11月9日にロフトプラスワンにて開催する「立川流が好きっ!!vol.3」。立川流の孫弟子5名が集い、とことん立川流と落語について熱く語るイベント。立川流、ひいては落語会の未来を変え、そして支える精鋭の一人、立川吉笑さんにお話をお伺いしました!!【Interview:一木義彦 (LOFT /PLUS ONE)】
立川流の存在価値を高めたい
──11/9(木)に開催する「立川流が好きっ!!vol.3」はどのようなイベントなんでしょうか?
吉笑:「立川流が好きっ!!」ってタイトルなんですけど、立川流という四つある関東の落語団体の一つで、談志師匠(落語立川流家元)が6年前に亡くなられてから、立川流自体の認知度とかお客さんの熱量とか、我々演者も立川流に対して考えることが少なくなってきていて…でもせっかくこういう団体があって、談志師匠が作って下さったところだからもう一回立川流というところについて、演者やお客さんも一緒になって意識を向けられたらなと。
──「立川流が好きっ!!」ってストレートですよね。先日vol.3の詳細を送って頂きましたが、vol.1と2にご出演されていた談吉さんの名前が無かったのですが、何かあったのでしょうか?
吉笑:いや、そんなに大したことじゃないですけど、もともと談吉兄さんが煽動的な話しをするのが好きじゃない方で、もっとみんな仲良くとかみたいな感じなんです。これまで開催した2回とも、発言がしにくかったみたいで、それだったら無理して居てもらわなくてもいいかなみたいな感じで。一旦お休みということになりました。
──なるほど、良かったです。ケンカとかしたのかなと(笑)。
吉笑:いやいや、全然(笑)。
──ロフトプラスワンでの「立川流が好きっ!!」イベントですが、過去二回開催して問題点は改善されましたか?
吉笑:そうですね、具体的には一回目が終わってすぐに落語会版「立川流が好きっ!!」を開催して、これは230席完売して、二回目の後「国立演芸場」という談志師匠が出たような聖地で落語会ができて、一応イベントで立ち上げたものが形にはなっているので良かったとは思います。ただ、マンネリじゃないですけど次のステップがまだ見つかってないので、今回のイベントでそれを見つける機会になったら良いなとは思いますね。
──立川流以外の方からは何か言われたりしますか?
吉笑:正直あまり無いですねぇ。今「落語芸術協会」という団体で僕らと同じくらいのキャリアの人たちがすごい勢いがあって、11人くらいでやってるんですけど、それが今の落語会のメインストリームで流れを作っているんです。そこから見たら我々のやってることはまだまだというか…まあそこに寄る必要はないですけどね。
──今までは孫弟子の方たちで集まることは無かったんですか?
吉笑:無くはないですが、同じ危機感や成果を共有したりとかはあまり無かったですね。もちろん会ったらしゃべるし呑みにも行ってたんですけど。
──このイベントがきっかけになったんでしょうか?
吉笑:そうですね。ただ今は6人だけでやってますから、ホントは孫弟子全員を巻き込んでオフィシャルな感じでやらないとダメなのかなとは思います。
──孫弟子の方って何名程いらっしゃるんでしょうか?
吉笑:確か40〜50名ぐらいいるはずなんですけど。
──そんなにいらっしゃるんですね。じゃあ動いている方はほんの一部といった形ですね。
吉笑:そうですね。その辺とかはまだやりたいってモチベーションも上がってないし、どうしたらいいか分からない状態ですね。
──それはやはり吉笑さんが引っ張っていく感じなんですか?
吉笑:基本的にはそうですね、みんな動きたがらないので。誰かの為にやるというより自分の為にやってる感じです。自分にとってはプラスになりますので。
──「立川流が好きっ!!」のメンバーは吉笑さんが選ばれたんですか?
吉笑:そうです。共感してもらえるだろうし、才能がある面白い人たちというので選びました。
──みなさん先輩ですか?
吉笑:寸志さんだけ後輩であとは先輩です。
──先輩ばかりでやりづらくはないですか?
吉笑:そんなことないですよ。自分がまとめ役として認知してもらってるし、俺が仕切りたいのも分かってると思うので。
志の輔・談春
──立川流の下の方たちは見に来られているのでしょうか?
吉笑:まぁ、下って言っても私の身分(二つ目)だと下に5〜6人くらいしかいないので。
──師匠方は孫弟子が集まってることに関してどう思ってるんでしょうか?
