Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューa flood of circle(Rooftop2015年11月号)

波瀾万丈なバンドの歩みと佐々木亮介の半生を5分間の歌に昇華した「花」、結成10周年を目前に堂々の完成!

2015.11.02

正三角形ではない3人の歪で不思議な関係性

──そのMVもシングルのジャケットも亮介さん単体で、バンドの表現ではあるものの亮介さんのパーソナリティが色濃く反映されつつあるのを感じますね。
佐々木:そうかもしれませんね。AFOCって凄く歪なバンドだと思ってて、オリジナル・メンバーの俺とナベちゃん(渡邊一丘)、姐さん(HISAYO)が揃ったアー写を見ても何だか不思議な関係性だなと感じるんですよ。でも、その歪さみたいなものが武器だったり自分たちらしさだと思うんです。不動のメンバーでずっとやり続けてるバンドを見て格好いいとは思うけど、AFOCにはもうそれができないし、やらなくてもいいと言うか。幼なじみでもないし、いつも一緒にベタッとしてるわけじゃないし、微妙な距離があるんだけど、その距離や歪で不思議な3人の関係性にAFOCが乗り越えてきた凄みが宿ってるような気がするんです。
──亮介さんにフォーカスが絞られることが多いけど、決して亮介さんのワンマン・バンドではないじゃないですか。
佐々木:もちろん。バランスは絶妙だと思うし、AFOCって正三角形じゃないんですよ。俺が真ん中にいて、ナベちゃんがその補佐的なポジションで、姐さんがボトムとして全体を支えていて、それが何三角形と呼んでいいのか分からないけど、歪な三角形であることは自分たちでも自覚してるんです。前はそれを正そうと模索していたんですよね。だからDuranを迎え入れたこともあったし、Duranが抜けて『ベストライド』を作る流れの中で、この3人でやれることをはっきりさせようと思った。前まではメンバーの脱退に合わせて予定していたスケジュールを変更することもあったけど、今は3人のフォーメーションがはっきりしてるし、その必要がないんです。今後もしサポートが替わっても、ナベちゃんと姐さんと俺の3人さえいればAFOCの進むべき道を変えずに突き進んでいける自信と覚悟がありますね。
──今回のシングルはカップリング曲もまたクオリティが高くて聴き逃せませんね。まず、亮介さんが普段から愛飲する酒をテーマにした「鬼殺し」は遊び心に溢れたアグレッシヴなナンバーですが、「キルミー、キルミー」とサビで連呼しながらも最後は「君が好きなんで まだ死ねません」「戦う日々を 生きてゆくのです」と結ばれる。逆境の中でも強く生きていくことを誓う「花」とリンクしてくるところがありますよね。
佐々木:「鬼殺し」は「花」の反動と言うか、書き上げるのにとにかく煮詰まっていた「花」をやっと仕上げた解放感から生まれた感じです。
──サウンドだけ聴けば恐ろしくクールなのに、歌詞は呑ん兵衛の戯言と言うか(笑)。ストイックな「花」との対比が面白いですね。
佐々木:「馬鹿野郎!」って自分でノリ突っ込みしてますからね(笑)。あと、実際に鬼殺しを呑みながら録ったんですよ。スタジオで「みなさん今日は許してください」って言いながらチューチュー呑んで(笑)。
──コーラスもチューチュー唄ってる徹底ぶりで。
佐々木:よくぞ気づいてくださいました(笑)。別に要らないコーラスなんですけど、鬼殺しの歌だからチューチュー言っときたいじゃないですか(笑)。そんな遊び心だけで構成されてる曲ですね。いつもはクリックを聴きながらテンポをしっかり合わせて録るんですけど、この曲でナベちゃんはクリックを聴かずに叩いてるんです。だから後半のドラムの加速と言うか崩壊っぷりがとんでもないことになってますね(笑)。
──「Dreamers Song」はタイトなアンサンブルで聴かせるロマンティックなラブソングですが、これも生きることがテーマとして透けて見えますね。
佐々木:後から気づいたんですけど、「花」も「鬼殺し」も「Dreamers Song」もテーマが一貫してるんですよね。「Dreamers Song」は『GOLDEN TIME』を作る前からあった曲で、ある程度形になっていたんですよ。でもちょっと可愛らしすぎて、自分では恥ずかしいと思って『GOLDEN TIME』の収録候補曲から外したんです。今唄うのはこれじゃないなと思って。そのままお蔵入りするかと思いきや、聴き直してみたら今は凄くいい歌に聴こえたんですね。自分が前に感じた照れはポップさみたいなところだったと思うんですけど、今のAFOCはもっとポップな場所へ行こうとしてるから今出すべきだと考えたんです。
──歪なバランスの三角形がとてもバランスの良い3曲をシングルとして出した印象を受けますね。
佐々木:全体のバランスを考えつつ、それぞれの音楽的なクオリティも外してないんですよ。「花」はサビに入る時に半音を上げて、また戻すのを繰り返すことでアクセントを与えてるし、「Dreamers Song」も普通はA→B→サビと行くところをA→B→C→サビという構成にしてるんです。Dメロがサビみたいな。そうやって引っかかりみたいなものを工夫してるんですよね。そんなことを細部で凝らしながらAFOCのど真ん中を行く表現にしたかったんです。
 

