シンパシーを感じた
――主演のお二人は主人公と同年代ですが、脚本を読まれてどんなことをおっしゃられていましたか。年が近いと感じることもあるのかなと思いますが。
佐藤:二人とも好印象だったと記憶してます。本人が違うというのであれば申し訳ないですが、一緒にいて街山さんはこれからの人生について悩んでいた部分があったようにも感じたんです。
――20代前半なんかは学生時代がおわって急に社会人・一人前の大人にみられてしまいますから、誰しも不安を感じてしまう時期ですよね。
佐藤:そうですね。そういった時期にこういった悩んでいる主人公の話が来たので、シンパシーを感じたところもあったのかなと思います。
いまおか:25歳くらいで、みんな行き詰ったりしますよね。誰かともそんなこと話したことがありました「大学を出て働き始めて、折り合いが上手くつかない。」って。
佐藤:夢をあきらめる平均年齢は24歳って言いますよね。僕も23歳の時に大きな挫折を味わいました。
いまおか:挫折って何があったの。
佐藤:僕が業界に入ったのは22歳ころですけど、そのころの現場でコテンパンにやられてダメだと思ったんです。凄く優しい方々で可愛がってもらったんですけど、しんどくなって23歳のころに田舎に帰ろうと思ったんです。
いまおか:そこで帰らなかったんだ。
佐藤:自主映画祭に参加したことでまたやる気が出て、もう1回映画を作ろうって再起したんです。それは救いでした。
――この作品の二人と心情的に重なる経験もされたんですね。この二人も病気で落ち込んだけど、最終的にはリスタートしようと歩き始めますから。
佐藤:そうですね。
――社会に出ると違う年代の人とも交わるので、そこで戸惑うこともありますよね。環境が大きく変わって戸惑いながらも進んでいくということはみんな経験するので、20代だけでなく多くの人に響く物語だなと感じています。
佐藤:そうあってほしいですね。彼らはぶつかりながらも前に進もうとしているので、僕もそこにシンパシーを感じています。この作品を観て、挫折をしてもぶつかっていけば何か答えにたどり着くかもしれないと思ってほしいです。
――その時には分からないですからね、後々振り返ると意外と何とかなることも多いですから。
佐藤:何とかなっている人は続けている人というのもあるのかなと思います。BESTではなくBETTERであってもそこに辿り着くには紆余曲折しても前に進む気持ちが大事なんだろうなと。ただ、続けられない人が多いのも事実ですから簡単に「続けないとダメだよ。」とは言えないですけどね。
いまおか:まあね、やめた方がいい場合もあるからね。
佐藤:やめるとしても前に進むための選択肢だったらいいですね。
――この二人も本命ではないけど付き合っていますからね。
いまおか:確かにそうですね。年代記となると振り返っている感じがあるんですが、この二人も結果として出会えたのは良かったと思います。「出会ってよかった、助けられたよ。」というのは振り返って言えるセリフですが、そういうことは誰しも経験があると思います。自分の過去を振り返るきっかけになる作品じゃないかなと思っています。
――二人の歴史を振り返りつつ結末もそれぞれに希望を持った終わり方で、観ていて一歩踏み出す勇気をいただける作品でした。
いまおか:歳をとると、経験で何がダメか解るから段々と失敗をしなくなるんですよね。それは逆に詰まらない部分でもあると思います。振り返るとそういうことが楽しかったことなんじゃないのかなと思っています。
佐藤:失敗するのも何か状況を打破しようとした結果ですからね。年を重ねると逃げることの方が多くなりますよね、面倒くさいと壁を乗り越えようとしないのは変に大人になってしまったということかもしれませんね。
――守りに入ってしまいますよね。
佐藤:もしかしたら今は若者にもそう思ってしまう部分があるんじゃないかなと思っています。世の中も失敗できないと感じてしまう世の中なので、実際は失敗できないわけじゃないんだけどそう思い込まされている。失敗してもまた踏み出せばいいんだよと伝えてあげたいですね。
いまおか:そうだね。“マヨナカキネマ”を観てそう感じてもらえたらいいですね。
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