上京の緊張感と父親と対峙する恐怖
──今回竹内さんは実くんを演じてみてどうでした? 自分とかぶる部分はありました?
竹内:自分とかぶる部分はほとんどなかったんですよ。長野のりんご農家から上京して「芸人やりたい、でも認められてない、どうしよう」というのと「東京に生まれ育ち、実家にいながらにして芸人やる事を親に応援されている」という、全くもって反対なので今思えば僕も同じような経験をしていたらそれを再現しようと変に考えすぎちゃう気がするので、この映画を通して実として上京の緊張感と父親と対峙する恐怖みたいなものを初めて体感して、本当に怖い感じが出たから良かったんじゃないかなと、今はだんだんそう思ってきています。
──実くんとお父さんのシーン泣ける所たくさんありますよね。
竹内:実際に松川と東京を高速バスで撮影で何回か乗らせてもらって距離感が何時間かかるとか分かった上でお父さんとバッと会って「どこ行くんだ?」「東京行ってくる。」って言った後のこの何時間、辛い。こんな別れ方で東京行くのかと思うと、俺だったら嫌だなぁって思ったりして親父と気まずくなろうがそれでも行く所はそういう距離感も分かってやってみると凄いなって思いましたね。
──お母さんと実くんのシーンとか凄く映像が綺麗で印象的なのですが、おすすめのシーンを教えてください。
竹内:僕は高台のシーンは本当におすすめで、幼少期のお母さんとの約束の場所でもあるし実自身も大きくなってから行く場所ではあるし高台のシーンは結構大事なシーンになってくるんで本っっ当にいい景色だし。絶景としてまず良い所だしそこで実が成長していく様があの場に行く事で分かって来る所もあるので松川町の自然の良い所があの高台のシーンはかなり凝縮されていると思いますね。
──あの高台綺麗でした。りんごと竹内さんも合ってますよね。田中さんはどこがおすすめですか?
田中:実とエーマのケンカのシーンが。ケンカした事ないんでなんか演技したなぁっていう充実感があるシーンでしたね。もちろん難しいですし、もっとできたかなとかいろんな事考えちゃうんですけど終わって出来上がって観た時にがんばったなぁ〜って凄い思って。一番最初に思い出すのはケンカのシーンですね。取っ組み合いなんかした事ない。どんぐらいの強さでもって良いかも分からないし、そんなに強くいかないよって言われたら恥ずかしいしでも弱く持ってるとケンカした事ないじゃんって思われちゃうし。
竹内:舐められたくないしね。
田中:まだ相方で良かった。あれが俳優さんとやってみましょうだったら俺いけないと思う。もうアザができても竹内だから良いやって気持ちでやってましたね。貴重な体験をさせてもらえましたね。
──ケンカしないですもんね2人とも。ずっと野球の話してますもんね。
田中:そう思われてんのもあれだけど(笑) 。
──竹内さんは爆笑問題さんとご一緒に撮影されてましたけどどうでした?
竹内:あれが一番最初の撮影だったんですよ。さぁ今日から2週間ぐらいで一気に撮ろう! 東京のシーンからパパッと撮って長野だ!さぁ一発目TBSラジオで爆笑さんと!ううう〜胃が痛い(笑)みたいな感じで僕も八木さんもガチガチで(笑) 。それで蓋開けてみたら爆笑さんが台本読んでないっていう。
──やっぱり! 凄い自然な感じでしたもんね。
竹内:本人役だからそれで良い気はするんですけどただ僕はセリフ覚えちゃってるもんですから。八木さんもお2人が台本読んでないっていうのを知ってじゃあ任せます!って(笑) 。僕も流れに身を任せてやるしかなく。ただあのシーンは慌てる実のシーンなんでそのままでよかったんです。
──そのままなんですね(笑) 。
竹内:そうです! 自由にしゃべるお2人と翻弄される若者というのであれはそのままですね。
──実くんは松尾さんがモデルなんですよね? エーマにもモデルがいるんですか?