この3人がいれば無敵だってことを確認できた一年

──「Trash Blues -Band ver.-」は、敢えてラフなスタジオ・セッションで録ることで情緒と気怠さを際立せる効果が出た気がしますね。
佐々木:『ベストライド』に入れた時はピアノとギターの弾き語りでしたけど、その前にバンド・バージョンがあったんですよ。デモの時は今回のシングルに入れたバージョンの尺で作ってて。『ベストライド』に入れた時は、ミニ・アルバムというボリューム感を考えるとバンド・バージョンだと重いなと思ったんですね。それで引き算の発想でピアノとギターの弾き語りにしたんですけど、バンド・バージョンが良かったのが心残りだったんです。
──今回のバンド・バージョンのほうがセンチメンタルさが加速しているように感じますね。グッとくる度合いまでグッと高まったと言うか。
佐々木:ナベちゃんも姐さんもしっとりしたイメージでやってたからじゃないですかね。普段のナベちゃんはドカスカ叩く感じだけど、こういう曲の時は努めて柔らかく叩くから、それがいい味になってるのかもしれませんね。あと、この曲はサポートの藤井清也(ex.The SALOVERS)がギターを弾いてるんですよ。それも含めて、今回の「Trash Blues」はがっちりとキャラクターの立った3曲を聴かせた後のボーナストラック的な位置づけですね。オマケではあるけど、そのオマケまでが凄くいいっていう。
──確かに。シングルというフォーマットではあるけど、AFOCにとってはアルバムと同じくらいの重要作と言えますね。
佐々木:アルバムには必ず流れやストーリーがないとイヤなんですけど、シングルにはむしろ流れがないほうがいいと思ってるんです。濃い曲が点在してたほうが面白いので、その辺のバランスは気を遣いましたね。自分たちの新たな代表曲を作る提示でもあるし、今回はシングルを出す意味を真剣に考えたんですよ。たとえばフェスとかに出ると、こんなにも言葉が暑苦しくてストレートなロックンロールをやってるバンドって他にいないなと実感するんです。こういうバンドがいるんだぞっていう意思表示としてのシングルでもあるし、それをちゃんと盤として聴いて欲しい。そのためにリハを含めたライブ映像、「ベストライド」のMVのオフショットとかを入れたDVDを付けたり趣向を凝らしたんです。
──リハの映像を収録するバンドも珍しいですよね。
佐々木:俺たちも初めてのことでした。カメラを自分の頭につけて、俺の目線でギターを弾いてる映像も見られるんですよ。スタッフからのアイディアももらいながら作ったので、普通のオフショット映像よりもさらに濃い内容になってると思います。
──結成9年目の2015年はどんな一年だったと言えますか。
佐々木:この3人がいれば無敵だってことを確認できた年ですね。さっきも話した通り、Duranが抜けたことで予定してたスケジュールの変更を余儀なくされたんです。それはある程度仕方ない部分もあったし、柔軟性のあるバンドだとも言えるんだけど、アクシデントが起きても自分たち3人さえいれば大丈夫なんだと突っぱねていきたいんですよ。そうやって『ベストライド』や今回の「花」といった自信作も作れたし、この3人が揃えばブレようがないので。
──当たり前のことですが、Duranさんの加入前と脱退後では、3人の在り方と関係性も大きく変わりましたよね。
佐々木:そうですね。岡庭(匡志)が失踪してから、フラカンやスクービー、怒髪天といった不動のメンバーでやり続けるバンドへの憧れが強くなって、Duranが入った時に4人でそういうバンドにするんだという気持ちがあったんですけど、結局はまた3人に戻ってしまって。そんな時、姐さんに聞かれたんですよ。「亮介君は結局、どんなバンドをやりたいわけ?」って。それが自分の足元を改めて見つめ直すきっかけになったんですよね。同じメンバーでずっと続けるのはAFOCにはムリだけど、自分たちなりに歪な形のまま続けていけばいいんだって強く認識したんです。今はこの3人ではっきりと未来を見据えてますしね。
 
このアーティストの関連記事

「花」

初回限定盤(CD+DVD):TECI-380/2,000円+税
通常盤(CD):TECI-381/1,200円+税
2015年11月4日(水)発売

amazonで購入

ディスク:1
1. 花
2. 鬼殺し
3. Dreamers Song
4. Trash Blues -Band ver.-
ディスク:2
1. ~Tour Rehearsal~ (AFOC presents What’s Going On Tour 2015 “BRAND-NEW RIDERS”)
2. One Shot Kill (AFOC presents What’s Going On Tour 2015 “BRAND-NEW RIDERS”)
3. スカイウォーカー (AFOC presents What’s Going On Tour 2015 “BRAND-NEW RIDERS”)
4. Buffalo Dance (AFOC presents What’s Going On Tour 2015 “BRAND-NEW RIDERS”)
5. Boy (AFOC presents What’s Going On Tour 2015 “BRAND-NEW RIDERS”)
6. ベストライド (AFOC presents What’s Going On Tour 2015 “BRAND-NEW RIDERS”)
7. GO (AFOC presents What’s Going On Tour 2015 “BRAND-NEW RIDERS”)
8. ベストライド (Music Video)
9. ベストライド (MVオフショット)&「ア・フラッド・オブ・サークル賞」ドキュメント映像

LIVE INFOライブ情報

AFOC presents VS tour “BATTLE ROYAL 2015”
2015年11月20日(金)なんばHatch
OPEN 18:00/START 19:00
with:グッドモーニングアメリカ
 
2015年11月22日(日)名古屋DIAMOND HALL
OPEN 17:00/START 18:00
with:HEY-SMITH
 
2015年11月27日(金)Zepp DiverCity TOKYO
OPEN 18:00/START 19:00
with:9mm Parabellum Bullet
 
休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