9/30(土)からポレポレ東中野で公開されるMOROHAのツアードキュメンタリー『劇場版 其ノ灯、暮ラシ』の公開を記念し、エリザベス宮地監督の自作を中心にしたオールナイト上映を2週連続で開催! その思いをカンパニー松尾監督に語っていただきました!! [Interview:一木義彦 (LOFT /PLUS ONE) / 構成:高橋啓]
2週連続オールナイト
──今回は久しぶりに松尾さんにイベントをしていただけるということで。ありがとうございます!
カンパニー松尾(以下、松尾):久しぶりですね。しかも謎の2週連続オールナイト(笑)。
──嬉しい限りです。ロフトプラスワンでこれまでも多くのイベントをやっていただいてますが、少し間が空いたのは何かあったんでしょうか?
松尾:去年の8月に雨宮(まみ)さんと一緒にオールナイトのイベントやったじゃないですか。そのあと僕は新生BiSのオーディションみたいなのをやって、そのドキュメンタリーを昨年内は作ってて。そんな中、11月23日に雨宮さんが急に亡くなっちゃって、僕の中ですごい影を落としちゃって、あんまり人前に出たくないなって思ったんだよね。
──そうだったんですね。
松尾:さらにそのころは、ありがたいし嬉しいことなんだけど、お客さんが固定されてきて自分も停滞した感じがして。雨宮さんのこともあったし、ここでちょっと止めようと思ってね。そうこうしているうちにまたアイドルキャノンボールが3月にあったんですよ。
──そうなんですね。
松尾:それで、4月から編集を始めて、ようやくアイドルキャノンボールが落ち着いてきたので今回のイベントを打とうと思いました。
──ありがとうございます! 待ってましたよ!
エリザベス宮地監督
──イベントの内容的にはどんな感じになりそうですか?
松尾:エリザベス宮地っていう映像監督がいるんですけど、彼をフィーチャーしたイベントをします。彼との出会いは、エリザベス宮地の初期ブログ「私のアソコはベートーヴェン」だったんです。昔レンタルビデオ屋で働いていたらしくて、毎日、自分が何でヌイたかを綴っていたんですよ。
──レビューみたいな感じですか?
松尾:いや、何の作品で何分でヌイたとか記録してた(笑)。そこには僕の名前とかバクシーシ(山下)とかの名前が載ってて、その頃から僕はエゴサーチしてたから見つけて、最初はネットで出会ったんだよ。
──エリザベス宮地さんの作品は観てなかったんですか?
松尾:僕が最初に観たのは2013年のムーラボ(MOOSIC LAB)で『ミヤジネーション』だな。
──どうでしたか?
松尾:こいつ、すげーなって思った。構成力とか撮影力とか編集力とか非常に高いと感じたな。あいつオナニーの世界大会でチャンピオンになってて(2008年にオナニーのオリンピックマスターベータソン絶頂回数男性部門で優勝)。あれも自分でヨーロッパの大会に出て、自分でセルフドキュメンタリーにしてて、思い込みの激しいバカやろうだなって思ってたの。僕はそういう自主製作の映画だったり、セルフドキュメンタリーとかっていうのは基本的に観てらんないんですよ。そういう、セルフで回したりしてるっていうのは。
──鼻につく感じですか?(笑)
松尾:そうですね。青臭さが良しとされてるというか。でも、宮地の場合は客観的に観れて、編集してあるからテンポも良くて、おもしろい・おもしろくないの判断は非常に正しかったんです。
──独りよがりな感じではなかったから良かったと。
松尾:そうですね。で、テレキャノ(テレクラキャノンボール)って表・裏があるでしょ? それで2013撮る時に、全く俺が関与しない1本が作れないかなと思って、宮地にメイキングを依頼したの。そしたら宮地も行くって言って。でもあいつバカだから、その前にいっぱい仕事入れちゃって、ストレス性の胃腸炎になりやがって行けなかったんですよ。
──じゃあその時は撮ってないんですか?
