Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー八十八ヶ所巡礼×the band apart the band apartの20周年を記念して2018年9月19日TRIBUTE ALBUM 「tribute to the band apart」を発売する。それに参加する八十八ヶ所巡礼とthe band apartのRooftopでしか読めない特別対談が実現!

the band apartの20周年を記念して2018年9月19日TRIBUTE ALBUM 「tribute to the band apart」を発売する。それに参加する八十八ヶ所巡礼とthe band apartのRooftopでしか読めない特別対談が実現!

2018.09.04

リスペクトを込めて、ベースを完コピ

廣井:そのあと新宿ロフトで2015年頃に僕らの企画に出ていただいて、それ以来になりますね。

————バンド同士の対バンとしては、その2回だけなんですね。

原:だからね、こうやってトリビュート・アルバムに出てくれるのが嬉しい。

————お互いのベーシストの印象は?

廣井:原さんって“指で弾けねえ”っていうじゃないですか。でも、スラップとか何気なくやっているし、絶対俺よりうまいなって思うところがすごいあるんです。

原:いやいや、スラップなんかしないよ、たまに弦を引っ張っているだけだよ。

廣井:ラリー・グラハムのベースを楽屋で僕がやってたら、“こうやってやってんだよ”って教えてくれたじゃないですか。“やり方間違ってたんだなあ”って勉強になりましたよ。

原:俺が間違えてんのかもね。指でベースを弾いている人を初めてみたとき、メタリカとかしか観ていなかったからピックで弾く楽器だと思い込んでたんだよね。中学ぐらいのときにベースっていう楽器があるっていうのを知るわけじゃん。そのときに観たことあったのが、ピックで弾いている人たちだけ。ジャズのプレイヤーとかのライヴ映像は観たことがなくて。“この人はすごいモコモコした音すんなー”っていうのは、じゃあどうやって弾いているんだろうなって、ピックでなんとか再現してた(笑)。指で弾いている人がいるって知った頃にはもう取り返しがつかないわけよ。もう、どうでもいいよね(笑)。

廣井:そうだったんですね(笑)。

原:お前、こうだろう?(指で弾く動作をする) “こそぎあげ”だ。

廣井:そうなりますね。ってか、そんなスタイルの言い方ありましたっけ(笑)。こそぎあげスタイルって(笑)。

————9月に発売されますバンアパのトリビュート作には、原さんと交流のある坂本真綾さんなど、八八も含めた多数のゲストが参加していますね。

原:誰が良いって聞かれたときに、俺はあんまりよくわからないから、坂本真綾だけ呼んでほしいって、それ以外は知らないかな。

廣井:オファーの話が来たときは、“なんでだろう、なんだこれは?”って思いました。

————八八の参加は、木暮(栄一/d)さんが聴きたいって言ってくれたようですね。

廣井:今回、「ピルグリム」をカバーしたんですよ。で、ピルグリムって巡礼者とか巡礼って意味みたいじゃないですか。だから、あんまり聴いたことなかったんですけど、タイトルだけで“これにしよう!”って思ったんですね。でも、いざやろうってなったら全然どんなアレンジをしたらいいのかが全然わからなくて。最終的には僕は原さんにリスペクトを込めて、ベースを完コピしようと思ってずっと耳コピしていました。音色だけはまあ自分の機材ですけどね。

————そうだったんですね!

廣井:曲は自分で決めれたんで、本当は「FULL PLOOF」とかカッコいいからやりたいなと思ったんですけど、別の人がやりたがったらそっちで決まりそうだったので、一番変化球というか。あと、よくよく考えたら僕日本語しか歌えないんで(笑)。

原:それを言ったら俺だって日本語しか歌えないよ。

廣井:でも原さん、英語でコーラスしていますよね。

原:こんな感じの口の動きで言ってっていうのをカタカナで書いてもらっていて。だから、宇宙語だよね、俺にとっては。“あ、ここでパッシング・バイって言えばいいんだ”って(笑)。

————バンアパのものよりも、歪んだギター/ベースっていうことで、八八の特徴が表われたラウド目な曲調になりましたよね。

原:なっていましたね。俺が演奏するよりはカッコよく聴こえました。

廣井:なんでそう思ったんですか?

原:この曲は荒井(岳史/g,vo)の曲なんですね。だから、作るときに自分の意思よりも曲が作曲者の意図通りに完成することを目的としたんですよ。自分の個性っていうよりは、曲ありきのプレイだからかな。それがマーガレットのフィルターを通すと、自分の関わっていたものじゃなく聴こえるから、すごくいい刺激になりましたね。

————コピーするにあたって、特にポイントとしたところは?

廣井:Aメロに入る直前とか、いろんなところで何回も高音部でハイ・ポジション・フィルを入れるじゃないですか。そこがすごく印象的で、それをコピーしたいなって思って。でも、これをやるにはアレンジを変えたらできないじゃないですか。

原:そうだね、そこだけクローズアップして、ほかは無音なのにそのフィルだけ鳴るっていう感じになっちゃうね(笑)。

廣井:そうなんですよ、そうするとまた難解なものになっちゃう。NG出るかもしれないし(笑)。

原:俺とお前は、音楽で出会ったっていうのはそりゃあそうだけど、“バイト先で知り合った”みたいなところがあるじゃん。

廣井:そうですね。バイト先の先輩の感じ、あります(笑)。

原:そんな感じだから、お前もこういうCDを出せばいいんじゃない? したら、本当にいたずらで出せばいいんだよ。それはさ、友達の誕生日に冷やかしで何かを送るみたいな気持ちでやってくれたら全然いいわけだから。

廣井:たしかに。僕は今回、お祝いとして誕生日になるべくリスペクトの気持ちを込めてケーキを作った感じです。でも、本当はプロテイン5キロとかを送りたい人なんですよ。

————(一同爆笑)。

廣井:“いらねえー”って笑ってほしいんですよね。

原:俺もそうだよ。だからさ、ラインナップにハチハチの名前があったときに、こいつが気を使ったりして、辛い気持ちになってたらいやだなって思ってたところだったよ。

廣井:実際、いろいろ悩んだけど、やっぱりアレンジを変える曲じゃないと思ったんです。

原:まあ、荒井っぽい曲だからね。

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————ベース・ラインの話だと、原さんの場合は常に16ビートのフィーリングを感じながら弾いていて、それによって生じる音と音の隙間が気持ち良いノリになっていますが、廣井さんの場合はグリージィに押弦しているので、音と音の間にグリス音が混じって、うねり感が増したノリになっているのがおもしろいなと思いました。

原:ああ、なるほど。たしかに。あんまりうねらないかもね、俺は。

廣井:僕はライヴ中にいつミスっても誤魔化せるように、常に手クセでグリスが入っているんです。

————その手があったか(笑)!

原:それはもう、ベーシストに限らず、弦楽器の鉄則だよね(笑)。この間、自分のライヴでもグリスしてたもん。

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