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INTERVIEW

トップインタビュー安藤正臣(監督)- 『逆転世界ノ電池少女』自分たちが楽しかった思い出を盛り込んでやろう

安藤正臣(監督)- 『逆転世界ノ電池少女』自分たちが楽しかった思い出を盛り込んでやろう

2021.12.25

年齢的にも自分を総括してみるという時期というのもあるんだと思います

――そこは観てもらって、どう感じていただくかということですね。本作は、シリーズ構成として上江洲(誠)さんも参加されていますよね。
 
安藤:アニメーションは、漫画や小説のような作家個人で全てを担うというのはどうしても無理なんです。私自身サブカル全てに精通しているわけではないですし、この作品もスタッフみんなに意見を出してもらってそれを集約して出来上がっています。それであれば脚本のスペシャリストとして上江洲さんに入っていただいた方がいいと思ったんです。それに監督本人が全部仕切ってやる事が、必ずしも面白い作品に繋がるわけではないですから。
 
――暴走しそうになった時に、ブレーキを掛けてもらった方がいいこともありますからね。
 
安藤:私自身がそうやって集団作業の中で作品を作ってきたので、その方がいいなと思ったんです。みんなで意見を言い合って制作しているので、時にはぶつかることもありますが。
 
――喧嘩に発展してしまうようなことも。
 
安藤:喧嘩とまではいわないですけど、険悪な空気にあることも無きにしも非ずです。別に仲たがいしたとかではなく、制作していく中で熱くなってという事なのでそこは安心してください。
 
――それだけ、みんなが真剣に作品に向き合っているという事なんですね。今作はオリジナル作品ですが、スタッフは安藤監督が集められたのでしょうか。
 
安藤:比嘉さんがオリジナルをやりたいとスタッフを集めた中に私が居たので、どちらかというと私もお声掛けしてもらった1人ですね。オリジナルをやりたいという思いはもちろん持っていたので、引き受けさせていただきました。
 
――安藤監督と比嘉さんがオリジナルをやりたいと考えていたタイミングが一致して動き出したという事なんですね。
 
安藤:30代になり、そういう気持ちが芽生えてきたタイミングでした。30代半ばでオリジナル作品を監督される方は多いんです。富野(由悠季)さんや庵野(秀明)さんがそうであるように、年齢的にも自分を総括してみるという時期というのもあるんだと思います。
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――20代にガムシャラでやってきたなか、30代で少し落ち着いて考えるタイミングでもありますね。どうでしょう、安藤監督は『逆転世界ノ電池少女』を制作することで自身を総括できていますか。
 
安藤:自分ではわからないですね。作品を作ることでいっぱいいっぱいなので、総括というところまで意識は行っていないです。
 
――そうですよね。
 
安藤:オリジナル作品という事で自身をさらけ出しているのは本当なので、結果として総括になっている部分はあると思います。
 
――それだけ自身を盛り込んでいる作品なのである面では業の深い作品になりますが、富野監督作品が好きな安藤監督のオリジナルにしてはキャラクター含めてビジュアルや音楽はポップな形ですね。
 
安藤:やはりエンタメなので、見ていただきやすいという点を意識した部分はあります。スーパーアニメーターである渡辺(明夫)さんに、分かり易いキャラクターにしてほしいとお願いし原案デザインをしていただきました。変化球すぎると誰にも伝わらなくなるので、基本はストレートばかりになるようにしています。
 
――大事な考え方だと思います。作中のキャラクターは各業界のオタクを集めていますが、スタッフ皆さんと各文化圏のお話をされたのでしょうか。
 
安藤:私では分からない文化もありますから、そこに精通している方に助けてもらっています。例えば、黒木ミサの“ワードニャ”という肩書はゲームの『ウィザードリィ』の“ワードナ”からとった名前で、これは上江洲さんからのアイデアです。
 
――こういう表現はあれですけど闇鍋感もある作品ですね。
 
安藤:まさにその通りです(笑)。
 
――だからこそLOFT/PLUS ONEが出ているという事に意味があったんですね。初のオリジナル作品ですが、オリジナルだからこその難しさはありますか。
 
安藤:原作があれば、何かあった際に戻ることも出来ます。今回映像に関しては全て私の頭の中にしかないので、そこを伝えなければいけない難しさはあります。自分の中にしかないので、外に頼れるもの・戻れるものがないんです。例えば、TVアニメのお約束でもあるアイキャッチやOP・ED、私はそれが苦手なので原作のアニメ化ではとにかく原作を読み込むんです。そこから要素を拾い上げて反映するんですが、オリジナルだとそういうことが出来ないのでそれが辛いです。
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――全て自分で決めなければいけないということは怖くありませんか。
 
