Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューTSURU(STANCE PUNKS)(Rooftop2014年12月号)

ネイキッドロフト恒例の『TSURU弾き語りワンマンショー』、2014年の締め括りとして“朝まで忘年会スペシャル”を開催!

2014.12.01

 年に数回、気まぐれ(!?)で開催しているSTANCE PUNKSのボーカル、TSURUの『弾き語りワンマンショー』。12月27日にはネイキッドロフト10周年記念として"朝まで忘年会スペシャル"として開催される。そんなTSURUへのインタビューを決行!
 彼を形成するものから、これまであまり語られなかった「青春パンク」というブームに対しての思い、そして出る出ると言われて未だ発売されていないニュー・アルバムに関することまでを余すところなく話してくれた。パンク好きもそうじゃない人も一読すべし!!(interview:高橋 啓/NAKED LOFT)

若いパンクロック・ヒーローを心待ちにしてるよ

──TSURUさんを形成しているものを伺いたいのですが、影響を受けた人ってどんな人がいますか?
T:最初はジェームズ・ディーン。ジェームズ・ディーンの真似して深夜にリーゼントを作ったりしてた。でもけっこう早い段階で男前じゃないとダメだと思ってやめたけど。俺じゃダメだった(笑)。
──それはいつ頃ですか?
T:小学校4年生くらい。その後はブルーハーツだったね。
──ブルーハーツはいつ頃だったんですか?
T:小学校5年生くらいかな。ブルーハーツは友達が「リンダリンダ」のテープを持ってきて聴いてて、当時は分かんなかったけど流行ってたんだろうね。ちょうどファースト・アルバムが出た時とか、そのくらいじゃないかな。
──音楽はそこで興味を持った感じですか?
T:音楽はもっと前から大好きだった。当時は『ザ・ベストテン』とか見てたな。光GENJIが全盛の頃に見てた。俺が自分で初めてお金を出して買いに行ったのは『パラダイス銀河』のカセットテープだから。
──中学校の時には何にハマってましたか?
T:ずっと泳いでた。
──大学まで、水泳でオリンピックの金メダルを目指してたんですよね。
T:そう。
──平泳ぎでしたっけ?
T:うん。水泳では鈴木大地がヒーローだったな。背泳ぎの選手で、バサロ(背泳ぎの潜水泳法)で闘った人。高校くらいまでは、ずーっと鈴木大地が一番のヒーローだったかな。中学の時、友達と自分のヒーローは誰だっていう話になって、俺は鈴木大地だってなって、その友達はBOφWYってなって。それで殴り合いのケンカになったな(笑)。
──TSURUさんを語る上で欠かせないジョー・ストラマー(THE CLASHのボーカル)はどこで出会うんですか?
T:ジョー・ストラマーに出会うのは遅かったね。18の時、東京に出てきてからだな。友達の部屋で最初ピストルズを聴かせてもらって、それが最初のパンク体験。
──パンクの中でもいろいろ好きだと思うんですが、その中でもジョー・ストラマーが好きなイメージが強いのですが、どこに惹かれたんですかね?
T:とにかく圧倒的に楽曲が好きだったね。歌詞とかも。バンドを始めるきっかけがジョー・ストラマーだったから。ピストルズを聴いて「これがパンク・ロックっていうんだ」って凄い興味を持って、そのまま吉祥寺の中古屋に走ったんだよね。そこで他にオススメのバンドないの? って聞いて買ってきたのがCLASH。それもちゃんとした『白い暴動』じゃなくて、音も悪い海賊盤みたいなのを買ってきて(笑)。この人の声カッコいいな、燃えてるなって思ったのが18の時だった。19の時は水泳やろうかバンドやろうか迷ってた。人生で夢破れかけてる時期で、今この位置にいても、どうもオリンピックで金メダル獲れなさそうだなと思い始めてて。18までは完全に金メダル獲れると思ってたから。で、CLASHに出会ってから1年くらいずっとCLASHばっかり聴いてて。それで深夜に「Tommy Gun」を聴いてる時、「そうだ、バンドやろう!」って急に思って。で、突然水泳をやめてバンドをやり始めたの。それでSTANCE PUNKSを結成したのが20歳の時かな。
──何年もやってきた水泳をフェイド・アウトじゃなくバツッと切ってバンドをやり始めるっていうのは凄いですね。
T:すぐやめるって判断したね。それくらい衝撃が凄かったんだろうね。パンクなんてそもそも衝撃でしかないと思うしね。それは激しい歌とか激しい音ってことじゃなくて。
──よく「パンクは若者の音楽だ」って言ってますよね。
T:若者の音楽だよ。だからやっちゃダメなんだよ、俺は(笑)。若いパンクロック・ヒーローを心待ちにしてるよ。
 

