宮西先生の世界に浸っていただきたかった
――とても丁寧に作られていることがスクリーンからも伝わってきました。本作はいつ頃から動き出していた作品になるのでしょうか。石塚(運昇)さんがご存命の頃ですと3年以上になると思いますが。
静野:『GODZILLA』3部作を作っている時に同時に作っていたので、4年以上になりますね。海外展開を見据えていた作品という事もあって、完成後にも編集作業があって完成したフィルムからカットしている部分もあります。
――再編集をしていることを感じない丁寧なドラマなのでビックリしました。その話を伺うとディレクターズカット版を観たい気持ちになります。
静野:その機会が出来るといいですね。釜山国際映画祭では1度ノーカット版を上映したので、台風が上陸して会場が屋外だったので(笑)。
――では、お客さんもちゃんと見れない状況だったんですね。
静野:そうなんです。坂本さんの曲も暴風でかき消されてしまったので、もったいなかったです。
――宮西先生は完成した作品を観られたのですか。
静野:宮西先生には観ていただいただけでなく、OPのナレーションは先生自身に読み聞かせの声を充てていただきました。
――そうだったんですね。
静野:本作では兎に角、宮西先生の世界に浸っていただきたかったんです。宮西先生の声で始まり、原作の絵で終わる形にしています。完成した映画を観て宮西先生は笑顔でいてくださったので、合格点はいただけているんじゃないかと思います。
――宮西先生の声、坂本さんの音楽、実力派キャストのみなさんの演技、そして綺麗な映像世界と魅力的なドラマ、改めて映画館の大きなスクリーンと音響で観たい作品だと思いました。
静野:そう言っていただけると嬉しいです。この映画は宮西先生の『ずっとずっといっしょだよ』という絵本を元に作りましょうという事から企画が始まりました。宮西先生からは「原作絵本と全く一緒にする必要はない」と言っていただけたので、ほかのティラノシリーズ作品からもアイデアはいただいてそのアイデアを詰め込んだ映画になっています。この作品を観ていただいて少しでも「感動した。」や「面白かった。」と感じていただけたなら、『さよなら、ティラノ』を通して宮西先生の原作に戻っていただけるとより深いティラノシリーズの魅力を感じていただけると思います。そうやって、映画を含んだ作品世界を楽しんでいただければとても嬉しいです。
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