ジャンルを問わず注目を浴び続けるHave a Nice Day! に2018年11月より新宿LOFTで開催している『NU VOID」についてと2年ぶりの出演となる『CONNECT歌舞伎町MUSIC FESTIVAL2019』への意気込みをインタビューをしました![interview:柳沢英則、太田龍一郎(新宿LOFT)]
「ジャンク・ディスコ・バンド」とは?
——まず、Have a Nice Day! さんについて初歩的な質問をさせていただきたいのですが、バンドが掲げている「ジャンク・ディスコ・バンド」の意味を教えていただけますか?
浅見:まだHave a Nice Day! を始めたばかりの2011年、2012年の頃はバンドサウンドにはあんまり興味がなくて。ヒップホップが好きだしテクノが好きだし、だけどテクノほどシリアスな音楽をやるつもりはあんまりないし、ヒップホップみたいな斜に構えた音楽は作れる気がしなくて。だけど、曲を聴かせたいというよりは踊らせたいっていうのがまず一番初めにあって。そうなった時にやっぱりディスコっていうのがやっぱ一番大衆的な感じがして。歌謡曲なんだけど実はダンスミュージックっていうバランスでできてて。ジャンクってつけたのはやっぱりパンク、ハードコアがすごい好きで、モッシュピットとか、クラウドサーフみたいなのがそこに生まれればいいなという願いもあって。音的にもちょっとうるさい音というか、いわゆるディスコの洗練された音楽ではない感じだったから、「ジャンク・ディスコ」みたいな感じで最初は言ってたけど、だんだん関係なくなってきちゃった(笑)。
——やっぱり、バンドを続けてると変わっていくものなんですかね?
浅見:最初は憧れだったり、そこにジャンルとしての説明をしようと頑張ってみるんだけど、だんだんそれが関係なくなって、結局は自分たちの直面してる状況や現実を反映した音楽になっていくね。最近はウルトラダウンテンポなインターネットラブソングみたいな曲もあるし、テクノやニューウェーブのオマージュみたいな曲もありつつみたいな感じで。だから今はあんまり「ジャンク・ディスコ」っていう言葉はしっくりこないね。
——変わっていくものでもありますよね。
浅見:うん。超変化しちゃう。最初の憧れだけだとやれることがすぐなくなるね。
——最近は結構歌に重視した曲が多いですよね。
浅見:そう。モッシュピットとかクラウドサーフとか、いつも起きるからハバナイのライブではもう普通の風景だよね。(笑) 最近はシンガロングのほうがヤバいなって思う。モッシュピットも一つのユニティなんだけど、シンガロングも強力なユニティで。海外のバンドだとLCD sound systemとか、THE KILLERSとか、Arcade Fireとかがずっと好きなんだけど、すごいシンガロングさせる曲をちゃんと持ってて。『GLASTONBURY FESTIVAL』とか見ると「超すげぇんだな」って。見ててかっこいいなって思ってそっちに移行してきてる。最初はBLACK FLAGとか、MINOR THREATみたいないわゆるハードコアのバンドに憧れていて。だけど、だんだんフリの大きいロックに近付いていってる気がする。
——会場の一体感を感じる意味で言ったらシンガロングはわかりやすいですよね。
浅見:俺の作ってる楽曲としてはそもそもシンガロングのほうが正しいレスポンスな気がするけどね。でもライブのときの自由な空気感とか多幸感はハバナイの持ち味だし、そこにモッシュピットもシンガロングもあるという。
——結構自然にそういう曲は今作れていますか?
浅見:もともとエモーショナルな歌詞と強いメロディっていうのは楽曲としてナチュラルに作ってたけど、ここ最近の「わたしを離さないで」「僕らの時代」なんかは特にシンガロングを意識して作ってるね。
——「インターネットから生まれたモッシュ、ダイブ、クラウドサーフ、シンガロングとそれ以外の全てがそこにはある」とプロフィールに書いてあるのも気になりました。
浅見:ハバナイのお客さんはモッシュとかクラウドサーフとかもやってるけど、実は全然いわゆるハードコアとか、パンクのお客さんはいなくて。彼らはどこでハバナイを見つけるかっていうとライブハウスじゃなくて、YouTubeだったりTwitterだったりインターネット、SNSできっと見つけてくれてると思う。つまり一番最初の出会いはインターネットにあって、そういう人たちがライブに来てモッシュピットが生まれたり、クラウドサーフが生まれたり、今だったらシンガロングが生まれたりっていうフィジカルにつながっていくみたいな、そういうのが自分の中ではすごく美しいなと。東京という街とディストピアって概念がHave a Nice Day! のアイデンティティなんだけど、それはライブハウスよりインターネットの中にあるものだと思うね。
——確かにドキュメンタリー映画の上映などをされてるので、その場にいなくてもライブの雰囲気を感じ取れる機会が多そうですね。
浅見:ライブハウスにすごく通っている人で「ハバナイにも行くよ!」っていう人もいるけど、その人たちだけがメインっていうわけではないというか、意外と違う場所から見つけてきている人が多いかもしれない。
——インターネット発信というのがすごい時代に沿った売り出し方のような気がして新しいなと感じました。
浅見:そうね。でも、それも狙ったわけじゃなくたまたまそういう形になっていったというか、流れるように流れていくだけで。自然にそうなっていくんじゃないかなと思う。あと俺がインターネットに求めてる自由さはもういまの時代には失われてる気がする。
Have a Nice Day! のホームにて開催『NU VOID』
——昨年11月より『NU VOID』を新宿LOFTで定期的に開催していただいていますが、そうしようと思ったきっかけはなんだったんでしょうか?
