90年代の終わりに飯田仁一郎とYUKARIにより結成されたLimited Express (has gone?)。3ピースだったリミエキが現在の体制になり、2016年に『ALL AGES』をリリース。ソリッドでフリーキーなサウンドにハードコアパンクのぶっとさが加わり、よりアグレッシブに変化。そして最新作『perfect ME』。オルタナ、ハードコアに片脚ずつかけグイッと広げ、アイディアもさらに豊富。これまで以上のバラエティ。その真ん中にベース&ボーカルからピンボーカルになったYUKARIのボーカリストとしての存在感。ライブでの、会場を縦横無尽に飛び回る姿は痛快。同時に観客としっかり向き合う誠実さや温かさを感じる。伝えたい、届けたい、その思いが歌詞となり声に宿る。胸を打つ、身体は躍動する。
伝えたいこと、届けたいこと。それは生活の中から感じたこと。自分たちが生活しているのは社会であるということ。生活や社会を音楽に取り入れるのではなくて、生活や社会と音楽がダイナミックにリンクしていく。生活や社会も音楽なのだ。そしてそれは生き方なのだ。
傑作を完成させた絶好調のリミエキ。メンバーは飯田仁一郎(g)、YUKARI(vo)、谷ぐち順(b)、もんでんやすのり(ds)、サポート・メンバーの小森良太(sax)。インタビューは谷ぐち順、YUKARI、そしてチーターズマニアのボーカリスト、共鳴もチラリと参加。2017年公開の映画『MOTHER FUCKER』主演の3人は、もちろん家族であり親子であり、個人であり、カッコいいバンドマンである。(interview:遠藤妙子)
初めてバンドマン同士になれた気がする
──今日のインタビューは共鳴くんも参加で。よろしくお願いします。
共鳴:はい。
──ちょっと前のことだけど、Less than TVの夏フェス『METEO NIGHT 2019』でのチーターズマニア、凄く良かったです。自分では?
共鳴:うん。良かったです。
──どんどん良くなってる感じ?
共鳴:うん。
谷ぐち:バンドやってるのが楽しくなってきてるんじゃないかな。ライブで盛り上がってるっていう実感とか。どう?変化はあるの?
共鳴:うん。
谷ぐち:なんかライブのたびに作戦みたいなのがあるんだよね。この間の『ボロフェスタ』の時は何を気をつけてたんだっけ?
共鳴:声。パンクの声でやろうと。
──カッコイイ!出せた?
共鳴:出せたと思う。
谷ぐち:『ボロフェスタ』の時はお客さんぎっしりで。共鳴はフロアに降りてお客さんの中で唄いたいって作戦もあったんだよね。でもフロアに降りる前に、お客さんに軽々と持ち上げられてリフトになっちゃって(笑)。
共鳴:フロアに降りようと思ったけど降りられなかった(笑)。
──みんな共鳴くんのことを持ち上げたいんだよ(笑)。
谷ぐち:でもそろそろパフォーマンスの幅も広げたいでしょ?広げたほうがいいよ。
──どう?こういう、注文つけてくる親(笑)。
共鳴:ちょっと面倒くさい(笑)。
谷ぐち:バンドの話はまだ聞くよね。プライベートな生活面の話は全く聞かないけど(笑)。
──バンドマンの先輩としての話なら聞くけど、親としての話は聞かないんですね(笑)。『METEO NIGHT』でチーターズマニアのライブの後、YUKARIちゃんが「初めてバンドマン同士になれた気がする」って言ってたしね。
YUKARI:あの時が初めてですね、母親目線が全然なかったのは。それまでは学芸会を見てるお母さんの気持ちに近かったと思う。「頑張れ、頑張れ」って。『METEO NIGHT』は母親目線じゃなく共鳴をボーカリストとして見れた。タイムテーブルがニーハオ!!!!からチーターズマニアだったんだけど、共鳴はバチッと空気感を変えてチーターズマニアに持っていったから。見ててオォォ!ってなった。
谷ぐち:共鳴はさ、チーターズマニアとリミエキとニーハオ!!!!とFUCKER、どれがカッコイイと思う?カッコイイことをやってるのはどれ?
共鳴:リミエキ。それかニーハオ!!!!。
谷ぐち:そうなんだー。チーターズマニアは?
共鳴:チーターズマニアは一番。でも、まだまだだから一番ではなく。
YUKARI:FUCKERは入らないんだ?(笑)
谷ぐち:俺だけは眼中にないんだね(笑)。
──チーターズマニアはどんどん変わっていきそうだね。ライブは緊張する?
共鳴:あんまりしない。ライブの間が空くとちょっとする。
──ライブも楽しみにしてます。『METEO NIGHT』はリミエキも凄かった。YUKARIちゃんが脚立の上で唄ったのには感動した(笑)。あの時、まずYUKARIちゃんはフロアに降りて脚立に昇って唄った。脚立からダイブして、その後、店の人が片付けたんだよね、危ないから。でもYUKARIちゃんはまた引っ張り出して脚立のてっぺんで唄った。もう、感動(笑)。やりたいことはやるし、表現の自主規制などしないってことだし、脚立で唄ったらお客さんが支えてくれるって信じてるわけだし。
YUKARI:あんまり覚えてないけど、たぶんその時のMCでも言ってましたよね、表現の自由についてとか、お客さんを信じてるみたいなことは。
──うん。「私は自分のことを誇りに思う。みんなのことも誇りに思う」って言ってた。今回、ステッカーにも脚立が描かれてるし、脚立は重要なモチーフになってるよね。
谷ぐち:でもやりたいことをやるってことや表現に規制はしないってことは、今回新たに思ったことじゃないし。ずっとそうだし。