Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューmaster+mind presents 中島卓偉 × mitsu【完全版・前半】

芯を持つ2人のステージでのぶつかり合いで、どんな化学反応が起こるのか…。
是非お見逃しなく!!

2018.02.09

音楽を始めたきっかけ

——音楽を始めたきっかけは何だったんですか?

mitsu:うちは姉が3人いるんですけど、父が姉を歌手にしたいという家だったんです。ただ音楽一家とかでは一切ないんですけど。

卓偉:何番目のお姉ちゃん?

mitsu:一番上と三番目の姉が歌が好きだったんです。「常に近くに音楽があった」みたいに言えると格好いいんですけど(笑)、ピアノがあって姉貴に釣られてピアノを弾いたりとか、スナックに行って歌わされたりとか、そういうのが小学生時代からあって、歌うことが好きだったのがきっかけというか始まりだったかなと。元々自分は格闘技でボクシングを12〜17歳までずっとやってたんですね。小学校、中学校くらいにフォーク系のユニットとかの音楽が好きになって、高校の時に軽音部が盛んな場所があって、そこに行って流れでバンドを組んだんです。最終的には文化祭でメインステージに出ることができて、その時に初めて400人くらいの前でライブをやった時に、それまでの人生で得た経験のない、未知な感覚を受けて。

卓偉:その時は、もうボーカルだったんですか?

mitsu:はい。ギターを弾く曲もありながらのギター・ボーカルみたいな感じで、その当時のメロコアや青春パンクみたいな曲をやっていて。なのでボーカルと言っても、今みたいに“歌う”というよりも、叫んでるような、盛り上げるようなものだけの感じだったんですけど。今思うと、それがきっかけですかね。

卓偉:今は、ボクシングは辞めちゃったの?

mitsu:17歳からプロになるライセンスを取れるようになるんですけど、17になる手前の16歳の時に、自分が通っていたジムにプロの方がいて、「お前は長いし、そろそろプロを考えるならやってみるか」って言われて、試合じゃないんですが、ジムの中で本格的なスパーリングをやり始めたんですけど、鼻が折れたんですね。

卓偉::鼻が! 殴られて?

mitsu:はい。元々自分の父親も格闘技をやっていて、身内にもプロでやっている方もいて、野暮な言い方ですけど「世界一になれなきゃ食っていけないから、一番じゃないなら辞めろ」って言われてたんです。自分は負けん気がすごく強かったんですけど、ちょうどバンドがすごく楽しくなってきてた時期だったので、いい機会かなって思ったんです。今まで1つしかやってきてなかったものが2つになって、初めて気持ちが揺れたんですけど、何も手が出せなかったんですね。で、その時にきっぱりと「ボクシングを辞めよう」って。多分その時点で心ではちょっと音楽に傾いていたんですけど、長くやってきたことのいい踏ん切りかなって思って。

卓偉:今でも、好きは好きなんですか?

mitsu:はい、好きです。格闘技を観るのも好きだし、ボクシングのために学校で柔道もやっていたので、1人で戦う精神みたいなのは、いまだにすごく為になってるのかなって気はします。

卓偉:それにちなんで鍛え方もそういうやり方でやられたりするんですか?

mitsu:自分は元々すごく体格がガッチリだったんです。今自分がやっているヴィジュアル系には、元々興味がないところから入ったんですけど皆さんめちゃくちゃ細くて。それがすごく自分の中でコンプレックスになった時期があって。なので痩せるというよりは、ホッソリになるような方向に行った気がします。

卓偉:筋肉を落として行く感じ?

mitsu:はい。ストイックっていうよりは、バンド時代はデビューまで行ったので、単純にそのまま運動もせずライブ漬けのスケジュールになって。

卓偉:それで自然に鍛えられてみたいな?

mitsu:鍛えられたっていうよりは、何もせずっていう感じで不健康な感じに近いかもしれないです。なので今はちょっと走ったりってくらいで、そこまでストイックにはやってないです。

卓偉:そうなんだね。いきなりいい話を聞けましたよ。うちの親父はもう亡くなってるんだけど、親父もすごくボクシングが大好きで、家にサンドバックがあったり、ヘッドギアがあったりとかしてて。

mitsu:そうなんですね! 自分も父が亡くなってるんですけど、家にサンドバックみたいな叩く物があったんです。

卓偉:そうなんだね。だから小さい頃から、世界チャンピオンの試合とかは常にテレビで観てたし。

mitsu:卓偉さんご自身も格闘技をっていうお気持ちはあったんですか?

