対バンは敵!?
——それぞれの出会いや最初の印象をお聞きしたいです。
靖乃:クロスして話していく?
seek:じゃあ、Sさん中心にいきましょうか(笑)。
S:僕のKraさんとの出会いってなると、まだ上京して1年目のすっごい昔なんですけど。前の前の前くらいの全然人気のないバンドをやってた時で、池袋CYBERでの対バンのイベントにKraさんも出ていて、「すっげーな」って思いながらライブを観てた感じで、その時はしゃべるとかそんなんでもなくて。
——いつ頃ですか?
S:いつだったかな? 多分2002年とか2003年とか、そのくらいです。
靖乃:俺らは2001年結成やから、Kraが2年目とか3年目くらいやね。
seek:すっげーすね! Sさんはその間に4つバンドが変わってるわけやろ。
S:そうっすね。
seek:その間、1つのバンドを続けてるっていうのも、ちょっと異常ですね(笑)。
靖乃:そういうことになるよね(笑)。結良(KraのBa)に至っては、人生でそのバンドしかやってないからね。
seek:バンドが変わっていくごとに対バンはしてるの?
S:どうなんやろ。してないと思いますね。最初に対バンした時は、まだKraさんが結成したてみたいな感じやったと思うんですけど、そこからドカーンといきはって、そこからはずっと雑誌とかで見てた感じですかね。
靖乃:俺らがワンマン・ツアーで回ってる時に、新しくバンドをやり直してとかやと、一緒になるタイミングが合わなかったりもするかもやからね。
景夕:一時期、対バンがなかった時期があったんですよ。だから途中で、今まで対バンしてたバンドしか分からなくなっちゃったりしましたね。
靖乃:浦島太郎みたいになったことがあるよね。1年間くらい、誰にも会わへんかったみたいな感覚の時とかが、普通にあった(笑)。メジャー・デビューしたちょっと後とかね。年末の赤レンガでミックスと一緒にやった時って、まだミックスが先行お披露目みたいな感じの時だったよね?
seek:そうです。まだ正式じゃない時ですね。
靖乃:その時、同じタイミングで俺たちもバックヤードに入ってて、ミックスのみんなが歩いてステージに向かってるのを楽屋から見送ってて、「すっげー」と思った(笑)。
seek:なんかあの時は、すごいバタバタしてて。俺らって掛け持ちしてたよな?
S:掛け持ちしてた、多分。
seek:ほんまにバッとライブをやって、ワッと帰ったみたいな。
靖乃:俺らも、2、3箇所あったんかな。お互いにバタバタしてるっていうのもあるし、大昔から繋がってるけど、連絡を取るのも開いてた時期だったから「うわっ、seekさんや」って(笑)。
seek:俺は、番号が変わる前ののってぃ(靖乃)の携帯を知ってましたけどね。
一同:(笑)
seek:のってぃが変わったことを教えてくれてなかっただけの話で(笑)。
靖乃:俺がね、冷たかった(笑)。
seek:その話を9年後くらいにステージの上でできて、それのおかげで距離が縮まったみたいなところがありますからね。
一同:(笑)
seek:そう考えたら、結成の時から近くにはいてるんですよね。
靖乃:いてたよね。
景夕:俺はSさんの一番覚えてる最初の印象って、いろんなところでも話してるんですけど、高田馬場AREAで寝てたんですよ。
一同:(笑)
seek:よう寝てるよね(笑)。
S:そうですね。
景夕:楽器搬入口のところのドアを開けると、楽器を通す道があって、その脇に死体のように寝てる人がいるんですよ(笑)。
seek:あそこ、あんま明るくないですもんね(笑)。
景夕:開けたらバッといるから、「わっ!」って思って(笑)。「あっ、寝てる」って思って、そのまま機材搬入をやっていたのが、すごく印象的で。確かにちょっと暗いし、誰もあんまり来ないから、あそこの楽屋の中では寝やすいって言えばそうかもしれないんですけど、ドアのガチャッて音もすごいし、すぐそこがステージだし、「寝れるのかな?」って思いながら(笑)。
S:まあ、尖ってるんでしょうね(笑)。
靖乃:さいたま新都心VJ-3のライブの時のさ、更衣室のSルームとかね(笑)。
seek:あー、ありましたね。2マンの時ですよね。(2015年10月24日)
靖乃:尖ってるよね(笑)。
seek:2マンで更衣室からほぼ出て来なかったですからね。
S:そうなんですよね。何か、病んでますよね(笑)。
一同:(笑)
靖乃:パーソナル・スペースを作るのが、上手いんやろなって感じ(笑)。
S:えー風に言うてくれてる(笑)。
seek:Sさんは、この10年で何バンドと対バンしてきたか分からないですけど、まあ9割9分心は開かないですよね。
S:開かない。
一同:(笑)
seek:残りの一部に対しては、いきなりタメ口でしゃべってるくらいな距離感でいくくらい、すっげー開くんですよ。9割9分で心を開かへんわりに、バンドのメンバーだけでいる時は、すっげーイジラレ方をしてるから、他のバンドさんとかがそのルールをよく知らなくて、俺らと一緒に変なイジリ方をS さんにする場合があるんですよ。その時のSさんの「ピシャ!!」って扉が閉まる音が、いっつも聞こえてくるんですけど(笑)。
一同:(笑)
S:そうですね。本当にしゃべるバンドマンが、僕はほとんどいないんで。昔から自分の中に、教えなのか分からないんですけど、「なぜ対バンさんと仲良くしないといけないの?」っていうのがあって。敵やろって。
seek:90年代の揉まれ方をまだ!?
S:まだしてて(笑)。「なんで敵だったりとか、興味のないやつとしゃべらなあかんの?」みたいなのがずっとあって。それでもしゃべりかけてくれたり、気が合った人の4人くらいとしか、タメ口ではしゃべれないんですよ、俺。こんなに長くやってきて、バンドマンでしゃべれるのって、本当それだけしかいないんで。変わり者ですよ、僕は多分。
seek:メンバーというか地元の仲間内の中で10代の頃から、やっぱり尖ってますよ。初めて会った時は、黒のガウンに安全ピンがいっぱい付いたのを着てて。
一同:(笑)
S:姫路のBetaで僕らは育ってきたんですけど、ミックスになってBetaでここ数年ワンマンをするようになって、18、19歳の時に世話になってた店長と、僕がこの年齢になって2人でしゃべり出した時に、「君はまだ、そんなに尖ってんのか」って。
一同:(笑)
S:「30代くらいになったら、だんだんそういう考えがなくなって丸くなっていくのに、自分異常やぞ」みたいな感じのことは言われましたけど。
靖乃:昔を知ってる人が言うんやから、本物やね(笑)。ほんまに尖ってんねや。
S:でももうね、こんだけ対バンさせてもらって、こんなにフレンドリーにさしてもらったら仲良くもなるし、Kra さんに敵感は一切ないですけど。普通の対バンさんには今でも思いますね。
seek:っていう、対談のスタートです。
一同:(笑)