一つの物事へ向かうに当たっても、そのやり方は幾通りもある
――明るく心地好い表情から、一変。「逆想のイカロス」では、内面に渦巻く葛藤を激しい楽曲へぶつけました。
景夕:デモの段階ではもっと激しかったんですけど、そこは都さんのアイデアで、Aメロの僕の暗い感じの歌声へエフェクトをかけ雰囲気をより感情的に変えてゆくなど、まさに都さんのアイデアによって、激しさの中にもつかみを持つ表情を描き出せた楽曲になりました。
結良:ドロップDの重い楽曲でありながら、原曲はもっとテンポの速い裏打ちの8ビートナンバーだったんですけど。アルバムを通したときの際立ちを考え、より重い感じにと都さんへ仕上げていただけました。この楽曲のドラム、ライブでは絶対に再現不可能なので、そこはライブアレンジしていくように、そこの違いも楽しんでもらえたらなと思います。
――歌詞へは、内面へ渦巻く感情をぶつけていません?
景夕:内面を出したというところでは確かにそうですけど。Kraの持ち歌の中へイカロスを題材にした「負の前進」という楽曲があります。「逆想のイカロス」は、その続きのような感覚で歌詞を書き始めました。
――そこには、逆転の発想が生きているわけですよね。
景夕:その通りです。朝に空へ飛び立ちながら、太陽の熱で翼が解けて地上へイカロスが落ちたのなら、夜に月に向かって飛べばいいじゃないか。一つの物事へ向かうに当たっても、そのやり方は幾通りもあること。それを自分なりに探そうというのが「逆想のイカロス」になります。
――その言葉、今のKraが一番伝えたい想いでもありません?
景夕:そうですね。自分らなりの良さをどうやったら一番明瞭に伝えられるかは、今でも模索している面はありますからね。
――最後は「2/4」になります。この楽曲は、Kraが4人から2人になって以降の自分たちの心模様を赤裸々に描きあげた楽曲になりました。
景夕:たとえ状況が変わろうと、こうやって同じようにライブを通して会える日々を繰り返していける。もちろん、これからもずっとその日々を応援してくれるファンたちと繰り返し続けていけたら。そんな想いも込めています。
結良:もともと、今回のミニアルバムの表題曲と考えていたように、とてもKraらしい楽曲。ファンたちには、歌詞に込めた想いも含め、とても喜んでもらえる内容だけど。良い意味で過去のKraの延長にもある曲。そこで意表をついて、新しいKraの面を見せたかったことで、リード曲が「Dis WORLD」になったわけですけど。逆に捉えれば、従来のKraファンはとても楽しんでもらえるし、僕らの今の気持ちが見えてくるぶん、とても安心を覚えてもらえる楽曲にもなっているなと思います。
景夕:「逆想のイカロス」を踏まえたうえでの「2/4」という流れを感じることで、良い意味で心救われた気持ちにもなってもらえるんじゃないかな。むしろ、そう感じてくれたら嬉しいなと思います。
結良:確かに、「2/4」を聞くことでファンの人たちは安心してくれると思うよね。
今のKraの形として一番理想を具現化できた作品になった
――2人編成のKraになってから1年を越えたところでの新作リリースというタイミングだからこそ今回の作品が生まれたなとも、「Dis WORLD」を聞いて感じました。
景夕:それはあったなと思う。たとえばの話、新体制になって半年後にリリースとなっていたら、もっと焦りを持った作品になっていたように、「Dis WORLD」のような内容にはきっと仕上がっていなかったと思う。
結良:僕らもそうだけど、お客さんたちにとっても、ライブ活動を1年間重ねてきたうえでの新作リリースというように、受け止める気持ちのうえでもちょうど良いタイミングだったんじゃないかな。
景夕:それと、今回都さんにプロデュースしていただけたのも大きかった。うちら自身ライブ活動を続けながら、音源を出し、その後にツアーをやっての繰り返しの中、どう新しい刺激を自分らに与えてゆくかで模索していた面もあったように、そこへ自分らとは異なる視点での刺激を都さんが与えてくれたことが、ミニアルバムを制作してゆく面でも良い刺激になりましたからね。もちろん、これからもリリースやツアーというルーティンは続けていくわけだけど、その中へどう刺激を与えてゆくかは大事なことだと思っています。
――完成したミニアルバム「Dis WORLD」にも、お互い嬉しい手応えを感じていますよね。
結良:こうやって2人編成で再スタートを切ったわけだけど。今のKraの形として一番理想を具現化できた作品になったんじゃないかな。
景夕:その満足感がありつつ、完成した作品を聴きながら、自分で「もっとこういう楽曲も耳にしたい」と思えているように、ますます未来への楽しみにも繋げていける作品にもなりましたからね。
――3月20日を皮切りに、ミニアルバム「Dis WORLD」を手にした全国ツアー「Kra RELIESE LIVE 2020 【Dis WORLD】」がスタートします。
景夕:また新たなサポートメンバーを迎えてのツアーとなるように、どんなステージングを描けるのか今から楽しみにしています。
――やはり、メンバーが変われば。
景夕:それぞれのメンバーが背負ってきたバックボーンも音へ反映されるように、当然違ってきますからね。サポートメンバーの方々もそれぞれスケジュールがあるように、うちらも今は、その都度出会うメンバーたちと、そのメンツだからこそ生まれるKraの音楽を楽しんでいるところが強くある。もちろん、そのための準備の大変さもありますけど。それも踏まえつつ、楽しんでいますから。
――ライブのMCでも宣言していますが、2人とも、このままずっと周年を重ねながらKraのメンバーとして長く活動を続けてゆくことを表明しています。その言葉が、応援する側にとっても嬉しい安心感になるんですよね。
結良:だって音楽を、Kraを辞める理由がないからね。Kra自体が決まりきった音楽スタイルがあるわけではないように、その都度、お互いに表現したい音楽をやれば良いこと。
景夕:むしろ、ツアーやライブごとにコンセプトを変えて表現しているように、その都度のスタイルを楽しみながら。何より、お客さんたちが不安にならないよう、これからもKraらしさを見せながら周年を重ね続けていきたいですし、区切りの年になったらまた何か新しいことへ挑戦するなど、そういうバランスも上手く取り入れながらこれからも進み続けていきたいし、そうしていくだけですから。