過去10年間、年末の下北沢SHELTERを舞台に恒例開催されてきたIdol PunchとHAWAIIAN6のツーマン・ライブ、男性限定「PAN-ICHI NIGHT」そして女性限定「LOVE LETTER NIGHT」。強烈なインパクトと伝説を残し、下北沢SHELTERを代表するバンドのひとつになっているHAWAIIAN6。そんな彼らのニューアルバム『Where The Light Remains』がついに完成した。レコ発ツアー初日は、想いの詰まった下北沢SHELTER。結成から17年、GURE(b)の正式加入が決定。今まさにツアーに向けて体を温めている彼らにホットな言葉をもらった。(interview:上里 環+川本 俊/下北沢SHELTER)
Making of『Where The Light Remains』
──locofrank、dustboxとのスプリット・アルバム『THE ANTHEMS』から1年、フル・アルバムとしては4年半ぶりとなる『Where The Light Remains』が間もなく発売となります。今の率直な感想はいかがでしょうか?
YUTA(g, vo):楽しく自由に制作できました。悔いのないものが出来たのではないか、と思っています。あとは無事に完成できて良かったなという一面もあります。
GURE(b):自分はHAWAIIAN6としても、自分の人生においても初の作品となりますが、HAWAIIAN6としてリリースできたことを大変光栄に思います。
HATANO(ds):純粋に嬉しいですね。長かったような短かったような、皆さんに言われてみて4年も経ってたんだって気づきました(笑)。
──タイトル『Where The Light Remains』にはどのような思いが込められているのでしょうか?
YUTA:“光の宿るところ”という意味合いで、生きてゆくこと、命、希望といった想いを込めて作りました。音楽のことを考えなくても今そういったことを生活しているなかで強く感じたし、唄いたいと思いました。
──特設サイトで公開されているMaking映像にもありましたが、レコーディング・エンジニアのアンドリュー氏と『FANTASY』以来14年ぶりに一緒に作ってみて、いかがでしたか?
YUTA:とても楽しかったです。当時はお互い何も分からないような状況で作って、それはそれで楽しかったのですが、お互い歳をとり、さまざまなことを経てまた一緒にできて嬉しかったです。バンドの癖や視点をとても理解してくれているので、悩むことなくレコーディングできました。友達って素晴らしいですね。
GURE:迷惑をかけてしまった部分も多々ありますが、ミュージシャンとしての目線で的確にアドバイスなどをいただきながら進めることができ、勉強になる部分も非常に多かったです。
HATANO:本当に楽しいレコーディングでしたね。アンドリューも自分たちもあの当時と比べて遥かに成長してきたと思うし、実際レコーディングではこっちが何となく音のニュアンスを伝えてもすぐに再現してくれて。凄く早くドラムの音が決まって、しかも自分の頭にあった理想のドラムの音がバンド人生で初めて録れた!
──また、Making映像に映っていない裏話があれば、出せるギリギリの範囲でお願いします!
YUTA:初日に蓮爾(ラーメン屋)を食べたのですが、それ系を食べたらブースに立ち入り禁止なのでブースの外で作業しました。
GURE:レコーディング・スタジオで自分が知らないうちに髪の毛を切られていたのと、社長から「やってみて!」と言われて、スタジオでひたすらスキップしました(笑)。
HATANO:何かにつけて俺はアンドリューと酒を呑みまくってましたね。GUREは泣きまくってましたね(笑)。
──YUTAさんはアイドルへの楽曲提供などでも話題を集めていますが、今回のレコーディングに反映された部分があれば教えて下さい。
YUTA:レコーディングでどうのといったことはないのですが、作曲や別のバンドの活動を通していろいろ考えることや思うこともあり、結果的により音楽と真っ直ぐ向き合えるようになった気がします。そのためか今回の制作においてやりたいことがたくさん生まれ、曲もたくさん書けました。収録しきれないくらい作ってしまい削らなくてはいけなくて、それはそれで大変でしたが、自分にとっては初めてに近い悩みだったので良かったと思います。アイドルだけではないですが、自分にもたらしてくれたことは大きかったです。
GURE(b)、正式加入決定!
