死ぬまでに”音楽”になりたい。
──ねむりちゃんライブだと強くなりますよね。
春:わたしが世界で一番強い! みたいになります(笑)。キャラじゃないから言わないようにしてたんですけど昨日のライブで人生で初めて「おまえらいけるかー!」みたいなのを言っちゃってめっちゃ恥ずかしかったです(笑)。3曲目くらいでラストの曲くらいのテンションでやってしまって(笑)。
マネ:春ねむりがテンション上がってるとき、バックDJのボリューム上げますから(笑)。
春:ノってて上がりすぎてると後何曲あるとか考えないで超全力で歌っちゃうんですけど辛くて…それでも音上げてくるので「もうやめてー!」ってなります(笑)。
──いつもおっとりしていて落ち着いてるのになにがそうさせるんでしょうね?
春:日頃の鬱憤(笑)。お客さんでも普段はおとなしいのにライブだと「うぉー!」ってなるひといるじゃないですか?それと同じ感じです。普段どうでもいいことが気になっちゃうタイプで他人に対しても世の中に対しても「それはあんまり言わないほうがいいんじゃないかな」って思うことがあるので無駄に傷つくことが多いです。それをここ(ライブ)では出してもいい。
──お客さんもおとなしいひとが多いんですか?
春:そうですね。「日頃辛いんだろうな」って思ったり、ツイッターを見ていて「がんばれ!」って思うことは多いので(笑)。ライブの後「これで来週もがんばれる!」っていうリプライとかもらえると嬉しいし、そのリプライでわたしががんばれる。
──ねむりちゃんはそういう人たちの最終兵器になりたいと言っていましたが春ねむりのもっと先はなにになりたいんでしょう?
春:死ぬまでには音楽になりたい。普段「なにやってるんですか?」と聞かれて「音楽やっています。」と答えちゃうことが多いんですけど、「音楽を作ってます。」というスタンスではなく、誰が歌っても一緒じゃない曲を書いて誰が歌っても一緒じゃないライブをすること。それと、音楽は芸術だけど商品でもあるから、芸術的な側面ではそういうことがちゃんとできて、商品的な側面ではそれを大勢のひとがお金を払う価値があるって認めてくれるというのを両立してすごく大きな規模で達成するというのが目標ですかね。
──最初「音楽」ってぼやってしたものが出てきたなと思ったんですけど、ちゃんとしてますね(笑)。
春:(笑)
マネ:ちゃんと聞かないとわかんないんですよ。「ぼくはぼくになりたい」とか「いのちになりたい」とか「最終兵器になりたい」、「音楽になりたい」、「海になりたい」って言う。角度が違うだけで一緒なんですけどちゃんと聞かないと最初わからないんですよ。何時間も話します。
春:「海になりたい」とか「いのちになりたい」とかは概念的な目標で、「音楽になりたい」っていうのは明確な目標で、「最終兵器になりたい」っていうのがちょうど真ん中くらい。
──今回のリリースにはたくさんの方が携わってくれているということで6/16(金)LOFT9 Shibuyaでの春ねむり 2nd Mini Album「アトム・ハート・マザー」リリースイベント“ ねむりりぱ vol.2 ”ではこういう機会だからこそお呼びしたい方をお招きして開催されます。ゲストの皆さんの共通点は「一緒に喫茶店に行ったことがあるひと」ということで(笑)まずラッパーのハハノシキュウさんは打ち合わせで高田馬場の喫茶店に行かれたそうですね。
春:このご時世に全席喫煙可の純喫茶で音楽とか映画とかサブカルチャーの話をしました。他人に対して「それは音楽じゃないんじゃないかな?」って思うポイントが似ていて。MCバトルとかでめちゃめちゃ韻踏んでるけど音源はゴミみたいな…
──さらっとゴミっていいましたけど(笑)
春:(笑) そういうラッパーとかいるよねみたいな話とか、人生を狂わされた音楽が一緒だったりとかでめっちゃ気が合う!って思いました。ロックがルーツでラップ界では浮いているという共通点で面白い話ができるんじゃないかなと思います。
──映像作家の吉田ハレラマさんは麻布十番の喫茶店でですね。
春:温厚なクマみたいなひとなんですけど(笑) the cabsの「二月の兵隊」という曲のMVが一番好きって仰っていて、わたしも学生時代聴いていたのでいいなと思って。今回すごくいいMVが出来たんです。身体も張ったし、怪我もしたんですけど(笑)。NGシーンとかいっぱい持ってると思うので撮ったときの話を聞いてもらったら結構面白いんじゃないかなって思います。ここでしか聞けない話だと思います。
──シンガーソングライターの玉手初美さんは下北沢の喫茶店で。
春:演奏で戦い3勝で勝ち抜けというTVの収録でご一緒して、変な子だな、面白いなって思って。やっている曲を聴くと、「きっといい音楽聴いて育ってきたんだなー」という感じで珍しく仲良くなりました。単純に仲良しです(笑)。このわたしのゆっくりなテンポでしゃべっても大丈夫、気を使わなくていいんです。ふわっとしているのに言うことは尖っていて多分自分に似ていると思います。歌っている時の「激情」の部分も似ているかなと思います。わたしのファンの方が玉手さんのライブを観てどう思うのかめっちゃ楽しみです!
