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トップインタビュー内山雄人(映画『パンケーキを毒見する』監督) - テレビではできない政治風刺、縮こまった表現から脱出して面白がらせてやろうぜ!

テレビではできない政治風刺、縮こまった表現から脱出して面白がらせてやろうぜ!

2021.07.22

 菅義偉政権の正体に迫るドキュメンタリーであり、シニカルな鋭い視点で、"ニッポンの本当の姿"を映しだすかつてない政治バラエティ映画『パンケーキを毒見する』が7月30日より東京・新宿ピカデリーほか全国で公開となる。プロデュースは『新聞記者』『i-新聞記者ドキュメント』などの社会派作品を送り出してきた河村光庸、監督は『世界ふしぎ発見!』『時空警察シリーズ』を演出してきた内山雄人。
 感染が拡大するなかでのGO TOキャンペーンの強行、先進国におけるワーストとなるワクチン接種の遅れ、誰も責任を取ろうとしない東京五輪問題。「自助・共助・公助」を強調した結果こそ、自己責任文化を後押しした原因ではなかったのか。「ガネーシャの会」所属議員をはじめ、元秘書やマスコミ、ホテルやスイーツ店からも取材拒否、あげくのはてにはTwitterの凍結騒ぎ。映画が完成に至るまでの流れと、今後の日本に願うことを内山監督に伺った。(interview:加藤梅造/成宮アイコ)

Twitter社のテンプレ回答は菅政権と同じ

──映画『パンケーキを毒見する』はいつころから構想をされていたのでしょうか。

内山:菅政権ができて直後の9月末あたりから、プロデューサーの河村(光庸)さんが、菅さんの正体をちゃんと暴かなくてはいけないと思ったそうです。ただ、監督がなかなか決まらなかったそうで、7〜8人くらいに断られて11月中旬に僕のところに話しが来たんですけど、そのときは「1人に断られただけなんだよ」って言っていました。だから、7〜8人に断られたなんて聞いたのはつい先日の試写会なんですよ。もちろんその日の夜に、「……で、誰に断られたんですか?」って詰め寄って聞きました(笑)。

──引き受けることにためらいはなかったですか?

内山:このタイミングじゃないと、今後リアルな政権を扱う機会なんてほぼないだろうと思ったんです。同時にこの政権に対する忸怩たる思いもあったし。でも、他の監督が断った理由もよくわかります。この映画は、オリンピックや選挙にぶつけるために7月末のタイミングで上映をすることがほぼ決まっていたんですよ。ということは、10月にオファーが来たとしても撮影期間は半年しかない、ドキュメンタリーとして異例の短さです。しかも、菅さんなんて撮影できるはずもなく、撮れるものがなにかも分からない。だから、その条件で映画は作れないと思ったんだろうなと。僕はテレビの出身なので、「半年しかない」ではなくて、「半年で作るとしたらどうすればいいんだろう」と考えました。そのハードルの高さへのワクワクもありましたね。

──テレビ出身の方ですと余計に、菅政権を扱うことで上映の妨害があるかもしれないという不安はなかったでしょうか。

内山:河村さんが、「『新聞記者』のときには妨害を受けなかったよ」って言ってたんですよ。テレビは放送法や政権への忖度もあるようなので、多分こういったテーマは考えられない感じがします。映画は興行だから妨害を受けたら受けたで逆に盛り上がれるじゃんっていう気持ちもありました。だから、こわさという意味では身のまわりだけきれいにしておこうってくらいですね(笑)。

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──ツイッターの凍結は想定内でしたか?

内山:いやいや、そんなことないですよ。最初は偶然、機械トラブルで凍結されたんだと捉えていたんですけど、河村さんが、「実は『新聞記者』のときも凍結されたんだよ」って教えてくれて。いや、妨害受けなかったって言ってたじゃないですか、って(笑)。よく聞いたら映画上映に対する妨害は受けていないってことでした。でも『新聞記者』に続いて2回目となると、Twitter社ってどうなってるんだと故意的なものを感じました。最近、望月衣塑子記者も凍結騒ぎがありましたし。

──結果、映画自体がさらに話題になったのは痛快でした。普段は政治の話しをしない友人からも、「あれってなにがあったの?」って言われました。

内山:宣伝部も正式に抗議をしていたし、僕も、「これは絶対に原因を追求すべきだ!」って自分のアカウントでも書いたんですけど、「こういうのはあまり盛り上げないでください、監督は淡々としていてください」とまわりに言われました。僕は初めてだからワクワクしちゃってたんですけどね。でも、いまだに気持ち悪いのはTwitterってこれだけインフラになっているし、誰でも自由に扱っていいものだと思っていたら、政治的なものに関しては突然凍結をするしその理由は明かさない。それは、圧力や別のチカラという憶測を生むことになります。菅政権と同じですよね。自分たちはなんて脆弱な社会に生きているんだ、と。もし、また映画の撮影ができるならネットの裏側に関して追求したいです。Twitterに限らずインターネットにおいてなんらかの力をかけたい人たちは、どこに付随していて、一体なんのメリットがあるのか知りたい。それは絶対にテレビではできないですからね。

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映画『パンケーキを毒見する』

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7/30(金)より新宿ピカデリー全国公開
 
企画・製作・エグゼクティブプロデューサー:河村光庸 
監督:内山雄人 
音楽:三浦良明 大山純(ストレイテナー) 
アニメーション:べんぴねこ 
ナレーター:古 寛治
2021年/日本映画/104分/カラー/ビスタ/ステレオ 
制作:テレビマンユニオン 配給:スターサンズ 配給協力:KADOKAWA  
©2021『パンケーキを毒見する』製作委員会
 
無観客配信「パンケーキを毒見する」公開記念トークイベント
2021年8月8(日)
START 13:00
 
【出演】
内山雄人(監督)
青木美希(ジャーナリスト)
畠山理仁(ライター)
 
 

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