7月17日(水)に阿佐ヶ谷ロフトAにて開催される、「奇妙礼太郎×塚本功LIVE ふたりのビッグショーVOL.5」に先駆けて、奇妙礼太郎さんと塚本功さんの対談を敢行。無二の歌声を持つシンガー・ソングライターと鬼才ギタリストの関係性から、奇妙さんが事務所を独立し新たなスタートを切った経緯までたっぷり語ってもらいました。[interview:宮内健/企画:山崎尚哉(阿佐ヶ谷ロフトA)]
エレキギターを抱えてそーっと忍びこんで
──塚本さんは、ゲスト・ミュージシャンを招いてのセッション企画「ふたりのビッグショー」を、阿佐ヶ谷LOFT Aで定期的に開催しています。この企画がスタートしたきっかけは?
塚本:この阿佐ヶ谷LOFT Aが出来たばかりの頃、僕が阿佐ヶ谷に住んでて。ロフトのスタッフとの繋がりがあったんで、最初に何度かやって。そこからしばらく時間が空くんだけど、ある日、高円寺の飲み屋で山崎くん(現・阿佐ヶ谷LOFT Aブッキング担当)とよく会うようになって。彼はその時までバイトだったんだけど、阿佐ヶ谷LOFT Aで働いてるってことで、じゃあまたやろうか?ってことで再開したんです。
──その企画には、奇妙さんもこれまでに何度か出演してるんですよね。ここ数年で、二人で演奏する機会が増えていますが、最初に共演したのは?
塚本:僕がよくライブをやらせてもらってる福岡のBARがあるんですけど、その主人の企画で渋さ知らズが出演するイベントがあって。奇妙さんは渋さのゲストで呼ばれてたんだけど、お店の人に「塚本さん、奇妙さんとちょっとセッションでやってみませんか?」って言われて、2曲ぐらい渋さ知らズがカバーしてる曲をやったんだよね。
奇妙:一緒にやるのは、それが初めてでしたかね?
──当時、奇妙さんは塚本さんのことを知ってました?
奇妙:もちろん知ってましたけど、なんか、昔のことってどんどん忘れていくんですよね。で、気づいたら今こんな感じになってて(笑)。
──ちなみに塚本さんは、それ以前に奇妙さんの噂は聞いてましたか?
塚本:それこそ、奇妙さんのことを知ったのは、宮内さんに教えてもらったのがきっかけだったと思う。
──やっぱりそうでしたか! たしか、僕が奇妙さんのライブを初めて観た直後に塚本さんと会う機会があって、「最近なんか面白い人いないの?」って訊かれて、奇妙礼太郎って人がすごかったって話をした覚えはある(笑)。
塚本:それからしばらくして、下北沢でやってたライヴ・サーキットみたいなイベント(下北沢インディーファンクラブ)に僕が出演した時、ブギーを弾いてたら、フロアですごい踊りまくってる人がいて。後から「あれが奇妙礼太郎くんだよ」って誰かに聞いて。
奇妙:全然記憶にないんですけど(笑)。
──そんな二人が、いつの間にか共演するようになってて。僕が目撃した中で印象深かったのは、バンバンバザール主催の「勝手にウッドストック」という野外イベントでの光景。奇妙さんがひとりで弾き語りで歌ってる最中にに、塚本さんがステージの後ろからエレキギターを抱えてそーっと忍びこんで。勝手にギターアンプにつないで乱入するっていう(笑)。いきなりギターの音が鳴って、歌ってる奇妙さんがびっくりするっていうシーンは、めちゃめちゃ笑いました。
奇妙:塚本さん、あの時は完全に酔っ払いでしたよね(笑)。今はお酒飲まないから見られないですけど。
塚本:実は福岡でもそういうことがあったんだよね。トラベルスイング楽団でワンマンライブをしてる時に、舞台袖に置いてあった奇妙さんのフライングVを持って勝手に演奏しはじめるっていう。
奇妙:フライングV! やってましたね~(笑)。
──酔っ払ったおじさんがステージに乱入してきた時って、どういう気持ちなんですか?
塚本:どう考えても迷惑でしょ!
奇妙:いやいや、めっちゃ面白いですよ(笑)。
──先日は初めて二人でツアーも回ったそうですね。
塚本:岡山、広島、松山と回って。
奇妙:楽しかったですね。二人で一緒に長く時間を過ごすのも初めてですよね?
塚本:珍しく二人で結構しゃべりましたよね。飛行機や新幹線の中で。
奇妙:まぁ、8割方は黒肘さん(ツアーのオーガナイザー)が話してましたけどね(笑)。誰よりも一番楽しんでましたから。
──そういう時、二人ではどんな話しをしてるんですか?
塚本:まあ、お互いに同じようなことを長年やってるから、仕事とかの話しだったらいくらでもあるしね。それについてどんなことを考えてるのか、みたいなことを聞くのは楽しいですよね。
奇妙:ところどころちぐはぐな部分もあっやたりして、それも楽しかったですね。
──ちなみに二人の年齢差は?
奇妙:僕は43歳です。
塚本:僕はもうじき49歳だから、6つ違うのか。まぁ、それぞれね、いわゆる普通の芸能的な仕事してきたわけでもないし、自分自身で考えながらやんなきゃいけない。それでここまで来てるってことだからね。
──歌とギター、自分の腕前だけを頼りに活動してきたわけですからね。
塚本:そう言うと、奇妙くんは「何も考えて来なかったです」なんて言うんだけどね。
奇妙:いや、流されて生きてきたんで(笑)。