卓偉:観るのはもちろん好きなんですけど、やるっていう感覚ではなかったですね。でも望んでないのに、グローブとかヘッドギアが家にあって。

mitsu:グローブはまだしも、ヘッドギアがあるっていうのは相当ですね(笑)。本当に好きだってことだと思います。

卓偉:兄貴と俺にそれを渡して、2人にボクシングをさせて、親父がそれを見て教えるみたいな。でもボクシングを知ると、やんちゃでも外で喧嘩ができなくなるじゃないですか?

mitsu:あ〜、そうですね。自分の場合は若い時にやってたので、どっちかって言うと、「血気盛んな自分が、ちょっと格好いい」みたいなダサイ感覚があって(笑)。喧嘩をするとかはなかったんですけど、先輩とかに絡まれても「いやいや」くらいな変な自信が根拠としてあったので、活きられたかなって思います。

卓偉:分かります。僕も小学校の頃に、親父にボクシングの基礎のやり方や、顎の先を殴られると絶対に立てないじゃない? そういうことを教わってて、兄貴とそれを本気でやってたりしてちょっと学んでたんだよね。体も小さかったし、中学校くらいの時にいじめられてたりして、そこを一発殴れば勝てるって分かってても、やっぱり殴れなくてね。だからボクシングの怖さとかも、知らぬ間に親父に教わってたのかもしれないですね。

mitsu:危険な部分とか、痛み的なところとかですね。

卓偉:そうそう。

mitsu:まさか、ボクシングの話がこんなにできるとは思いませんでした。こんな共通な部分があるとは!

卓偉:そうだね(笑)。

mitsu:卓偉さんのライブ映像をかなり観させて頂いてるんですけど、動きのキレを観ただけで、何かやってるんだろうなって思ってたんです。

卓偉:ボクシングをやってるわけではないよ(笑)。

mitsu:意識だと思うんですけど、細くて体つきがいい人でも、格闘技を観てるかどうかとか、ダンスをやってるかとかって、何となく動きのキレとかに出ると思うんです。例えばキメの一発でも、僕は格闘技をやっていたので、ただの音楽のノリっていうよりは、動きもキメが入る気がするんです。だからそれを感じていたので、「あー、そうなんだ!」って、今裏付けを感じた気がしました。

卓偉:でもボクシングって、基本リズムじゃない?

mitsu:そうですね。

卓偉:ヘビー級とか海外の黒人って、基本的にヒップホップを聴きながらやってるっていうくらいね。だからうちの親父も、「ステップとかっていうのはリズムなんだ」って。めちゃくちゃジャズが好きだった人だったりしたから、子供ながらに、打楽器にしてもリズムが鳴ってるものの方に興味があったんで。だからボクシングが好きだった理由は、縄跳びをするにも早く縄を回さなくてもいいから一定に飛び続けるんだとか、決してペースを落とさずに走り続けるとかっていうのがあって。それは今も活きてて。だから大きい筋肉の人よりも、バンタム級とかフライ級くらいの無駄のないすっきりとした筋肉の付け方をしてる人が好きなんですよね。

mitsu:なるほど。自分は今だらしない状態なので、あんまりその辺りの話は広げたくないかなって(笑)。

卓偉:いやいや(笑)。でもやっぱり、ボーカリストはそういう鍛え方を知ってる人の方が、体力もありますし、声も出ますしね。

mitsu:それはあるかもしれないですね。いや〜、嬉しい話でした!

卓偉:音楽を始めたきっかけに、歌と同時にボクシングがあるっていうのは、すごい魅力的な話ですよ。勉強になりました。

mitsu:ボクシング自体が音楽のきっかけだっていうよりかは、音楽をやるための決別に近かったんですけど、今のお話のおかげで、そういう共通してる所があったのかなって。

卓偉:いい話ですよ。僕もミュージシャンになりたいって思う前は、美容師になりたいって思ってて。親父にも「美容師になりたいから、高校には行かずに美容学校に通わせて欲しい」っていうOKが取れてたのに、mitsuくんと同じように、中学生の文化祭で初めて人前で歌って、“歌う”っていう快感というか、自分の中の殻を破った感じが初めて分かって、それで「美容師じゃない」っていう決別があって、ミュージシャンになろうと思ったんです。美容師を目指すのは辞めたけど、今でも美容的なことは好きなんですよ。ファッション雑誌とかを見るのも好きだし、ヘアメイクも全部自分でやるし。

mitsu:普段から卓偉さんの服装を見ていて、他のアーティスト以上にここまで服装でイメージをちゃんと作っている人ってあんまりいないと思うんですよ。ジャケットを着るし、セットアップといえば自分の中では絶対に卓偉さんが出てくるし、ストライプとか、ちょっと海外の形の要素がすごく入っていて。最近のアーティストさんだと、自分はそこまでイメージが湧かないので。