──この3人おもしろそうですね!
春:この間クラウドファンディングのリターンでファンの方とお花見して、その時にいろいろ聞かれてお話したんですけど「全然知れないこと知れてよかった!」って言ってくれて、「わたし普段全然話してないんだな」って思ったので、しゃべる春ねむりも観れるし、ライブもあるのでぜひ来てほしいなって思います。トークイベントをやる機会もそんなにないですし、コラボカフェなんてもっとないと思うので楽しみにしていてほしいし、本当に来てほしいです。
ライブだけは誰がどんなライブやっても同じ土俵で勝負できる。
──これからどんな方と対バンしたいですか?
春:アイドルさんとのオファーはよく頂くんですけど、バンドはあまりなくて。誘いづらいとは思うんですけどバンドと対バンしたいです。普段はひとりでオケ出しですけど…その辺のバンドマンよりは…ロックしてると思うので……
──最後になんか出てきましたよ(笑)
春:(笑) 新しい刺激が欲しいバンドマンはぜひ対バンしてほしい!
マネ:まだ把握されてないから誘われないし、誘っても断られます。
春:アイドル? とかギターorピアノ弾き語りのシンガーソングライター? って言われます。もっと見た目にラッパーってわかる方がいいんですかね?
──逆にその感じがいいんじゃないですか。
春:この間お見かけしたおやすみホログラムさんは、見た目から新世代PUFFY感があってわかりやすいなって思いました。踊るアイドルさんが好きなひとはちゃんと踊りも込みで好きなんだなって思うので、踊るアイドルさんと対バンした時と、踊らないアイドルさんと対バンした時とでは全然反応が違います。後者の方が明らかにライブ後にCDを手にしてくれる人の数や次もライブに来てくれる率が違う。
マネ:次は踊りましょう(笑)。
春:それはあの人に怒られるんで(笑)。よく比べられることが多い人で、ファンの中でネタになってるんですけど、そしたらエゴサーチした本人が知って「会社ぐるみで怒ってます。」みたいな。ネタにされてるのはこっちなんですけどね(笑)。単純に本人が気にしてるってだけなんですけど、知らないし、同じジャンルだと思ってないし、あっちは自分で曲書いてないし、踊ってるし。君はポップアイコンでわたしはロックンロールですって思う。向こうが「アイドルです。」って名乗ってないからどうしてもイラっとしちゃう(笑)。アイドルっていってないのにアイドルと同じ方法でお金稼いでるひとが嫌いなんです。向こうがアイドルって名乗ってないとどうしてもこっちが同じ土俵に入れられちゃうけどそれはやっぱり違うし、アイドルにも失礼だなって思います。
マネ:最近そういういろいろ言ってくるひとがいるんですよ。もうこちらは相手しないで次に行くっていって今回のアルバムを作りました。
春:わたし的には相手にしないでというか…わたしの方がでかくなったら殺すって思ってます!
一同:(笑)。
春:音楽の商品価値を高めてそれ以外のことを蔑ろにするのは良くないと思っていて。どうでもいい歌詞は倫理的に良くないと思うし、キャッチーなメロディーは必要だけどキャッチーだけじゃダメだし、そこに誠実さはないと思う。ライブだけは誰がどんなライブやっても同じ土俵で勝負できるからわたしはわたしの100%誠実なやり方でやって絶対勝つと思っているし、聴いてるひとには伝わっちゃうので、知らしめてやりたい。