生まれてくるのを祝うように、死んでいくのを見届けたい
──その「し」に続くポエトリーリーディングの「時間」ですがこの流れは最高だと思いました。これは命についてついて問うているじゃないですか。「幸せにありつけてもありつけなくても時間はそこにあり命はそこにある」と、ただ生きている命を認める曲だと思ったのですがこの流れは意識して作ったのですか?
G:これは、最終的に曲を並べるときにすごく意識しました。この曲はあの曲のあとにすればこの歌詞が響くぞって思いながら歌詞を常に変動させます。
──最後に「箱庭」という曲があって、その前に「終焉」という曲でも「箱庭」というフレーズがありますよね
G:あ!精神病院で箱庭で遊んで〜…ですね。「終焉」は一番最後に撮った曲なんですけど、その次の「ゆうかい」という曲のイントロが一番響くには?と考えたらどの曲のあとにしてもだめで、音はいらないなと思ったんです。だからアカペラでやるために完全に「ゆうかい」への誘導として書き下ろしました。
──言葉を書いているのに音に対してへのこだわりがすごくありますよね
G:そうですね。音楽7割、言葉3割くらいで完全に音楽先行です。曲を聴いてフリースタイルをやってみて、どの声、どの口調が合うのか試すんです。同じメッセージでも口調によって歌詞の書き方が変わるから。例えば人に「ここは触ったらいけない」と教えるときに「それはだ〜め」と「だめって言ったでしょ!」って全然違うじゃないですか。
──「だめって言ったでしょ!」のときは完全に怒ってますよね(笑)。
G:そうそう。言葉のチョイスが口調と曲によって変わるのが、日本語の面白さですね。
──アルバムタイトルの「し」ですがGOMESSさんがこの文字を変換するとしたらどの漢字に変換しますか?
G:「死」です。常にそれをイメージして作ったので。
──でもアルバム通してマイナスイメージは残らないですよね。
G:死は次のステップにいく通過点だと思っているんです。セカンドライフがあるのかまたここに戻ってくるのかは分からないし、戻って来てもそのときには違う姿、違う場所かもしれない…そもそもないのかもしれないけど…自ら命を絶って行った人を臆病者だと思いたくないんです。世界を変えるには自分を変えるしかないから、その中の究極系だと思っています。現状を変えたくてそこに向かったのだろうし。死っていうのはいつか誰にでも来るもので、幼稚園のときに死の存在は知っているのに、それを認めないのはなんでだろうって思うんです。こわいのは痛みや闇だから。生まれて来るのを祝うように、死んでいくのを見届けるのは当たり前のことだと思っています。
──4/12のワンマンライブに向けての想いを教えてください。
G:自分の部屋を作る感覚です。誰もいない部屋があって、それをお客さんが見て、自分がさらし者になるっていうイメージですね。
──そのワンマンライブを終えたら、次にどんな目標が見えそうですか?
G:自分の作品を作るよりも、人の作品にたずさわりたいです。一曲単位でコラボしたり、映画の手伝いとか…いろんな場所で時間を大切にしたいと思っています。でも、人とやる曲だけで20曲はあるので、新曲はたくさん聴けると思います!