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INTERVIEW

トップインタビューカンパニー松尾「テレクラキャノンボール2013」大ヒット記念インタビュー(web Rooftop2014年5月)

ヤルかヤラナイかの人生なら、俺はヤル人生を選ぶ

2014.05.01

●表も裏も見せれる人じゃないとダメ

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──ちなみにテレクラキャノンボールに出てくる素人女性の人達って、この映画を観たりしてるんでしょうか?
松尾 観てないでしょ。わざわざ教えないし。東京でこんなことになってるなんてつゆ知らずだと思いますよ。劇場でヒットしたと言ってもしょせんはサブカルなんで、よっぽどアンテナ張ってる人じゃないと知らないでしょう。でもまあ彼女達は彼女達で「どっこい生きてる」ということだと思います。
──印象に残ったシーンとして、松尾さんが一人でベンチに座っている姿が、なんか「闘っている男」という感じでした。
松尾 あれは疲れて座ってただけですよ。まあ、俺も四捨五入すると50歳だからね。普通、50にもなってAVに出てセックスするとは思ってなかったから(笑)。でも俺はあんまり性格的には落ち込まない方なんです。基本的にやってることは楽しいから。(※このベンチのシーンは劇場版には入っていません。DVD10時間版でご確認ください)
──監督によって性格も様々なので、観ている方としてはどの監督に感情移入するかっていうのがありますよね。
松尾 世代によって感情移入しやすい人はいるだろうね。古いファンは僕とか山下なんだろうけど、若い人は(嵐山)みちるとか。あとやっぱり(ビーバップ)みのるは人気あるよね。彼はアッパーに見えるけど実はすごくシャイな人で、普段は大人しい人だから。それが魅力だよね。女の子にあれこれ雑学を言うんだけど、あれは自分を武装しているんだよね。それも浅いというか、スティーブ・ジョブズとか司馬遼太郎とか、有名な人の成功話の本を片っ端から読んでるんだよ。いきなり女の子に『走れメロス』の話をし出したり。「君はメロスだね」なんて。単にそいつは寝坊しただけだよ!(笑)。でも一般的なナンパ師のように「ねえいいじゃん、いいじゃん」っていうノリじゃなく、雑学や面白い話をちりばめながら自分の世界に持ってっちゃうという話術の面白さがありますね。
──6人のそれぞれの作風が出ていて、さらにそれを1つの作品にするという所が面白いと思うんです。
松尾 それにはメンバーの選考がとても重要で、あんまりプロレス的な人だとしんどいんです。テレクラキャノンボールでは表も裏も見せれる人じゃないとダメで、リング上のパフォーマンスだけでなく控え室での表情も大切なんです。AVの現場っていうのは、プロレスの試合で言う所の選手入場から始まって決着がつく迄の所だと思うんです。でも、実はそこに至るまでに女の子をどういう風にコントロールしているのか、終わった後にどういうフォローをしているのかというのもあるんです。普通は試合だけを撮るんだけど、僕等のようなドキュメンタリーのやり方は、セックスの前や後をちゃんと撮らないと成り立たない。すごい悪役レスラーなのに控え室に子供が遊びに来てる所とか、ヒーローなんだけど裏ではみんなに妬まれているとか、そういう部分を撮れる人というのがキャノンボールの人選の決め手だと思う。みちるちゃんは多分今回の撮影でそういう所を感じたんだと思うよ。今まではあまり興味なかった部分だと思うんだけど。それが最後の自分語りに出てると思うんだ。あのシーンは劇場版には入ってないから是非DVDで観て欲しいね。
 