安藤:不安がないかというと嘘になりますが、その気持ちに押しつぶされないようにはしています。みなさんのリアクションを聞いたり・見れたりするとその不安は解消されますね。作品を観た感想をいただけるのがとにかくありがたいです。SNSでもどんどん感想を書いて欲しいです。
 
――現場ではどのようにして、作品の世界観を共有されているのでしょうか。
 
安藤:こういった趣味に走った内容なので同じ文化圏が好きでも、世代によって言語が違う事もあって若いスタッフに伝わらないことがあるんです。
 
――それはありますね。私も若いスタッフと話していて感じる事があります。
 
安藤:なので、総作画監督の黒澤(桂子)さんに各話1P漫画を描いてもらい作品イメージを共有しています。元のネームを私が描いて、それを漫画にしてもらう形です。そうすることで、細部すべてではないにしても作品の世界観はつかんでもらえるので、あとは要所で説明をしていく形で進めています。
 
――本当に安藤監督のすべてを注ぎ込んでいる作品なんですね。
 
安藤:そうですね。たまに暴走しそうになった時に、比嘉さんが止めに来てもらっています(笑)。
 
――何かあった時のブレーキ役もいると(笑)。
 
安藤:実は、作中に自分たちをコッソリ出そうとしたんですけど、そこは比嘉さんのチェックが入りました。
 
――アルフレッド・ヒッチコック監督やアニメではワタナベシンイチ監督など自身の作品にカメオ出演というのは良くある話で、そこを見つけるのも作品をみる楽しみ方の1つですけどね。
 
安藤:そうですよね。まぁ、本編でどうなっているかは実際に観て確認していただいてということで。
 
――わかりました、探してみます。こうやって、色んな文化を出して、ロボットも出してだと、デザインも含めて作画のカロリーも凄そうですけど。
 
安藤:そこは、スタッフみんなが本当に頑張ってくれています。ロボットはCGになりますが、担当していただいた方が立体造形もされている方なので、奥行きを感じる素晴らしいもの作っていただけました。
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『逆転世界ノ電池少女』Vol.1

2022年1月26日(水)発売
価格:14,300円(税込)
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■収録内容:第1話~第4話

■ 初回生産特典
特製ボックス
キャラクターデザイン・黒澤桂子描き下ろしデジパック
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■ 毎回特典
ノンクレジットOP・ED

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1.Fever Dreamer
作詞:hotaru(TaWaRa)/作曲:Tom-H@ck(TaWaRa)/編曲:RINZO(TaWaRa)
2.Heartbeat again
作詞:畑亜貴/作曲:俊龍/編曲:XELIK
3.Fever Dreamer (Instrumental)
4.Heartbeat again(Instrumental)

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LIVE INFOライブ情報

TVアニメ「逆転世界ノ電池少女」

【電池】キービジュアル_撮影処理加味Rre.png

10月11日(月)より放送開始!

-Cast-

久導細道:山下誠一郎
赤城りん:ファイルーズあい
蒼葉夕紀:鈴木愛奈
黒木ミサ:井澤詩織
東雲アカツキ:寺島拓篤
真神ハヤテ:日高里菜
佐斯神ムサシ:藤井ゆきよ
神水流ヤクモ:下地紫野
バルザック山田:杉田智和
神楽坂ミミ:豊崎愛生
宗方安寿:福地教光
鵜飼:松田健一郎
メガネ:水島大宙
キャップ:葉山翔太
ポチャ:金子隼人
田中ナスターシャ:??? ほか
 
-staff-
原作:伽藍堂
監督:安藤正臣
シリーズ構成:上江洲 誠
キャラクター原案:渡辺明夫
ガランドールデザイン ・メカニックデザイン:廣瀬智仁
キャラクターデザイン・総作画監督:黒澤桂子
助監督:仁昌寺義人
プロップデザイン:森木靖泰/KntC
3DCG:ラークスエンタテインメント
CG監督:加藤大輔
背景美術:草薙(KUSANAGI)
美術監督:本田光平
美術設定:岩澤美翠/須江信人
色彩設計:加口大朗
撮影監督:國井智行
編集:伊藤利恵(森田編集室)
音楽:白戸佑輔
音響監督:飯田里樹
音響効果:古谷友二
音楽制作:ランティス
プロデュース:EGG FIRM
アニメーションプロデューサー:比嘉勇二
アニメーション制作:Lerche
製作:「逆転世界ノ電池少女」製作委員会
 
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