「青春パンク」から離れたくてアルバムを出さなかった

──ネイキッドロフトが10周年ということで10年前のことを聞きたいのですが、STANCE PUNKSは当時どんな感じでしたか?
T:2004年に2ndアルバム『LET IT ROLL』っていうのを出して、長いツアーを回ってたんじゃないかな。5、60ヶ所くらいは回ってたはず。当時は「青春パンク」ブームってのがあって。俺らは「青春パンク」っていう言葉尻が嫌いで、そこから離れたいなっていう感じがあって、2003年はアルバムを出さなかったんだよ。で、2004年に初期パンク・テイストのアルバムを出して、10年前と言えばそのツアーの頃じゃないかな。今となっちゃどうだっていいんだけど、その頃はもう「青春パンク」がイヤでイヤで。
──その界隈がどうのっていうより、「青春パンク」という言葉を嫌っていたという感じですかね?
T:言葉尻が一番イヤだったね。
──その言葉から離れるためにCDを出すのをやめていたんですね
T:やっぱり「青春パンク」ってイメージがあるじゃん? 「お前、青春パンクだろ? 恋愛の歌唄ってんだろ?」って高円寺とかで年上のパンクスに絡まれるんだよね。別に恋愛の歌を唄ってるのもいいと思うけど、唄ってなかっただけにね。なんか違うものとして捉えられるのがイヤだったかな。
──未だに「青春パンク」ってものの呪縛がありそうですよね。
T:ありそうだねぇ。俺らがこういうバンドだって知ってる上で「青春パンク」っていう括りにしてるんだったらいいんだけど、俗に言うイメージは別だったから。恋愛の歌もリビドーみたいなものをぶつけるっていう意味では凄くパンクだと思うよ、銀杏BOYZとかね。まぁ、気合い入ってればいいんじゃないって感じだけどね(笑)。
──そのブームの終焉があって、バンドとしての方向性はどうしていこうとかありましたか?
T:何もなかったね。俺らは俺らの音楽をやるだけだって感じだったな。
 

音楽ができればどこでも一緒だと思ってた

──その時期のすぐあと辺りにメジャー・レーベル移籍の話が来たんですよね?
T:2005年だね。
──時代の変遷とともにメジャーに移籍したという感じですね。
T:でも、特に何も考えはなかったけどね。ただ、より全国の人にたくさん聴いてもらえる土壌ができるんならいいなって思っただけ。
──インディーズの頃には「真夜中少年突撃団」が映画『バトルロワイヤルII』のテーマ曲として深作欣二監督の大抜擢で起用されてましたが、メジャーに行ってからも、アニメ『NARUTO』のオープニングを担当したり、アニメ『ソウルイーター』のエンディングを担当したり、あれも大抜擢ですよね。
T:映画の時もそうだったけど、好きなアニメで自分の曲が流れるっていうのは感慨深いものがあったよ。オープニングとかで「作詞・作曲:TSURU」って出るのには興奮したね。
──そういうのがあって、そこから自らメジャーから離れたんですよね?
T:最終的にはやめたね(笑)。2009年かな?
──4年くらいはいたんですね。
T:いたいた。だってアルバムは3枚は出てるからね。今のところ半分はメジャーだよ。
──離れたきっかけは?
T:俺らEPIC SONYってとこでやってたんだけど、ウチらがメジャー・デビューする時にKowalskiレーベルっていうのができて、そこに所属してたんだけど、単純にKowalskiが潰れたんだよ(笑)。Kowalskiを閉めるけどどうするかって聞かれて、それで本来ならEPIC SONY本体でやるって流れになるんだけど、まぁ一旦いいかなと思ってインディーズに戻ることにした。昔はメジャー・デビューして、クビになった、給料がなくなった、もうダメだっていうのが多かったと思うけど、全然そんなんじゃなかったからね。別にメジャーにいるからってお金をいっぱいもらえるわけでもないし。だから特に何の後ろ髪も引かれなかったかな。音楽ができればどこでも一緒だと思ってたから。
──インディーズ復活第1弾のアルバム・タイトル曲の「ザ・ワールド・イズ・マイン」のPVが話題になりましたよね。渋谷センター街を練り歩き、最後は交番に突っ込んで(笑)。Yahoo!ニュースにもなりましたよね。
T:俺がYahoo!ニュースに載るなんて、世も末だよね(笑)。
──あの後、どうなったんですか?
T:俺とスタッフが大人たちにこっぴどく怒られた(笑)。
 
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LIVE INFOライブ情報

NAKED LOFT 10th ANNIVERSARY
TSURU弾き語りワンマンショー 〜朝まで忘年会スペシャル〜
【出演】TSURU(STANCE PUNKS)
2014年12月27日(土)新宿百人町 NAKED LOFT
OPEN 18:00/START 19:00
前売 2,500円/当日 3,000円(共に別途1ドリンク必要)
*前売り券はローソンチケットに発売中【Lコード:70106】。
*入場順は、ライブ会場販売前売整理番号順→ローソンチケット整理番号順になります。
問い合わせ:NAKED LOFT 03-3205-1556
 
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