かつて私はHi-STANDARDや海外のパンク・シーンに夢中になっていた。普段着で爆音を鳴らす音楽に酔いしれた。あれから20年が過ぎ、ヌンチャクの歌詞に出てきたムラケンも大人になったのだろうか? Hi-STANDARDの横山 健は『ミュージックステーション』に出演し、BRAHMANも20周年で大型イベントを企画、電車の中刷り広告になっていたり、彼らが先頭に立ってシーンを底上げしている。そしてラウド・シーンもまた、新世代バンドを巻き込みながら現在進行形で勢いを増している。
そのシーンの真っ只中にいた結成18年目のsmorgasに、私はどうしても話を聞きたかった。なぜ今もバンドを継続しているのか。何がバンドを続ける原動力になっているのか。そんなことをsmorgasの来門(MC)とアイニ(MC)にぶつけてみた。そこには今もピュアに音楽を楽しむバンドマンの姿があった。[interview:柳沢英則(新宿LOFT)]
smorgasのメンバーは選ばれし5人
──今日はよろしくお願いします。早速なんですが、smorgasの結成はいつですか。
アイニ:1997年ですかね。
来門:でも、その前からアイニはsmorgasをやってたよね、3人で。
アイニ:そうですね。実は96年くらいから母体となるバンドがありました。今のメンバーでやり始めたのが97年ですね。
──どういった経緯で始めたんですか。
アイニ:僕は西麻布の「Space Lab YELLOW」とかでクラブ・ミュージックをずっとやってたんです。当時たまたまライブハウスに行って、ちょうどHi-STANDARDが流行ってる時期だったんですが、「うわ、ライブハウスもヤバいな!」って衝撃を受けたんです。BACK DROP BOMBとかも当時来てたので、“ミクスチャーとラップ”っていいなと思って、自分がやっていたクラブ・ミュージックと上手く合わせて新しいスタイルができるかな、ということで始めました。
──来門さんは途中から入ったんですか。
来門:そうだよね。
アイニ:やりながらいろいろと考えてて、最初は俺がギター弾きながら唄ってたんですけど、それじゃ物足りないと言うかパワー不足だし、ギターとボーカルを入れてもうちょっとリズムを強くしたいなと思って。それでメンバーを探してたんですよ。そしたら彼を見つけちゃいました(笑)。
──当時、来門さんは何をしてたんですか。
来門:その時はちょうどアメリカから帰ってきたくらいでしたね、高校はあっちだったんで。アイニの弟と遊んでたんですよ、高校の先輩だったってこともあって。そしたら「兄貴のバンドが唄うヤツ探してるから、一回行ってみてよ」って言われて、リハに行ったんだよね。梅ヶ丘のリンキーディンクにね。
アイニ:最初、「どういう感じか見ててよ」って言ったんですけど、カウント入って音が鳴った瞬間に彼はもう上半身裸でしたね(笑)。
──その時はおいくつでしたか?
来門:いくつだろう、今が23歳だから……。
──そんな若くないでしょう(笑)。アイニさんは海沿いに住んでるんですか?
アイニ:湘南に、もう10年くらいになりますか。
──どんな理由で海沿いに住むことに?
アイニ:それも少し音楽が関係してて。初期はクラブ・サウンドを混ぜてちょっとニューヨークっぽく、と自分の中で思ってたんですけど、いろいろバンドマンとかと関わっていくにつれて…ELLEGARDENとかと一緒に回るようになって、「西海岸サウンドもいいな」と思い始めて。やっぱり海沿いのサウンド作るには海のそばに引っ越そうと、それだけです。
──住んでみてやっぱり良かったですか。
アイニ:住んだらやっぱり最高で、全然陸地に帰ってこれないですね。
──ライブの時だけ出てくると(笑)。smorgasのDVDを見るとLOFTの映像も出てくるんですが、あれは何年くらいですか。
来門:どのくらいですかね。LOFTにはずっとお世話になってますからね。LOFTでのsmorgasのライブってハズしたことなくて、本当に楽しいですよね。僕が25歳くらいの時かな。
──では、今度のライブは10年以上ぶりなんですね。
アイニ:結成初期のほうも何度か出させてもらって、レコ発もやったことあったかな。忌野清志郎さんとも一緒にやったことありましたね。
──新宿LOFTってどんなイメージありますか。
来門:周りが周りですからね…(笑)。今はここら辺も綺麗になってきたし、どんどん変わっていくんでしょうね。
──2010年にオリジナル・メンバーで再結成されましたが、どういう経緯だったんですか。
アイニ:きっかけはSENSHO君(SENSHO1500、g)の結婚式ですね。
──そこで久しぶりに集まったんですか。
来門:そうですね。で、みんなせっかく集まるんだからってことでsmorgasで3曲くらいやったんですよ。
アイニ:そしたら…なんでだろう。自然と「またやるか」ってことになったんですよね。
──久しぶりにオリジナル・メンバーで音を出してみて、何か思うことはありましたか。
来門:やっぱり嬉しかったですね。SENSHO君も(あらき)ゆうこちゃん(ds)も同じこと言ってましたけど、二度と会わないと思ってたから、もう一度そのメンバーでギグできるのが凄く嬉しくて。ソロとかユニットでの活動はしてきたんですけど、バンドはsmorgas以外やってないんで、全然違いますよね。
──その時が8年ぶりですよね。それほど長い時間を経て出す音って凄いですよね。
アイニ:一発で8年前に戻れた感じがありましたね。それが驚いたと言うか。俺はいろんな人とバンドやったりセッションしたりして、それなりにイイ感じだなと思ってたんですけど、8年ぶりに音を出してバッとまとまったってことは、やっぱりsmorgasの5人っていうのは選ばれし5人だったのかなって感じましたね。