音楽×下ネタ、それぞれのスタイル誕生秘話
——みなさん、音楽と下ネタを掛け合わせたスタイルでお馴染みですが、どういう経緯で今の形になったのでしょうか?
吉岡:ボクは10代の頃、バンドをやってたんです。めっちゃカッコ良いバンドをやろうと思ってたんですよ。でもカッコいいバンドって、世の中にいっぱいいるじゃないですか? その ストレスで毎日金縛りになって、「これはもうアカンわ……」と思って辞めたんです。でも音楽は続けたかったから、もう音楽するとしたらエロいことしかないなと……。
クリ:えっ、それはどういうこと? もとからエロかったってこと?
吉岡:はい。結局ね、カッコええことやる時に、自分にウソついて綺麗事言って、綺麗事の音楽やるんがハマってなかったんですよ。だから自分らしく、自分のナチュラルなものを出せないかなと思ったら、それが“エロ”やったんです。当時、机の引き出しの底が抜けるくらいエロ本をコレクションしてたんです。どの号に何が載っているのか分かるくらい読み込んでたんで、エロい知識はある。だからエロい曲を歌おうと。そんなことを思い始めたのが大学生の頃でした。
——ということは、ソロになってからスタイルは変わってないと。
吉岡:変わってないですね。最初からずっと下ネタです。衣装もほぼ今の感じ。
——初志貫徹なんですね。佐伯さんも、最初から下ネタだったんですか?
佐伯:いや、最初は全く下ネタじゃなかったです。
——あ、そうなんですか。いつ頃、音楽を始めたんですか?
佐伯:大学に入ったら、「音楽は絶対やりたい」って憧れはあったんです。でも全く楽器も弾けへんし、練習する気も全くなかったんスよ。で、ちょうどそのタイミングで、サンプラーの安いのがローランドから出たんで、「これ買ったら何でも出来るんちゃうか?」って思って買ったんです。でも、それ1台ではシーケンスを組んだり、曲を1曲に仕上げるとかは、全く出来なかったんです。それにスゴい絶望して、とりあえず見た目だけでも面白くしようとギターに埋め込んだんです。それでまぁ、紆余曲折あってチンポになりました。
吉岡:だいぶはしょりましたね(笑)。
——何でチンポになったのかが、気になるんですが(笑)。
佐伯:チンポが出だしたのは、始めて多分2年目くらい……。そっからドンドンとチンポの割合が増えていくんスよ。
——何で増えていったんですか?
佐伯:そのー……お客さんさんのウケが良いんですよ、チンポは。ボク、基本的にお客さんの反応を見て次を考えて行くんで。それで最終的に全部チンポになったんです。
吉岡:フィードバックが速いんですね。
佐伯:そう。ちゃんとマーケティングをもとにして成り立ってるんですよ。だから佐伯 誠之助というモンスターを生み出したのは、お客さんです。
吉岡:いや、最初のチンポは佐伯さんでしょ(笑)。
——(笑)。スギムさんは、始めた頃はどんな感じだったんですか?
クリ:最初は“お話”でしたね。
——“お話”???
クリ:そもそも「クリトリック・リス」っていうのは、同じバーで吞んでたお客さん同士が、酒の席のノリで組むことになったバンドなんですよ。オレ以外のヤツらはみんな音楽経験者やから、オレは当日テキトーに踊っとけば良いかなと思ってたら、ブッチされて……。オレは曲も作られへんから、対バンの人にリズムマシーンを借りて、ドラムのパターンを押しっぱなしで、それに合わせて自分の性体験を面白可笑しく“お話”したんです。だから続けるつもりはなかったんですけど、なぜかその後もオファーが来ちゃって(笑)。
——ハハハハハッ!
クリ:で、始めて1、2年目くらいに、Gyuune casettの須原さんが「クリトリック・リスって、オレは笑われへん。見てたら泣ける」って言ってくれて。そういう切り口もあんねやと思って、日常で起こりうる怒りや悲しみや、エモいのも昇華して入れ出していったんですよね。
佐伯:(クリトリック・リスをじっと見て)……。