──そしてGUREさんは加入後初の音源になりますが、作品作りまたはライブ活動で大きく変化したことはありますか?
YUTA:自分が最年少ではなくなったこと。生活指導員的なポジションに異動しました。
GURE:変化と言いますか、改めて大切なんだと再認識したところが大きいと思います。非常に抽象的ではありますが、ライブでのプレイはもちろん、一挙手一投足に至るまで、すべてにおいて勉強をしながら気づき、前に進もうと思うことが飛躍的に増えました。そして楽しむ気持ちを忘れないことが自分にとっての原動力だなと改めて気づいた気がします。
HATANO:大きく変わったところはないですが、やはりメンバーが変わるというのは多少なりとも良くも悪くも変わるところはありますね。でも、GUREは不器用ながらも根本には真面目なところがあるから、今後に繋がるいい経験ができたと思う。GURE自身が思ったよりできたこともあれば、想像を遥かに超えた辛さもあっただろうし。でも確実にバンドとして前進したレコーディングができたので、これを踏まえた上での次回の作品作りがまた楽しみになりましたよ。
──皆さんそれぞれが思う、聴き所をお願いします。
HATANO:全部(笑)。
YUTA:聴き所と言われると非常に悩みますが、自分的には今回はギター以外の楽器を使わなかったことでしょうか。いつもは鍵盤やら何やら細かく入れたりするのですが、それらすべてをギターで表現してみたいと思いやってみました。自己満足レベルですが面白かったです。
GURE:テクニカルな部分、グイグイ押していく部分、目が離せないような展開の楽曲に、とてもアツくてまっすぐなメッセージがたくさん込められていますので、なかなか具体的に決められないのが正直なところです(笑)。今回「HOLDING OUT FOR A HERO」というカバー曲も入っておりますが、この曲も心にまっすぐ突き刺さります!
──locofrank、dustboxとのスプリット・アルバム『THE ANTHEMS』をリリースした後の反響や、シーン全体の動きについて何か感じることはありますか?
YUTA:シーンのことも反響もよく分かりませんが、とにかく仲間って素晴らしいなと思いましたよ。たくさん救われた瞬間もあったし、感謝しています。
HATANO:反響は国内はもちろん、嬉しいことに海外からもあったりして、今後機会があれば海外も面白いねなんてみんなで話しましたね。シーンについてなんて偉そうなことは俺は言えませんが、スプリットやオムニバスとかが減ってきている時代なんで、バンドをやってる人に「『THE ANTHEMS』みたいなCDいいね」とか思ってもらえて、同じ志のバンド仲間で出すCDなどがもっと増えたら面白いなと思います。
──気になっている若手のバンドがあれば教えて下さい。
YUTA:若手じゃないけど、Wiennersのファンです。あとGEZAN。今は大森靖子ばかり聴いています。
HATANO:たくさんいますよ(笑)。
──NOT A NAME SOLDIERS、kamomekamomeが所属するIKKI NOT DEADですが、今後、若手バンド・シーンとの関わりなど、どのように発展していきたいですか?
YUTA:レーベル業担当ではないので何とも言えませんが(笑)、若手も先輩もなく素晴らしいものは素晴らしいと思いますので、ジャンルや年齢性別など問わずいろいろ見たいし関わりたいですね。対バンなどで。
HATANO:IKKIに所属しているバンドはいわゆるベテラン・バンドが多いし、世代も割とみんな近いんですよね。でもそれぞれのバンドが世代・ジャンルとか関係なくいろいろなバンドとライブしているのがIKKIのバンドの良いところだと思います。自分たちもそうですけど、きっとみんなこれからもさまざまな面白い活動をするだろうと思いますよ。じゃないと歳をとる楽しみってないと思うから。