Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューYellow Studs×Radio Caroline【完全版】(Rooftop2015年7月号)

“方位磁針”が指し示すのは食うか食われるかの大決闘!

2015.07.01

自分が格好いいと思ったことしかやりたくない(PATCH)

──最近、イエスタは精力的に活動してますよね。企画イベントだったり、6月末にワンマンだったり。それを通して心境の変化とかありますか。
野村:正直に言うと怖くなりましたね。こんなに精力的にやっていて、いつか右肩下がりになってしまう、その瞬間が怖いです。
PATCH:意識的に「やるぞ!」って動いたの?
野村:僕ら臆病なんで、そこはマネージャーにケツ叩いてもらって、それじゃやろうかってことになりました。ただこれでお客さん集まらなかったらどうしよう、心が折れてしまうかもしれないと、やっぱり怖くなりますね。
PATCH:でもまぁ、ワンマンのほうが人集まるしね。
野村:そうなっても、ワンマンにもやっぱり新規のお客さんは来るわけで、一回でもまずいものを見せてしまってはダメだ、命懸けだ、とは思いますね。結果、精神的に背水の陣でやってきたのが強みになってるかもしれません。
──CDが売れなくなってきて、アイドルなんかも含めたアーティストやバンドマンがライブ主体に活動してますよね。そうなると1回1回のライブが命懸けで、ライブハウスで働いてる身としては凄い面白い状況だなと思いますね。ところで、パッチさんはけっこうお酒は呑むんですか? そのイメージが強いですが。
PATCH:呑むね。酒を呑まないとライブに誘われないという恐ろしいところにいたんで(笑)。悪い伝統なのかもしれないけど、ライブだってなるとリハ前に呑んで、リハ中にも呑んで、ライブ前に呑んでっていう感じだったからさ。それが当たり前だと思ってたんだけど、最近は呑まない人も多いみたいで。
田中:ウチもライブ前は呑んじゃいけないっていう暗黙の了解がありますね。
──ライブ後も呑まないバンドが増えたから、打ち上げが全然盛り上がらないですよ。
PATCH:最近、打ち上げ自体がないことも多いよね。打ち上げで呑んで、ケンカもあるけど次のライブが決まるとかよくあったな。それこそギターウルフとか「酒呑めるならツアー行こうぜ」って誘われたりして。それで本当に最初の九州ツアーに連れてってもらったな。最近はそんなに会ってないけど、やり始めの頃は本当に可愛がってもらってたし。
野村:セイジさんの天然なところ、大好きですね。ウチのギターの(野村)良平の演奏見て、セイジさん「上手いね、毎日弾いてるのかい?」って(笑)。毎日ではないですけど弾いてますよって答えたら、「素晴らしい!」って。あの人、ナレーションもやってるじゃないですか。僕も同じ監督でやらせてもらったんでそれを話したら、「素晴らしい!」って、話が広がらないんですよ(笑)。
PATCH:あの人は曲者だからねぇ。ギター上手いんだよ。ブルース・ギターをやってたんだけど、「俺は黒人じゃない」って気づいてやめたり。フィーリングで弾く人なんだよね。
田中:セイジさんはまさにロックンローラーですよね。古河スパイダーで初めてギターウルフとご一緒した時なんですけど、入りの時からビール1ケース持ってきてますし、打ち上げもそろそろ終わるってなると「この店のビール全部呑んだら帰ろう」って、その後はマネージャーさんに担がれて帰ってました。さすがです(笑)。
野村:いい人で、いい感じにダメな人だね(笑)。パッチさんも似た雰囲気ありますよね。
PATCH:ほら、それがロックだからさ。いい背中を見せてもらってきたからね。憧れるか、反面教師にするかはあるけど(笑)。
野村:当たり前ですけど、ギターウルフはギターウルフしかできませんからね。…ところで、ロックって何なんですかね?
PATCH:何だと思う?
野村:僕はまだ分からないですね。60歳ぐらいになったら分かるのかなと思ってますけど。
PATCH:俺もはっきりロックとはこれだ、とは言えないけど、自分が格好いいと思ったことしかやりたくないよね。
野村:曲作る時も邪念なしで、どうやったらウケるだろうとか一切考えないってことですか?
PATCH:いや、それは考えるね(笑)。対バンで一緒になったバンドとか見て「こういうコーラスが流行ってるんだな」とか、取り入れたりもするよ。長くやってるといろんな知恵とか垢がついてくるわけよ。でも自分の中で「これはやっちゃいけない」ってところは守るかな。
野村:たとえばどんなことですか?
PATCH:俺が短パン履いてたりとかね。
野村:それは確かにやっちゃダメですね(笑)。
PATCH:大げさに言うとね(笑)。自分のセンスの中でどれだけできるかだと思うんだよね。(楠部)真也が4つ打ち叩いてた時は驚いたね、感動した。NEATBEATSのあいつが! って(笑)。ウエノ(コウジ)さんもできるからさ。「ついに俺も4つ打ちをバックに唄えるようになったか!」ってね。まだ唄ってないんだけど(笑)。そうやって守るところは守りつつ、もっと広げていきたいかな。
 