卓偉:自分は来年40歳なので、最近の20代、30代の方は分からないんですけど、自分が好きなブリティッシュ・ロックっていうか、60年代、70年代のロックをやっていた洋楽の人たちっていうのは、とにかく音楽とファッションっていうのが、常にイコールで。

mitsu:繋がってますね。

卓偉:こういう音楽をやる時は絶対にこういうファッションだったってみたいなのが、過去にそういうものが残ってるんで、ファッションだけ見てても音が聴こえてくるような感覚がティーンネイジャーの時からあってですね。

mitsu:それはすごいですね!

卓偉:もちろん、ギャップもあるんですよ。すごいドレッシーな格好をしてても、実は曲はすごいポップだったりとか、その真逆もあるわけなんですけど。それを見て育ったっていうのもあったり、年齢を重ねることによってフォーマルとかもそうだけど、ちゃんとした格好で音楽としっかりイコールになっているっていうところに、自分で行きたいと思ってるんですよね。

mitsu:さっきおっしゃっていた美容師さんになりたいっていうのも、そういうことが含まれてたりっていうのがあったんですか?

卓偉:多分、あったと思うよ。だから今でも、バンドのメンバーの髪の毛の後ろがちょっと立たないっていう時は、やってあげられるしね。誰に教わったわけじゃないけど、やっぱりできるんだよね。

mitsu:そうなんですね〜。なんか想像つかないんですけど、すごいですね!

卓偉:スタイリングって言うんですかね。ネクタイ1つ締めるにしても、目がいくというか…。やっぱり好きなんだよね!

mitsu:卓偉さんがバンドのメンバーさんたちと4人で並んでる写真をTwitterとかのSNSで見ていて、統一感を感じてるんです。自分は今ソロをやらしてもらってますけど、サポートメンバーに「整えてこれでお願いします!」とかはまだ言えなくて。「この日はこういう衣装なので、こういう方向で、セトリはこういう形で」みたいなのは話すんですけど。やっぱりちゃんと追求なさってるんだなって思いました。

卓偉:でも必然的に、そういう風に言わなきゃいけなくなるでしょ? やっぱり人任せにできないのがソロですよね。

mitsu:そうですね。やっぱりいい意味でのエゴも出てきますしね。

卓偉:そうだね。でもソロの人は、それも一緒だと思いますよ。ソロですごくキャリアを長くやってる人は、メンバーに「言わなくても分かるようね?」って人もいらっしゃると思うんですけど、僕もたかだか20年近くやってきても、30年、35年やってるソロの人たちに比べたら、やっぱりキャリアは全然及ばないんで。

mitsu:卓偉さんのインタビューをここ最近見させて頂いていて、「今年は何年目」ってワードを見た時に、自分がお話してきた方の中で、バンドがあってソロをやっている方も含めたソロ・アーティストとして活動している方の中では、卓偉さんが一番歴が長いんですよ。

卓偉:本当ですか!? 僕よりキャリアの長い人とあんまり喋ったことがないってことですか?

mitsu:ステージが一緒にとかっていうのは、ほぼないと思います。なので今日は対談もそうですけど、どっちかというとそういった面もすごく聞きたかったなっていうのがすごく強くて。

卓偉:いやいやいや。僕でよければ何でも聞いてくださいよ。大したこと話せるか分からないですけど(笑)。

mitsu:いやいやいや、もう充分な話です(笑)。ありがとうございます。

卓偉:気付いたら時間だけ経ってるっていうタイプなんで(笑)。

 

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Photo:Nagisa Kamiya

 

 

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LIVE INFOライブ情報

Shinjuku Loft「master+mind」presents【Rock is Culture 2018】

2018年02月15日(木)新宿LOFT

OPEN 18:15 / START 19:00

前売り 4000円 / 当日 4500円(共にドリンク代500円別)

※未就学児童入場不可

【出演】

中島卓偉 / mitsu(50音順表記)

【前売りチケット:発売中!】

・ e+一般(Bチケット)

・ LOFT店頭(Bチケット)

・ ローソン(Cチケット/L:73077)

【入場順】

1. Aチケット(e+プレオーダー/受付終了)

2. Bチケット(e+一般・LOFT店頭)の並列

3. Cチケット(ローソン)

【主催・企画・制作】

新宿LOFT / master+mind

【協力】

ライカエジソン / 自主盤倶楽部 / ZEAL LINK / ブランドエックス / little HEARTS.

【お問い合わせ】

新宿LOFT 03-5272-0382

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