●ブサイクでスケベな女を撮ったほうが面白い

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──ちなみに『テレクラキャノンボール2013』は松尾さんの監督25周年記念作品でもありましたが、これほど長くAV監督を続けてきた理由はなんでしょう?
松尾 まあ辞められなかったということだよね。僕はいわゆるドキュメンタリーAVを撮っているんだけど、なぜ撮っているかというのは訊かれたら訊かれただけ答があって、いろんな答があるからこの歳までやっているのかもしれない。いろんな女の子がいて、次から次へと現れては消えていく。それをずっと撮り続けているんだろうね。あとAVがおもしろいのは、必ずセックスをするというお約束がある所。ただ密着するだけのドキュメンタリーでは見えない部分があって、最後に裸になってセックスをするという、その環境が自分にとっては素晴らしいなと。同じ映像でもテレビや映画に興味がいかないのはそういうことだと思う。ある種、一対一の世界だから。AVというのはみんながやるものではないし、すごく狭い世界なんだけど、その子たちがその時に思ったこと、生の声を残すという作業は僕にとってすごく価値のあることだと思う。ふつうに設定のある世界を女優さんが演じるものだけだったら僕は飽きてたと思うんです。たまたま僕がやってるのは、女の子の話を聞いて、その子がどういう人生を歩んできたかをドキュメントすることで、それはやっていて一番やりがいのある世界ですね。有名なアイドルのイメージビデオを撮るよりも、ブサイクでスケベな女を撮ったほうが面白い。あと、なんでこの子はカメラの前でセックスするんだろうっていうのにずっと興味があって、仕事やお金だけでは割り切れないものがどうしても出て来るんだよね。昔のAVはあまり人には言えないような仕事だったけど、最近は女の子が進んでやりたがるというか、イベントにファンが集まってちやほやしてくれたりして、女の子がやる気を持ってやっている。でも10年後にその子がまだやってるはずはなくて、やっぱり瞬間でしかない。それがすごく面白いと思うんだよね。
──その女優さんにとってはある種、人生の晴れ舞台なんでしょうか。
松尾 あるいは恥でしょうね。誰にも見せたくない部分でもあるから。でもそれをやっちゃってるという開き直りというか想像力のなさが、逆に僕はかわいいと思う。よく女優に「君の代表作を撮りたいんだ」って言うんだけど、それは俺の都合でしかない。残したい人もいれば残したくない人もいるだろうし。それが面白い。僕にとってはね。
──今後はどういう作品を撮りたいですか?
松尾 これを撮りたいというのはそんなにないですね。月に何本かのレギュラーをベストな状態で撮る中で、面白いことが浮かんだらそれをやってみるという感じで。今までにできなかったことはそんなにないし、そもそもAVの枠でしか考えてないから。単純に言えば、自分の半径5メートルでしか考えてないので、そこで起きることがあればそれを題材にします。目の前で起こったことは撮る、という感じですね。
──最後に。やはりテレクラキャノンボールの続編を観たいんですが、どうなんでしょう?
松尾 とりあえず来年、再来年はないですよ。まあ撮るとしても当分先でしょうねえ。例えば2020年とか。東京オリンピックに合わせて撮るとかね。
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テレクラキャノンボール2013

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出走:カンパニー松尾、バクシーシ山下、ビーバップみのる、タートル今田、梁井一、嵐山みちる
出演:神谷まゆ、新山かえで、仙台&札幌の素人20人

LIVE INFOライブ情報

◆東京・LOFT/PLUS ONE
5月12日(月) 
「みんなでわいわい見よう!劇場版 テレクラキャノンボール2013」
【出演】カンパニー松尾、バクシーシ山下
【ゲスト】宮台真司(社会学者)
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◆大阪・Loft PlusOne West
5月16日(金)
「おまたせしました !劇場版 テレクラキャノンボール2013」
【出演】カンパニー松尾、バクシーシ山下
【ゲスト】マグナム北斗(元祖*巨根男優)、花房観音(小説家)
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5月17日(土)
「まだまだやるよ!劇場版 テレクラキャノンボール2013」
【出演】カンパニー松尾、バクシーシ山下
【ゲスト】宮台真司(社会学者)
※深夜にバクシーシ山下Presents「発禁絶盤アダルトビデオの夜明け」も開催
 →詳細

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