お客さんを満足させるライブを積み重ねていくだけ(野村)

──レディキャロで今後の展望、こういうことをやっていきたいとかありますか。
PATCH:全然見えないなぁ。やっぱりウエノさんが忙しいしね。
田中:先ほど仰ってましたけど、4つ打ちだとか、新しいものをやっていきたいって気持ちはあるんですか?
PATCH:それはもちろんあるよ。けっこうミーハーなんだよね。あれもやりたい、これもやりたいって。それがなかなかサマにならないんだけど、俺のいいところでもあると思うんだよね。ストーンズだってレゲエが流行ったらそれを取り入れて、でも完全には消化できなかったりするけど、それがストーンズの良さでもあるしね。
野村:「変わっちゃったな」とか、たまに言われちゃいますよね。
PATCH:そういう人もいるし、面白がってくれる人もいるわけだよ。とりあえず何でも、気になったことはやっていくと思うよ。だから次の曲を作る時、ウエノさんはガチガチのロックンロールだったり、これぞパンクって曲を持ってくるかもしれないけど、逆にダンス・ビートとかに持っていってしまったりするかもね。
野村:アルバムとか作るってなると、けっこういろんなジャンルの曲を入れたりするんですか?
PATCH:俺いつも、曲を作るってなると、トム・ウェイツのアルバムとかクラッシュの『LONDON CALLING』を聴くんだよ。それで自分なりのイメージをまとめ上げていくの。『LONDON CALLING』を聴くと初心に戻るって言うか。
──いろんなジャンルの曲が入ってますよね。
PATCH:そう、スカだったりファンクもレゲエもある。あれを聴くと湧いてくるものがあるね。
──イエスタは今後の展望とかありますか。
野村:まず、一番の目先しか見えてないです。そのライブを成功させる。俺ら演奏陣がお客さんを満足させる、次に期待を持ってくれるようなライブをする。それの積み重ねですね。
PATCH:固いね(笑)。その感じだったら売れると思うけどな。友達になって売れてよ(笑)。Yellow Studsが『ミュージックステーション』に出ることになったら、メール送りたい。「お前ら出るの?」って。
野村:(笑)何と言うか、お客さんからたくさん観られて成功だって思ってもらうのも欲しいんですけど、まず自分たちが食えるようになる、とりあえずそこですね。それが展望ですかね。
PATCH:固い! マネージャー目線だね(笑)。
──今回の自主企画でこういう想いをお客さんに届けたい、こういうイベントにしたい、というものがありましたらお願いします。
野村:決闘ですね。食うか食われるか、大先輩というのも一旦関係ないです。打ち上げになったらまた大先輩になるんですけどね(笑)。
PATCH:打ち上げ、皆出てくれるの?
田中:皆出ると思いますよ。朝まで行きましょう!
PATCH:とりあえずオムライス3つ作ってよ。
──僕作れるんで、もちろんです(笑)。
野村:食うか食われるか、決闘でございます。レディキャロもその緊張感で出て下されば。負けるかもしれませんが、それでも行かなければならない時があるのです。
──最後にパッチさん、このYellow Studsとの出会いから今後期待することとかあれば。
PATCH:良かったよ、本当に。貫録あるなぁって緊張してたからさ(笑)。
野村:やっぱりここまで真摯に音楽を続けてきた人にはいい人しかいないですね。
──ここからまたいろんな付き合いが続いていけば嬉しいですね。
PATCH:是非、よろしくお願いします。
野村:いやいや、こちらこそお願いします。
 
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LIVE INFOライブ情報

Yellow Studs presents 方位磁針 VOL.2
2015年7月31日(金)新宿LOFT
【出演】Yellow Studs/Radio Caroline
【OA】TEXAS STYLE【DJ】ジャックサトシ
OPEN 18:30/START 19:00
前売 3,300円/当日 3,800円(共にドリンク代別)
チケットは、PIA(Pコード:264-251)・LAWSON(Lコード:79964)・eplus・LOFT店頭にて発売中。
問い合わせ:LOFT 03-5272-0382
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