松尾:撮ってないんですよ。行けなかったんですよ。で、テレキャノ公開してから次の2014年7月にBiSキャノをやるってことになってようやく来てくれて、そこで初めて一緒に撮影することになるんです。
──そういう流れがあったんですね。
松尾:あいつはドキュメンタリー思考を持ちながらMVも撮れてすごいんですよ。MVでいうと代表作は、MOROHAの「バラ色の日々」とか、あっこゴリラとか、うち絡みだとハバナイ(Have a Nice Day!)とか、とにかくいろいろやってるんですよ。それで今年の6月にMOROHAの『其ノ灯、暮ラシ』っていうDVDを出したんですけど、観てみるとMOROHAのツアードキュメンタリーと銘打っておきながら、中身がエリザベス宮地のセルフドキュメンタリーだったんですよ。
──ライブ映像は入ってないんですか?
松尾:ライブ映像なんだけど、その中に自分のことをバンバン放り込んじゃってるんだよね。割合でいうとMOROHAが1/3、宮地が1/3。で、残りの1/3が、自分の中でこのMOROHAのツアーを撮る上で自分に課した宿題で、「MOROHAのツアーでお客さんと仲良くなってそのお客さんの家に泊めてもらおう」っていう挑戦してるんですよ。それなんで、ライブを撮った後に男のお客さんばかりにインタビューして、MOROHAとその子の関係性を聞くっていう企画を織り交ぜたドキュメンタリーで。その相手も学生だったり会社員だったり、夫婦だったり。
──夫婦もいるんですか?
松尾:そうなんです。その短い一晩の中でのお客さんとのやりとりがいいんです。それを観て、これ劇場版でもいけるんじゃないかと思って。
──尺はどれくらいなんですか?
松尾:DVDは135分あるんですよ。それでポレポレ東中野の小原さんって方にお話ししたら、「劇場版としていけますよ、やってみたいですね」ってなって。でも、そのまま観せるだけだと変化がないから、編集して105分くらいまで削って劇場版として公開することを決めたんです。それがようやく9月30日から3週間のレイトショー公開が決まって。それで今回、プラスワンでのイベントをお願いすることになったんです。って、僕はいまみたいにずっとペラペラ話せるくらい宮地のことを知ってるわけ。それをいろいろな人にも観てもらおうと、オールナイト2回に分けて今までの宮地の作品を全部やろうと。
──いいですね! 楽しみです。
松尾:実は、僕もまだ観てないものもあるんです。まだ東京で出してないものがあって。あいつなぜか沖縄とかで自主上映しているんですけど、東京でまとめての上映がまだないんですよね。だから東京初上映だって。
東中野から新宿までみんなで移動
──貴重ですね。一夜目と二夜目はどんな内容になりそうですか?
松尾:一夜目は初期作品集を流す予定で、『みんな夢でありました』とか、『さよなら、みなみ』と、『ミヤジネーション』かな。二夜目は30日にレイトショー公開するでしょ? それが終わったら、宮地にポレポレ東中野からプラスワンまでお客さんと電車に乗って連れてきてもらって、オールナイトイベントに参加してもらおうかと思って。東中野から新宿までの乗車券は宮地に個人負担させるっていう(笑)。
──斬新ですね(笑)。お客さんを連れてきてくれるのはありがたいです!
松尾:このイベントでは辱めを受けるだろうね。
──やっぱり恥ずかしいんですかね?
松尾:恥ずかしいんじゃない? 俺なんかは昔の撮ったものを上映するって言ったら絶対拒否するよ。
──ゲストも呼んでいただけるみたいですね。
松尾:まだ決まってないけど、宮地に誰か出せって言ってるんですよ。男だけだと華がないから。あとここだけの話、このイベントに来た方が、今後公開されるアイドルキャノンボールを楽しめることになると思うよ。宮地も一出演者として出てるしね。
──それはいいことを聞きました! ポレポレ東中野のチケットも売れるといいですね。そこが終わったら連れて来ていただければ(笑)。
松尾:宮地祭りだからね。みんなついて来てくれるでしょ。