吉笑:というかそもそも知らない人も多いと思いますね。
──各々の師匠には話されているんでしょうか?
吉笑:一応言ってるとは思いますが、ただ皆の師匠って売れてる人たちばかりなんで眼中に無いというか、勝手にやればという感じでしょうね。談春師匠だけは我々のことを少しは気にかけてくださっているようで、アドバイスとか後押しになるお言葉をかけてくださいました。なので、もっとそういう師匠方にまで届くような射程を持たせた方が良いんですけど、私自身にまだ覚悟が無いというか…リスクが大きいんですよね。本当は志の輔師匠や談春師匠のような上の師匠方まで持っていくのかどうかってとこですね。
──やはり軽々しくは持っていけないですか?
吉笑:そうですね。あとは覚悟があるかないかだけですね。
──師匠方に会う機会はあるんですか?
吉笑:二ヶ月か三ヶ月に一回とか、もっと会わないかもしれません。談春師匠とは半年会ってないですね。次会うのは新年会ですね。
──立川流を今後どのような方向性に持っていきたいですか?
吉笑:そうですね…まずは落語会の中でもっと大きなポジションを獲得できるようにしたいですね。志の輔・談春というのは、落語会全体の中でもトップ5に入るような人たちなんですけど、でもそれってそれぞれ志の輔師匠がスゴい、談春師匠がスゴい、みたいな個の力が大きいんです。できればそこをもうちょっと立川流全体の為にやって頂ければなと考えていて。具体的に言えばそれこそ志の輔師匠が落語会に出てくれて、その前に若手が4人出るみたいな、とかやれたら良いんですけど。でも志の輔師匠にはやるメリットが無いですから。そこを協力してくださるくらいにこっちが流れを作れたら良いのですが…。
──やっぱりその大きな山が動かない限りは変わらない?
吉笑:だから動かざるを得ないぐらいにこっちが力をつけるか、一生懸命やってその姿勢を見てもらうか、どっちかですね。
──いつか師匠方に見に来て頂くというのは?
吉笑:嘘か本当かはわかりませんが、談春師匠には「行こうと思ってたんだよ」って話しをして頂いたんですよ。だから来てくださる可能性もゼロではありません。でも談春師匠はホントに影響力が強い人だから、自分が来たら場が乱れるというのも当然意識される。圧倒的な人なんで。我々が気を遣うのが分かってるから。でも今回とか来てくれたらうれしいですけどね。めちゃくちゃカンフル剤になりますよね。談春師匠とそういう話しをしているのは俺だけだから、周りの他の5人はピンと来てないはずです。だから談春師匠が少なからず認識してくださっているこの状況を他のメンバーとも共有できたら、もっとまとまれるかもしれませんね。
なんか会いたくなってきました
吉笑:とにかくそういう師匠方にやっていることを認識して頂きたいです。
──志の輔師匠か談春師匠に出て頂きたいですね。
吉笑:志の輔師匠は無理だと思いますけど、談春師匠なら「もしかしたら」って思います。こっちがホントにちゃんとやればですが。談春師匠は意外と我々とか下の世代の行動をチェックしてくださっているみたいなんで、告知段階で覚悟があるっていうのを伝えることができたら当日フラッと来てくださる可能性はある気がします。でもまだ我々の熱量が足りてないのだと思います。
──師匠方はネットとかご覧になられてるんですか?
吉笑:談春師匠は見てる気がします。
──炎上すれば見てくれるかもしれませんね(笑)。
吉笑:そうかも…なんか会いたくなってきました(笑)。最近会ってなかったから。緊張はかなりするけど、会うと絶対にヒントを貰えるし、意見も言って頂けるので大変ありがたいです。
──それでは最後にメッセージをお願いします。
吉笑:何をしゃべるか考えてないからどうなるか分かんないですが、それぞれが何かしら問題意識を持った人たちが集まってるので、高座だと熱いとこ見せても得しないからやらないですけど、この日に限ってはみんな思ってることを言うので違う一面が見えて面白いと思いますよ。
──落語ビギナーの方はいかがですか?
吉笑:ここから見てもらっても良いかもしれないですね。ホントに只の等身大の若い奴が悩んでいる感じなんで。そういう問題意識を持ってやってるというのを共有してもらえたら、普段の落語とかも見え方が変わってくるかもしれないですね。身近には感じてもらえると思います。ぜひお待ちしております!!