共演者と信頼関係を築くことを大事にしている
――青山さんは森岡監督からのご指名ですが、ほかはオーディションの方もいらっしゃると思います。香穂先生はそのオーディションに参加されたのですか。
香穂:南役のオーディションに参加させていただきました。
――南役が西野入流佳さんとなった、決め手はなんですか。
香穂:爽やかで誠実な感じがキャラクターに合っていたからです。
――西野入さんは本当に南役のイメージにピッタリでした。南が持っている、少し浮世離れしていて・儚い雰囲気は、演技が上手いだけでは出せるものではないですから。
香穂:そうですね。
――青山さんと西野入さんとでお互いの役についてお話したことはあったのでしょうか。
青山:私はお芝居をやる中で共演者と信頼関係を築くことを大事にしているんです。それは「このシーンはこういう風にしよう」と相談して決めるのではなく、撮影の合間や休憩中に共演者とコミュニケーションをとることは人として大切なことではないかと考えているので。何も話さないで現場に入ってお芝居ができたとしても、人間同士の関係性は築けていないのは良くないなと考えているんです。
――普段の関係性が希薄だと演じている中でも距離感が出てしまいますからね。
青山:関係性が築けていないと役上の人物に見えてしまうと思うので、休憩時間には沢山お話をしました。「普段どういうことに興味があるんですか。」みたいなお話をして関係性を築いて、古くからの友人のようなところまで仲を深めました。
――だから、お二人の掛け合いが自然だったんですね。
青山:ありがとうございます。
――ほかの共演者の方々とも仲良くされていたと思います。中には作中で揉めるキャラもいますが、撮影に入ったときに普段の関係性と役の上での感情の切り替えは難しくなかったですか。
青山:大丈夫でした。信頼関係があるので気を使うことなくぶつけることができ、すんなりと演じることができました。
――臆することなく自然と演じられたということなんですね。
青山:はい。
――香穂先生は撮影現場にはよく行かれていたということですが、役者のみなさんの掛け合いはいかがでしたか。
香穂:休憩の時間帯も雰囲気が良いい現場で、役に入られたときも自然にやられているなと感じました。香穂が寿まひるのところでアシスタントするシーンで楠綾と一緒に松岡彰にセクハラされ、松岡は冷たい目で見られるんですけど、十代修介さんに「あんな目線を向けられたら耐えられない、原作モデルの人凄いですね。」言われたり、バリカンで本当に髪をそられたりとか、現場を観ているだけで面白かったです。
――あのシーンは本当にそられたんですか。
香穂:そうなんです。
青山:あのシーンは髪をハサミで切られるシーンを撮って、「1時間後に戻ってきます」ってリアルタイムで刈りに行ったんです。十代さんの完成した頭を見たときは面白すぎて、続きのシーンを撮るので笑いを堪えるのが大変でした。
――本当に和やかな雰囲気で撮影が進んだんですね。
青山:そうでしたね。
――原作もそうですがそんなコメディ要素もあるストーリーで、映画では原作よりも濃い濡れ場がありそれを体当たりで演じられていてびっくりしました。
青山:私も濡れ場があると聞いていましたが、原作の描写はあっさりしていたのでガッツリじゃないんだろうなと思っていたんです。蓋を開けたらガッツリでビックリしましたね。
――そこも臆せずに演じられたのですか。
青山:はい、特に抵抗もなく受け入れられました。そういったシーンになるのも気になる男女が惹かれ合ってなので、話の流れとしても自然な流れじゃないですか。DV彼氏の方も彼の心情としてはそうすることが自然なのはわかるので、抵抗もなかったです。森岡監督からもそういうシーンがあることは聞いていたので、覚悟も決まっていました。
――覚悟を持って臨まれていたのが素晴らしかったです。
青山:ありがとうございます。
年齢・性別関係なく共感できる作品
――本当にドラマも面白い作品でした、完成した作品を観られていかがでしたか。
青山:映画と漫画で媒体が違うので原作と違う部分はありますが、原作ファンの私からするとかなり忠実に再現できたんじゃないかなという感動もあります。観終えて短く感じたのでテンポが良かったんじゃないかと思います。次から次へと展開が気になる作品なので、常にワクワクしながら観れました。最終的には前向きになれる作品だと思います。
香穂:私はこんな漫画を描いていたんだと思い出しました。いろんなキャラクターが出てきてトラブルが起きていくというのは観ていて飽きなかったです。予告編では漫画のキャラクターと演じてくださった役者さんが一緒に出てくるんですけど、みんな似ているなと思いました。そういう部分も素直に嬉しかったです。原作でも女性ファンが多かったので映画のキービジュアルも女性を意識したデザインにしていただけて、女性も観て元気になってもらえたらと思いました。
――本当に夢に向かって頑張るという背中を後押ししてもらえる作品でした。
青山:年齢・性別関係なく共感できる作品だと思います。身近にこんな人いる、そういう話わかる、若いときそうだった、今同じ状況だ、みたいに何かしら共感してもらえる部分があるのでそういう部分を見つけながら楽しんでもらえたらなと思います。
香穂:原作ファンの方は映画化されると思ってはいなかったと思います。原作を読んだ映画を観る、映画を観た後で原作を読む、どちらでも楽しんでいただけると思います。これは私の日記を元に描いた作品なので生々しさを感じる部分もあるかもしれませんが、人の日記を読んでいる感覚で楽しんでいたければと思います。
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