テンションが途切れない映画
――岸井(ゆきの)さんの演じるエモトは、ガンダムとマジンガーZとの違いも判らないくらいだったのに掘削オタになっていって。六角(精児)さん演じるフワさんの厄介なベテラン感も面白かったです。
上田:ダムのシーンの歩いているところは六角さんのアドリブなんです。
――凄い。事前にダム知識を持って役を演じられていたということなんですね。私はメイン5人の中だとアサガワが好きです。策略家として外堀を埋めていくところが。
上田:いいですよね。確か監督のアイデアだったと思うんですけど、電車のシーンでアサガワが持っているボールを若手のドイに渡すのはいいなと。
――いいシーンですよね。ドイが、「始めたのはアサガワさんじゃないですか」と返すのも良かったです。実際に映画になることで変わる部分もあったと思いますが、完成した映画を観られていかがでしたか。
上田:すごく良かったです。面白かったです。巧みなバランスで作られているので、ずっとテンションが途切れない映画でした。
――作中で各キャラが次々バトンを渡していくのが丁寧に描かれていて熱くて、見終わって実際に作ってくれないかなと思いました。
上田:実現はできないというのがこの作品の切なさですね。切なくなるのが映画としていい部分になっていると思います。
――作れずに終わっているということで、夢を見続けることができているのかもしれないですね。
上田:そうですね。
――ラストがすごくて、実際はファンタジーなのか現実なのかわからなくなってしまいました。
上田:僕が書いた脚本は寂しさを残したラストだったのですが、映画では振り切っていたのでよかったです。まだ行くんだ、と。
――これから公開され、さらに盛り上がりを見せていくことになりますね。
上田:この映画は見た目・企画性がかなり変化球なしつらえなので、色物映画と見られてしまうかもしれないですけど大名作だと自分では思っているので、だまされたと思って観に来てください。この映画の撮影チームの方々がイワサカさんに、「僕らとしても何年かに1回出会えるか出会えないかという作品なんです」とおっしゃっていたのが印象的でした。それは計算してもできないことです。ぜひその熱を感じに来ていただきたいです。