八木:いや、いないですね。実が母体となってるんですけどエーマもヒデも朱美も実の分身として描いててもし高校卒業をして上京を決めてたらエーマになってたし実家に残っていたらヒデになってたし東京行って戻ってきてたら朱美になってたし、実の分身なんですよ。モデルがあるというよりは、僕自身が結構よく考えることなんですけど、大学を卒業して映画の世界に行っていたらアイツになってたのかな…とか、そうしたら多分戦って生きているはずなのでエーマというキャラクターを作ったって感じですね。
──竹内さんて漫才やる時とかトークの時もなんですけど表情がすごい動くじゃないですか今回の映画を観て目で凄く演技をしているように感じたのですがいかがですか?
竹内:顔っていう事で言うと基本的には動かさないようにしていました。いつもの僕の顔が出てしまうので。この映画に合わないので(笑) 。どういう顔をしようという工夫じゃなくて余計な顔をしないそういった部分が良かったんだと思います。
八木:でも目でお芝居してるシーンあります。
竹内:目でお芝居してます。
一同:爆笑。
八木:意識なく(笑) 。
竹内:勘でやってます(笑) 。
田中:天才なんじゃない(笑) 。
──自然にできてたんですね。
田中:八木さんの指示が的確というか、竹内の良い画を撮るのは八木さんが一番上手い。
竹内:僕の取扱説明書作って映画業界に配って欲しい!
──竹内さんだけが他で映画出ますって事になったらこんな上手い事にはならない(笑) 。
竹内:ならないんじゃないですかね〜? 本当に良い誤解がいっぱい詰まってますよ。
田中:そんなこと言うなよ(笑) 。めでたくいこうよ。引き出しは増えたんじゃないこれで? こういう事もできるよって。
竹内:いざお芝居した時にフッと思い出せれば一番良いよね。
田中:あの時に似てるなって。
竹内:そこら辺は八木さんが色々教えてくれて本当にありがたいですね。
──また役者のお仕事が入ってくる可能性は全然ある訳だし。
竹内:役者として着実にステップアップしてますんで(笑) 。
──お仕事の幅が広がりましたね。
竹内:いや大挑戦でしたよ。こんな役をまさかタイタン入る時。芸人始める時やると思ってないし。当時の僕だったら全然できないだろうし。こうやって芸人をやって八木さんがお芝居の仕事を取ってきてくれて色々経験した事をフルに使ってなんとかって感じだったんで。
──このポスターの写真もとっても良い写真ですね。
田中:これはベストショットですよ。
竹内:八木さんのお気に入り! これはなんでもない時にさらわれるようにして撮ったんですよね。
八木:スチールさんが撮ったんだよね。
竹内:撮影の工程もだいぶ終わった所で、僕のシーンがいったん終わってボーッとしてたら竹内さん今のうちに! って言われて。俺最初リンゴ持ってニカって笑ったら「それじゃないです!」って言われて(笑) 。やり直してこの顔ができました。
田中:たぶん、なんかの表情の途中なんだよ。竹内はここで止まれないんだよ絶対。
──映像も全部綺麗だったもんなぁ〜。
八木:町自体も映画を撮るなんて初めてだったので色々手探りだったんですけど、松尾さんが結構行政とか商店街とか駆け回ってくれて徐々に町が一つになっていったというか。最後みんな協力してくれて。
──すごく良い! みんなで作り上げたんですね。松尾さんがモデルなんですもんね。
竹内:松尾さんが実際にいてくれる事でこの話の信憑性みたいなのが増してくる。嘘みたいな話ですからね。こんな事あるかよ! ってもし言う人がいたら居ますよ。って出せるんで松尾さんを。かなり重要な存在ですよね。
「芸人さんにたくさん観て頂きたい。」「俺らがんばりましたっていうのを友達の芸人はみんな観てほしい。」と八木監督もまんじゅう大帝国のお2人も仰ってました。10月9日(金)よりロードショーです!