大阪ミナミに店を構える女性専用レズ風俗店「レズっ娘クラブ」。漫画家・永田カビや多くのライターたちに取り上げられる話題沸騰中の風俗店が、今年でめでたく開業10周年を迎える。お店の店長を務める御坊に、レズ風俗店の気になる実態や、5月3日に開催される10周年記念イベントについて伺った。(interview:平松克規[Loft PlusOne West]
レズ風俗店「レズっ娘クラブ」とは?
——御坊さんが経営されているレズ風俗店とは、どんなお店なんでしょうか。
御坊:いろんなお店をやってたんですけど、最初にオープンしたのが女性専用のレズ風俗店「レズっ娘クラブ」です。それから数年後に、姉妹店レズ鑑賞「クラブティアラ」という店をオープンしました。そこは女性向けの「ビアンコース」もあるんですけど、キャスト(お店に在籍する女性)たちが絡むのを見る男性向けの鑑賞コースや、男女のカップル向けのコースもあります。あと、キャスト同士がイカせあって、最後にお客さんから勝敗をつけてもらう「レズバトル」というのもあります。
——キャストはみなさん大阪にいらっしゃるんですか。
御坊:大阪っていうか関西エリアですね。ウチの店は「待ち合わせ型」って言って、恋人気分、友達感覚でどこかで待ち合わせをして、ホテルに行ったり、食事を楽しんだりするんです。女性のお客様には「お泊まりコース」もあって、去年は東京に出張で呼ばれて2泊3日したって方もいましたね。
——いろいろあるんですね。どうしてそのようなお店を開店することになったんですか。
御坊:もともと新卒で、WEBサイトを作るベンチャー企業に就職したんです。でもその会社が急に大きくなってやりづらくなったのと、元から独立欲が強かったので、1年ちょいで辞めてホームページ屋を起業したんです。お客さまは美容院とか、開業医さんとか、風俗店とかの個人商店さんでした。WEBサイトの制作を受けると、そのお店が開業するまでの過程が見れるんですよね。僕はその中でも風俗という業種がとても魅力的に見えて、「自分もちょっとやってみたいな……」 って思いはじめたんです。実際に風俗店として成功しているお客さんも見てたので、副業という形で風俗店をはじめることにしました。
——副業としてスタートしたんですね。でも何で普通の風俗店じゃなくて、レズ風俗店だったんですか。
御坊:普通の風俗店だと、ホームページ屋として仕事をした風俗店からお客さんを獲っちゃうかもしれないじゃないですか? それはマズイなと思ったので、じゃあ女性向け風俗店をやろうと。いろいろと調べたら、当時大阪にレズ風俗店がなかったので「これにしよう!」と。
——すごく計画的にやられたんですね。
御坊:はい。だから最初は、めちゃくちゃ応募が来ましたよ。キャストは選びたい放題で、オープンから人数を揃えるまでは、簡単にいきましたもん。でも営業のほうは全然ダメだったので、最初の何年かは苦労しましたね。今は本業になりましたけど。
——オープンしてからの10年間で、レズビアンに対する世間の空気などに変化は感じますか。
御坊:やっぱりLGBTに関しては、テレビでもよく聞くようになったり、だいぶオープンになりましたよね。でもLGBT界隈の人たちからは、ウチの店もちょっと線引きされてると思います。
——どういうことでしょうか。
御坊:LGBT界隈のレズビアンとアダルト業界のレズビアンていうのは、ちょっと意味合いが違うんですよね。例えば、Wikipediaでレズビアンって調べると「同性愛」「同性愛者」って出ると思うんですよ。でもアダルト業界だと、女の子同士が絡んでるだけでレズビアンなんです。お客様全員がLGBTの当事者ってわけじゃないので、ウチはどちらかというと後者寄りなんですよね。「レズっ娘クラブ」って店名も、最初はLGBT界隈の人たちに蔑称・差別用語って言われましたから。
——そこを混同したら揉めそうなので気をつけないとダメですね。これからもお店を拡大していく予定はありますか。
御坊:そうですね、広げていきたいですね。ただ最近、東京でレズ風俗店が乱立してるんですよね。大阪でも新しくできる店が「大阪日本橋 初!」って謳ってたりして。嘘つけ! こっちは10年前からあるよ!
