ウォリアーズでできなかったことにもチャレンジしたい!
──ありがとうございます! そのトークでNICKEYさん、「(コロナ禍で)できることは狭くなってるけど、楽しいことを見つけていきましょう!」って言ってて、私はホントにそうだって感動したんですよ。
NICKEY:自分のテンションを上げる方法って、みんなそれぞれいろいろあるでしょ? たとえば…、自分の例なんだけど、どんなに落ち込んだり、怒ってたり、悲しいことがあっても、お気に入りの服やバッグを見つけちゃうと気分が晴れちゃって、「あれ? さっきのあの気分は何だったのー?」みたいな(笑)。泣いたカラスがもう笑った? 的な(笑)。あたしって実に単純なんです。すっかり気分は直っているのに、恥ずかしいからちょっぴりだけ怒ったふりをしていることもありますね(笑)。自分を上手に飼い慣らすことは楽しいことですねー(笑)。
──自分を飼い慣らす! なるほど~。あと20代の頃に、ミチロウさんから言われた言葉が大きいそうで。
NICKEY:音楽の父、遠藤ミチロウさんが残してくれたメッセージは、多感な20代の頃に胸に響きました。多分、いろんなことで悩んでいる時期で落ち込んでいたんです。そしたら、「せっかく女の子に生まれたんだから楽しくしていなきゃダメだよ」、「楽しくしていたらみんなが寄ってくるんだよー!」って。その気持ちはこれからいくつになっても持ち続けていきたいなぁと思ってます!
──そして、マネージャーの黒田義之さんが癌で亡くなられるという悲しい出来事がありました。急だったよね。
NICKEY:黒さんとは30年前からの付き合いではあったけど、「俺が最後にマネージメントするのはNICKEYだ!」と、私を選んでくれたことに感謝してます。のんびり屋の黒さんとセッカチなあたしと随分意見も食い違ったり言い合いもしたけど、最終的には尊重してくれて歩み寄ってくれていましたね。黒さんの死はあまりに突然でショックでした。これからって時に亡くなってしまったから。黒さんはあたしの歌を買ってくれていて。パンクとかライブとかのイメージではなく、ボーカルとして。大切な理解者だったので、正直まだ整理はつかないですね。
──この数カ月はかなりヘヴィだったと思います。でも、たとえば私にヘヴィな出来事があったときに、NICKEYさんのキラキラして明るい存在と音楽は、絶対に励みになると思う。NICKEYさん自身、音楽に救われることは? 音楽をやること自体が救いになってるのかなぁ。
NICKEY:えー、そんなこと言っていただけるなんて、めちゃくちゃ嬉しいです! あたしはウォリアーズ始めた頃は、自分なりにカッコつけることに精一杯で、まだ全然何も考えていなかったけど、いつ頃からかなぁ? 多分15年とか20年前ぐらいから、あたしの歌を聴いたりステージを観てみんなが元気になってくれることが一番嬉しい! って感じるようになったんですね。ライブを観に来るお客さんは、日頃のストレスを発散したり楽しむためにお金払って来てくれているわけだから、日常を引きずりたくないし、「今日、観に来れて良かったー! 元気出たー!」と思ってもらいたい! そしてそれがあたしの元気に繋がるわけなので!
──うんうん。そしていよいよリリースの『太陽はひとりぼっち』。ソロとしては久しぶり。今ソロを出す理由は?
NICKEY:ソロをまたやろうと思ったのは、2年ぐらい前からまずいろんなタイプの曲を歌いたい! ウォリアーズでできなかったことにもチャレンジしたい! と思ったんですよ。曲作りのパートナーのクロスがどんどん良い曲を作ってくれるので、さらに音源としても残していきたいと思うようになりましたね。
──今回、ゲストボーカルに森重樹一さん。出会いって?
NICKEY:森重さんとの出会いは20歳のとき。知り合いのギタリスト(ジョーキッズ)に連れられて、新宿のウェンディーズで紹介されました。それからもう随分会ってなくて、歴代ギタリストのタキが森重さんのアコースティックのライブに参加したりで、タキがウォリアーズにゲストで出てくれたときに、森重さんがライブを観に来てくれたりして。あたしもZIGGYを観に行くようになったり。あと身体をメンテナンスしてくださる先生が同じで、そこのスパで偶然会ったりで、交流が深まりましたね。
──「太陽はひとりぼっち」は曲をまず作ってから森重さんが浮かんだ? それとも森重さんをイメージして曲を作った?
NICKEY:森重さんと一緒に歌うと決まった時に、クロスがぴったりな曲があるよって。ウォリアーズのライブのSEで、Undertonesの「Teenage Kicks」を以前かけてたんだけど、その曲のコード進行を倍にして作ったらしいです(笑)。もともとは一人で歌う曲だったんだけど、デュエットとして交互に歌う歌詞に書き替えて。
──「太陽はひとりぼっち」って、タイトルがまずいい!
NICKEY:「太陽はひとりぼっち」はアラン・ドロンとモニカ・ビッティの映画があって。あたしは「太陽がいっぱい」という曲もあるので、映画タイトルシリーズなんです(笑)。
──NICKEYさんも森重さんも、長年にわたりバンドのフロントマン。何か共感、共有する感じはありました?
NICKEY:うーん、そうですね。いろんな危機や時期を乗り越え、今もこんな時期で活動範囲は狭まってしまっているけれど、お互いとても充実しているんじゃないかな。一緒にレコーディングして思ったことは、森重さんはホントに引き出しが多い! 直感や判断力も素晴らしく、集中力ももの凄い! そしてすべてに自分を出し切る! 感動のレコーディングでした。あとね、出前の夕ご飯を食べる時間がなくて、好物のイカフライ弁当を持って去っていったんだけど(笑)、歌入れでジャラジャラとマイクで拾わないようにって、お財布とキーを置いておいたのを忘れて帰ってしまったんですよねー(笑)。