浅見:新宿LOFTはずっとお世話になってるハコだし、俺らからしたら圧倒的にホームグラウンドというか。歌舞伎町、新宿LOFTでやるときのHave a Nice Day! っていうのが自分たちの一つアイデンティティになっているからそういうホームに普段あまり対バンしないけどリスペクトがあったり、気になってるグループをゲストとして呼ぶパーティーをやりたいという感じかな。音楽ジャンルに縛りがあるわけじゃないのでここ最近の『NU VOID』に出てもらった桜エビ〜ず、ENTH、カネコアヤノはそれぞれスタイルも活動形態も全然バラバラだね。
——Have a Nice Day! には結構新宿LOFTで企画していただいているイメージがあります。
浅見:そうそう。お客さんも新宿LOFTでやるHave a Nice Day!の安定感というか、そこにみんな思いとか、エモーションがあると思う。
——当初新宿LOFTを選んでいただいたきっかけをお伺いしたいです。
浅見:きっかけは新宿LOFTの前副店長と仲良くなったことが大きいね。彼がイベントを手伝ってくれたり、ハバナイを非常に応援してくれて。長いこと一緒にイベントやったりしてた。あと新宿LOFTはサイズ感が絶妙に良くて、2フロアあって大きすぎず小さすぎないというか。これが小さすぎると成立しないし、大きすぎるとリスクがあるんだけど、このサイズだったら実験的なことにも挑戦できる。それこそ5年位前に現下北沢THREE店長と新宿LOFT前副店長と『歌舞伎町ForeverFree!!』っていうフリーイベントをやってたね。あと『SCUM PARK』っていうハバナイ主催のイベントをやったりしているんだけど。そういうのをオールナイトでやれて、逃げ場も多くて長丁場なイベントが成立しやすいから非常にありがたい。歌舞伎町ってロケーションもうるさくて好きだし。
——Have a Nice Day!のライブは激しいイメージがあるのですが…。
浅見:全然激しくないよ(笑)。
——一番印象に残っているハプニングなどありますか。
浅見:ハプニング?(笑) ハプニングじゃないけど、すげーいいなと思うのはすごい混沌としているけど、ライブ中にモッシュピットで誰かが財布落とした、iPhone落とした、靴落としたっていってもやっぱりそいつのところに帰ってくるんだよね。拾ったやつが「落ちてるよ!」って渡してあげたりしてて、そういうオープンマインドな空気感がすごいあって。殺伐としているようで実は全然殺伐とはしていない。喧嘩とかもあんまりないし、そういう意味ではすごい美しいね。それぞれが自己責任で遊びに来てる。
——ちゃんとしてますね…。
浅見:ちゃんとしてるとは言い難いけどなぁ、マジで(笑)。だけど実際は混沌としては見えるんだけどルールがあるし。そこにヘイトなものじゃなくて根底はやっぱり愛があるからそうなるんだなって。
——お客さんが純粋に楽しんだ結果生まれる空気感なんですね。
浅見:とてもピュアなんだと思う。
『CONNECT歌舞伎町MUSIC FESTIVAL』に 2年ぶりの出演
——今回、『CONNECT歌舞伎町MUSIC FESTIVAL』にご出演いただくのですが、以前2017年にご出演いた際の思い出などありますか?
浅見:コマ劇の前のところの広場でライブやってるのめちゃくちゃヤバいなと思ったなあ。あとケータリングがめちゃめちゃ豪華だった(笑)。超充実。またやってもらいたい(笑)。あれは超よかった。
——『CONNECT歌舞伎町MUSIC FESTIVAL2019』にご来場いただくお客様に対して歌舞伎町のオススメのご飯などありますか?
浅見:オススメはもう松屋だね(笑)。松屋のカレギュウがうまい。松屋はマジなに食ってもうまい(笑)。歌舞伎町に来たら是非行ってもらいたい!
——今年の『CONNECT歌舞伎町MUSIC FESTIVAL2019』に向けての意気込みを聞かせてください?
浅見:今年のCONNECT歌舞伎町はクリトリック・リスの野音ワンマンと被ってしまったので、CONNECT歌舞伎町のハバナイも見に来てもらいたいけど野音のクリトリック・リスも応援にいってあげてねっていう(笑)。
——それが意気込みですか?(笑)
浅見:うん、意気込み!