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トップインタビュー酒井祐輔(監督)- 映画『ももいろクローバーZ ~アイドルの向こう側~〈特別上映版〉』現在とこれからに視点を向けたドキュメンタリーにしたかった

映画『ももいろクローバーZ ~アイドルの向こう側~〈特別上映版〉』現在とこれからに視点を向けたドキュメンタリーにしたかった

2022.08.17

 10年以上の間、新たなメンバー加入をせずに走り続けているアイドルグループ"ももいろクローバーZ"。30代を目前にして彼女たちは何を見つめているのか。いま密着することで改めて"ももいろクローバーZ"の魅力・これからについてを撮った『ももいろクローバーZ ~アイドルの向こう側~〈特別上映版〉』。撮影を通して何を見つけたのか、監督の酒井祐輔に話を聞いた。
[interview:柏木 聡(LOFT/PLUS ONE)]

アイドルで居続けることができるのか

キービジュアルre.jpeg――ドキュメンタリーとなると撮影時にプライベートな部分にも触れることもあるかと思います。それによって幻想が壊れてしまうと尻込みしてしまうこともあるのではと思いますが、監督されるということに勇気がいりませんでしたか。
 
酒井祐輔:彼女たちに関しては そこは大丈夫だろうという信頼感はありました。僕自身も撮影を通して大丈夫だということを確かめたという色合いが強いですね。
 
――作中でも語られていますが、女性アイドルグループでメンバー入れ替えがなく長く活躍しているというのはあまり例がないんですね。
 
酒井:ももいろクローバーZ(以下、ももクロ)以外に東京女子流などもいますが、まだまだ少ないと思います。
 
――男性アイドルグループではジャニーズに代表されるグループではメンバー入れ替えなしもあるんですけど。
 
酒井:それはジャニーズ事務所の凄さでもありますね。ジャニーズグループみなさんの活躍によって男性は40代・50代でもアイドルで居続けられる、道が開かれています。 
 
――メンバーが変わるというのは音楽グループ・バンドで考えてもよくあることですから。
 
酒井:メンバーチェンジによって新陳代謝が起きるということもあるんでしょうね。
ももクロ (2)re.jpeg
――刺激があるというのは良いことですからね。なので、ももクロがこんなに硬派だったんだと改めて気づかされました。
 
酒井:そうですね(笑)。
 
――映画『ももいろクローバーZ ~アイドルの向こう側~〈特別上映版〉』はドキュメンタリー作品とはいえ編集をするので、やり方によってはもっとドラマティックな作品にできたと思うんです。例えば、苦労・努力を重ねて今がありますといったスポ根モノや成り上がり的な作品にするなど。それをあえてそうせずに等身大の姿を撮っていることに、酒井監督の愛を感じました。
 
酒井:ありがとうございます。今、ももクロのドキュメンタリーを作るということでいまさらステージの裏では汗と涙が…!というものを作ってもしょうがないだろう、今彼女たちを見つめる意味というのは30代を目前にした女性がアイドルで居続けることができるのかという点だろうと思ったんです。
 
――それにしても、もうアラサーなんですね。
 
酒井:ビックリですよね。「小学校の時に観てました。」や「中学生の時にみんなで踊りました。」と言われ本人たちも感慨深いということを語ってます。フェスなどで彼女たちが自己紹介をした時に年齢を言った時もザワつくらしいですよ(笑)。
 
――それだけ年齢を感じさせないんです。もちろん、昔の映像と見比べると大人になっていますが芯の部分は変わっていないので、劇中で「アラサーなんです。」や「結婚について。」など話している姿を観るともうそんな年なのかって。
 
酒井:関係者の誰に聞いても変わらないと仰ってますね。変わらないでいる理由を本人たちにも伺いましたが、明確な答えを持っていないようでした。
 
――よく言われる「同じ場所にいるには常に変わり続けなければいけない。」を体現していてそれが自然になっているんでしょうね。
 
酒井:そうなんです。

初めての存在になるかもしれない

――劇中ではみなさんの結婚観についてもお話をされていましたね。
 
酒井:そうですね。
 
――今はNegiccoのように結婚・出産をしてもアイドルを続ける方も出てきていますが。
 
酒井:映画祭の時にも「Negiccoが居る。」という声がありました。僕は個人的にNegiccoはアーティストじゃないかと思っているんです。
 
――それを言ったらももクロもアーティストになりますよ。
 
酒井:(笑)。
 
――アイドルとアーティストは何が違うんだという線引きも難しいですね。
 
酒井:今はアイドルの定義がものすごく広がっていますからね。
ももクロ (1)re.jpeg
――女性グループならアイドルと呼ばれる側面もありますからね。韓流のTWICEや少女時代のように歌もダンスも完成されているグループもアイドルですし、地下アイドルみたいなこれから成長していくという方たちもアイドル、幅が広い言葉ですよね。
 
酒井:そうですね。
 
――そんな中でなぜ本作のタイトルに「アイドル」という言葉を入れたのですか。
 
酒井:僕の中でのアイドルの捉え方のひとつですが、歌も歌う・ダンスもする・バラエティーにも出る・お芝居もする、というジャンルの垣根がなく活躍される方をアイドルだと考えているんです。
 
――マルチに活躍されている、どのジャンルに行っても輝いている方ということですね。
 
酒井:そうです。ももクロがそのスタンスをずっと続けていく初めての存在になるかもしれないという思いから、「アイドルの向こう側」という言葉をタイトルに入れさせていただきました。
 
――そこは「ももクロは巫女説」というところに繋がっていますよね。そういう説が自然発生してきて、誇張になっていないというのが凄いですね。
 
酒井:やっぱり、特別な存在なんだと思います。
 
――それはももクロが先駆けなのか、ももクロは特別な稀有な存在だからそうなりえたのか。酒井監督はどう考えられていますか。
 
酒井:僕個人としては先駆けであってほしいと思います。本編でもこれからも続けていくのかという会話が出てきますが、「結婚しても、子供ができても、アイドルで居続けられる。」そういう先駆けの存在になって欲しいなと願っています。
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LIVE INFOライブ情報

『ももいろクローバーZ ~アイドルの向こう側~〈特別上映版〉』
キービジュアルre.jpeg
8月19日(金)より全国公開
 
出演:百田夏菜子 玉井詩織 佐々木彩夏 高城れに
 
監督:酒井祐輔
撮影:中島純 酒井祐
編集:伊藤圭汰
MA:飯塚大樹
サウンドデザイン:松下俊彦
企画:大久保竜
チーフプロデューサー:藤井和史
プロデューサー:松原由昌 津村有紀 樋江井彰敏
製作:TBSテレビ
配給:SDP
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