ロックンロールに軸足があるほど浮いていないとダメ
──「GO」も今のメンバーで録り直してるんですよね。これはそもそも朝日新聞のCM曲のタイアップで作った曲だということですけれど。
「これはまずCMうんぬんと言うより、島田大介さんという映像作家の人が『暑苦しいバンドがいい』ってオファーしてくれて。その気持ちが凄く嬉しかったし、まず人でつながってるところがあって。それに、AFOCのモードとして、もっと大きなところに出たいと思ったんで。日比谷野音でライブをやった時に思ったんです。野音が良かったからと言うより、野音が悔しかったからそう思った」
──悔しかった?
「あの時、椅子があるところで初めてライブをやって。それまでずっとスタンディングでやってきて、ホールでの戦い方が未熟だと思った。もっと広いところでしか見えない景色が見たいという動機が生まれて、そこに行くために、タイアップの経験は凄く大事だと思った」
──「アカネ」という曲もその一環?
「そうですね。むしろこっちに関しては、レーベルを通してこっちから『やらせて欲しい』って言ったんです。バラードを作って、そういうところで聴いて欲しいという。何しろ革ジャンのバンドが『団地ともお』の主題歌ですからね。でも、スピッツに影響を受けてきた俺としても、こういう曲が書けるのがアイデンティティになっているわけで。あの要素はずっと捨てたくなかったし」
──そしてアルバムの締めくくりには「Party!!!」という曲がある。これはラストに置こうとして作っていった曲?
「曲順は決めてなかったですけれど、作った時からそうなるなと思ってましたね。この曲は『夜はこれからさ』って歌詞が凄く大事だと思っていて。今は世の中の動きも含めて、いろんなものが閉鎖的に感じる。だけど、俺たちが作ってる音楽、アルバムとライブがあれば、これから凄いことが待ってると思いたいし、思わせたい。ベストは尽くしてるけれど、ここが最終形じゃない。俺の人生もそうだし、世の中もそうあって欲しい。『これから』って気持ちは持っていたいですね」
──こういうアルバムを作ったからこそ、ライブの自在さと言うか、瞬発力も武器になっている感じもしますしね。
「そこは強みだと思ってますね。もう20歳のバンドじゃないから、イケイケで行くだけじゃなくて。お客さんの反応があったらギター・ソロを長くしたり、客席に飛び込んだり、年喰ったロックンロール・バンドみたいなパフォーマンスをする。逆にそれがいいと思うし。ライブの気持ち良さにもつながっているし。Duranも今入ってきた意味があるんですよね。若い頃に組んでたら、とっくにぶつかってたと思うし。プレイの瞬発力にそれまでの含蓄が出るわけじゃないですか。そういうのは、今の俺たちに備わってくる感じがする。20歳の若さに嫉妬しないし、今が一番勢いがあると思う。そういうことができるのが、今の4人組の有り難さだと思う」
──それこそ、先輩バンドと絡むことも多いわけじゃないですか。
「異常に多いですね(笑)」
──そういうバンドが持ってる地肩の強さが自分たちにも備わりつつあるんじゃないか、と。そういう実感もありますか?
「今はDuranが入ったフレッシュさもあるけれど、AFOCという看板を背負って9年やってきたんで。それは自然とあると思います。俺らの武器でもあるし。同い年のバンドより、40代とか50代のバンドの友達が多いですからね。『あ、電話来た』って思ったら仲野茂さんだったりするから(笑)。俺自身としては新譜もマメにチェックするし、2014年的なものが何なのかアンテナを張ってるつもりではいるんですけれど。40代とか50代の人が元気なんですよね。ただのオッサンだと思えないし。それはロックンロールの伝統があるからだと思うし、尊敬してる。その流れにいたい。ただ、単に同じことをしていたらダメで。ロックンロールに軸足があればあるほど、そこから浮いていないといけないとも思います」
──AFOCって、いろんなところに貪欲ですよね。
「ははは。まぁ、音楽が好きなんですよ。で、バンドが楽しい。だから何もためらってないですね。誤解されても、ライブを見れば分かるはずだと思うから。何も恐れていないです」