自分の喜怒哀楽をコントロールしてみたい
――ドキュメンタリーに近い部分もあった作品ということですが、完成作品を観ていかがでしたか。
アユニ:ドキュメンタリーに近い制作をしたとはいえ、自分が演じている姿を観るというのは不思議な感覚でした。自分が演技している姿を観るのは恥ずかしい部分もありますし、石川さんの素の部分も見ていたからこその不思議さがあって純粋に観客目線で観ることはできなかったです。今回、作品についてお話しさせていただくことであらためて飲み込めた部分もあるので、いまだと冷静に達観して観られるような気がしています。今は観てくださる方がどう感じるのかが楽しみですね。
――改めて女優として演じてみていかがでしたか。
アユニ:何事もそうだと思いますが、実際にやってみないと楽しさと痛みは分からないなと思いました。演じることの苦しさもありましたけど、それ以上の楽しさ・嬉しさがありました。BiSHはLIVEでコントとかもしていますが私はその中で台詞を言うのも苦手なくらいで、撮影前は演技をすることに苦手意識がありました。やらせていただいてからはもっと演技をしてみたい、自分の喜怒哀楽をコントロールしてみたい、そういう欲望が出てきています。
――新しい楽しみが見えてきたんですね。次に挑戦するのであればこんな作品にというものはありますか。
アユニ:このオムニバス6作品の中だとモモコグミカンパニーの『PEACH CHAOS PEACH』とか面白そうですね。あとは、ホラー映画もやってみたいです。不気味な存在に追いつめられるプレッシャーや恐怖を感じて、叫んだり感情を爆発させるような役をやってみたいです。
――『オルガン』とはまた違ったテイストのものにチャレンジしてみたいということですね。その挑戦がこれから見られると。
アユニ:やりたいことは無限にあるので、実現するといいなと思っています。
――ほかのメンバーの作品はいかがでしたか。
アユニ:面白かったです。作品の色は違いますが、それぞれに印象的な部分がありました。特にセントチヒロ・チッチの『どこから来て、どこへ帰るの』は、この機会じゃないと観れないディープな作品でした。メンバーとは家族以上に一緒にいるので、「お姉ちゃんの恋愛している姿を見てしまった」みたいな気持ちになりました。それは、メンバーでしか味わえない感覚だと思います。観ていて「ヤバい、ヤバい、ヤバい。」って声が出ました。映画館で観る人も声が出ちゃうと思います。
――近いからこその感覚ですよね。観ていて恥ずかしくなってしまいますよね。
アユニ:本当に6人それぞれ違う色の作品なので、BiSHを好きな方はもちろんBiSHを知らない方にも見ていただきたいです。映画として面白いなと感じていただければ、この映画は成功だと思います。よく分からないなと感じる作品もあるかもしれませんが、何か人の心に違和感を残すことができるのであればそれは凄く幸せなことだと思います。それぞれの監督さんも昔からBiSHを知ってくださっている方・愛してくださっている方で、私たちもやりたいことをやりたい放題させてもらえたので、それを面白がってもらえるといいですね。どれも綺麗な映像で、音楽にもこだわりがあるので、ぜひ劇場で観てほしいです。私もまた観返そうと思います。
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