ニーハオ!!!!の4thフルアルバム『FOUR!!!!』が完成! フロアタム、ドラム/サンプラー、ベース、ギター、全員の声が飛び回るボーカル。さらにクラーク内藤がトラックを担当したナンバーも。4人の個性が痛快に炸裂しながらグググッとグルーヴを作り出す、バンド感、ライブ感溢れるアルバムだ。そのライブも、横に並んだ4人はルール無用の奔放さで、ポップな爆音を蒔き散らしていく。楽しい!
結成から約20年。「面白いこと、楽しいことをやろう!」と突き進んできたニーハオ!!!!。その楽しい音に、感情、意思と意志、肉体が確実に宿っているのが、この最新作『FOUR!!!!』。
バンドのこと、女性であるということなど、YUKARIへのインタビューは新型コロナウイルスの影響によりSkypeで行なった。ヘヴィな日々に、『FOUR!!!!』はメチャメチャ輝いていた。(interview:遠藤妙子)
配信は配信の伝え方で面白いことができる
──新型コロナウイルスの渦中ですが、こんな時期のリリースで。でも今で良かったなぁって私は思っていて。
YUKARI(BLUE YUKARI:floortom, vocals):良かったですよね。最初は、レコ発もできない、宣伝も思うようにできない、お店も閉まってる、めっちゃタイミング悪いじゃんってガッカリしてたんです。でも昨日ARIKO(RED ARIKO:drums, sumpler, vocals)と電話で、リリースがあって良かったねって。いろいろやらなきゃいけないことがあって救われたというか。今だから良かったねって。
──こういう時だからこそ活動しているってことを提示できるのは、凄くいいことだなと。リスナーも凄く励みになると思う。
YUKARI:そうであればいいな。
──Limited Express(has gone?)としては先日、BUSHBASHで配信ライブをやりましたね。
YUKARI:凄いスピードで計画が進んで本当に素晴らしかった。外に出なくてもできることをやろう、外に出なくても見られるものをやろうって。それはもちろん、全然否定してなかったんですけど。実はわたし自身、やるかどうか迷ってたんです。なんか…、カメラ越しに配信ライブをするって感覚にいきなりなれなくて。
photo:浦将志
──きっとYUKARIちゃんにとってライブは凄いテンションが必要なんだよね。ライブへ向かう意識をバシッと高めなきゃライブはできないっていう。
YUKARI:かもしれない。お客さんがいない中で自分のパフォーマンスがどこまでできるのかわからない、みたいな。
──お客さんを巻き込む、お客さんと一緒に作るっていうのがリミエキのライブだもんね。
YUKARI:あと、単純にこっぱずかしいっていうのもあるし。配信に関わったメンバーに「なんで配信やりたいの?」って訊いたら、「ちょっとでもみんなが元気になれば」っていう意見もあって。それがわたしには凄い高いハードルで。誰かを元気にするためにやるの? って思ったら、自信なくて。あの日に出たFUCKER、DEATHRO、田島ハルコさんは人を元気にしたり鼓舞していったり、そういうことができるカッコいいアーティストだと思うんですよ。でもわたしは、今みんなに元気を与えることができるのかな? って凄い思ったんですよ。そういう自信が自分にはなくて。
──できるよ! まぁ、今は音楽や表現や自分の立ち位置を考えざるを得ない時だし、東日本大震災の頃のような。
YUKARI:ホントそうですよね。
──いろいろ考えてる時だと思うけど。みんなを元気にするっていうのは結果であって、それが目的になったら違うんじゃないかっていう?
YUKARI:それもあるかもしれない。配信をやるって決めたのは、今ライブをやらなきゃいけないし、配信って方法しかなかったらそれをやるしかないし、それがわたしのやりたいことなんだってシフトチェンジできたんですね。
──配信を終えてどうだった?
YUKARI:音楽の新しい楽しみ方ってまだあるんだなっていうことが、ちょっとわかったかな。配信は配信の伝え方で違った形のライブができる。このやり方でも何か面白いことができるなって。コロナが過ぎたら世の中は変わるって予感があるじゃないですか。変化する中でのやり方の、ちょっとしたヒントの一日ではあった。
──今Skypeでインタビューしてるけど、これも当たり前のものになっていくだろうしね。
YUKARI:ツールの一個としてね。ただああいった形の生配信は、うちらのようなバンドにとっては一発しか撃てない弾だよなぁ、とは思いましたけどね。
──あの時だからこその思いもあったわけだしね。「慣れ」になってはいけない。
YUKARI:そうそう。わたしとしての着地点は「今やらなきゃ。今演奏しなきゃ」って思いだったんですよね。そのクオリティを常に保てるのか?って考えると、難しいかもしれないなぁって。
──YUKARIちゃんって、「今やりたい」「これしかない」っていうパッションが原動力なんだろうね。
YUKARI:そうかもしれない。この間の配信も、やるんだったら何か新しいことをやらないといけないって思って、新曲を作ったし。
──凄い。やりたくないって言ってた人が、余計ハードルを高くしてるんだ(笑)。
YUKARI:そうなんですよ(笑)。たぶん自分でもハラハラしたいんですよ。なんていうのかな、日常の生活でギリギリってことはなかなかできないじゃないですか。たとえば私が急にメチャクチャなことして家を出てったら大変なことになる(笑)。そういうことはやっぱりできなくなって。若い頃はできたんですよ。音楽も生活も全部がギリギリで。
──昔はバンドなんていつ辞めてもいいって気持ちだったって言ってたもんね。それがそうじゃなくなってきた。
YUKARI:若い頃は音楽に対しても人生に対しても、いつ辞めてもいい、いつ死んでもいいって気持ちでしたね。でも今はそうじゃない。死んじゃダメだし、死にたくない。そう思ったら、日常でメチャクチャやれない分、全部バンドに(笑)。
──なるほどー(笑)。ニーハオ!!!! もリミエキも変わり続けてるわけだけど。ニーハオ!!!! とリミエキの違いって?
YUKARI:リミエキはわたしだけのバンドじゃなく、(谷ぐち)順ちゃんがいて(飯田)仁一郎くんがいて、いろんなことを考えている。むしろわたしはあんまり大きなビジョンを持ってない。ニーハオ!!!! もわたしだけのバンドじゃもちろんないけど、「ヨシッ! ついてこい!」って感覚があるんですよ。リミエキのライブでは何も考えずに好き勝手にやれるんですね。ニーハオ!!!! は「こんなに面白いとこがあるよ!」ってメンバーを連れてく感じ。一緒に行こうって。
──ニーハオ!!!! のライブ、4人が横一列に並んだ立ち位置が凄くいいんだよね。ホント、一緒に行くぞ!って感じで。
YUKARI:いいですよねー。ニーハオ!!!! のライブでは、なんならわたしは唄わなくていいって思ってるし。わたしは最初の煽りだけで、あとはメンバーそれぞれが自由にやって。わたしはそれを見ていたい(笑)。3人がめちゃくちゃ可愛いし。4人で一緒にやってるってことを意識できるのが凄く楽しいんですよ。