていくのをちゃんと喜びとして、今までやってきて。
オガタ:僕ら、ライブに全然、飽きてないんです。もっとライブがしたいっていう気持ちがずっとあるから飽きないし、だから続いてる。CDを売りたいからじゃなくてライブがしたいからCDを売るし、“ライブがしたいから”っていうのがまずある。もし食えなくなったらその分を補うべく別仕事をしたりするし、常に“ライブがしたい”が主体にあるから続いてると思うんですよね。
──そう! セクマシの真骨頂であるライブ、まずは体験して欲しいと思ってます!
森田:レコーディングという作業ももちろん好きですけど、ライブは1回として同じ状況はないですし、“共に歌おうぜ!”と呼びかけて会場内の1人入れ替わっただけで別物になる。われわれは会場の皆を“ゲストボーカル”として、ゲストボーカルにも同じ気持ちを持ってやっているので、“変わった声、飛んでこい!”とか思いながら(笑)。だから毎回が新鮮で、メチャクチャ面白いんですよね。
オガタ:メンバー皆そう思ってるから、だから続いてるんやと思います。