——全然リサーチ出来てないですね(笑)。
御坊:そのお店、去年の12月にオープン予定だったんですけど、まだオープンしてませんから(笑)。他のお店も見たりするんですけど、女の子が1年くらい入ってないとこもあるんですよね。やっぱりそんな甘いもんちゃいますよね。だからまず基盤をしっかりさせたいです。
ライブあり! 茶番劇あり! 風俗レポありのカオスなイベント!
——そんな「レズっ娘クラブ」の10周年を祝うイベントを、5/3(水)にロフトプラスワンウエストで開催するんですよね。
御坊:はい。その日5月3日って、ちょうどウチが開業10周年なんです。毎年ロフトプラスワンウエストでは、その日にメロン記念日さんがイベントをやってたみたいなので、早めに日程を押さえました(笑)。メロン記念日を「レズっ娘記念日」に変えてやろうと思ってます。
——(笑)。イベントタイトルの「レズノミクス」はどういう意味なんですか。
御坊:これは「アベノミクス」をもじった造語です。
——あ、そうなんですか(笑)。
御坊:ウチの景気が良くなればいいって使い方をしてます。言い出したキッカケは、漫画家の永田カビ先生なんですよね。先生がウチのお店を利用された時のエピソードをpixivにあげてて、それを僕が見つけて「うちかな?」ってツイートしたんです(その模様は永田カビ『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』に収録!)。その後の店のスタッフブログで、「これはレズノミクスあるで!」って書いたら若干ウケたので、それからバンバン使うようになりました。
——やっぱり永田先生の作品は、お店的に効果があったんですか。
御坊:当時はお互い公認ということになってたので、めちゃくちゃありましたね。今は永田先生も「あんまり言い過ぎないで」ってイヤがってるかもしれないですけど(笑)。Pixivで盛り上がって、そこから単行本化されたりして話題になったので、店の売り上げも良い感じですよ。最近『一人交換日記』も連載再開したんですよね。あれに出てくるキャストも、全員ウチの子なんです。だからまだまだレズノミクスを期待してます!
——永田先生に限らず、珍スポトラベラーの金原みわさんだったり、色んなライターさんが、御坊さんのお店のレポートを書いてたりしますよね。
御坊:知り合いのライターさんには、僕の実費で鑑賞してもらってるんですよ。その代わり記事にしてねと(笑)。ウチは広告とかよりも、ライターさんに頼んだり、イベントの協賛や『ハードコアチョコレート』に作ってもらったTシャツをノベルティとしていろんなところに配ったりして、お店を宣伝してるんです。ちなみに『ハードコアチョコレート』のみちさんは、今回のイベントの司会です。
——もうズブズブじゃないですか(笑)。今回のイベントではどのようなことをされるんですか。
御坊:在籍中のキャストはもちろん、卒業したキャストにも登壇してもらって10年を振り返ったりします。ウチは基本顔出しNGなので貴重ですよ。イベント中は撮影禁止なので、セキュリティとしてダブプロレスのみなさんにも来てもらいます。
——屈強なセキュリティですね(笑)。ゲストの方々が多くいらっしゃいますよね。
御坊:はい。ライブもあるし、茶番劇もあります。みんなでワイワイしたいんですよね。あと、レズ鑑賞コースを体験してもらったライターさんに、その様子を語ってもらったり、ビアンコースを体験してもらった女性のライターさんにその様子を語ってもらったりします。
——何でもありのカオスなイベントになりそうですね。
御坊:今のウチのお客さんだけじゃなくて、男女問わず、このレズ風俗業界に興味がある人にも来て欲しいんです。イベント自体に少しでも興味があれば来て下さい! それで「良いな」と思ったら、ウチの店のご予約・ご利用して頂ければと思います! それが1番嬉しいです!