ダーティ・ラスティック・ストンプ!!! 2年5ヶ月振りとなる待望のフル・アルバム『新世界』をリリースするオールディックフォギー。他とは明らかに一線を画した独自の詞世界。温かみと哀愁が同居し、心にじんじん染み入ってくるメロディ。そして、フロアを感動で埋め尽くす圧巻のライブ・パフォーマンス。ジャンルを飛び越え、音楽を愛するすべての人の心を掴んで離さないオールディックフォギーにヤラレっぱなし! 噂が噂を呼び、中毒者が後を絶たず。本作でさらなる飛躍を遂げること確実。そんな問答無用の傑作アルバムを完成させた彼らが向かう先はどこなのか? メンバー全員に話を聞いた。メンバーは、伊藤雄和(Vo, Mandolin)、スージー(Gt)、TAKE(Doublebass)、四條未来(5strings banjo)、大川順堂(Dr)、Misa(Accordion, Keyboard)。ラスティックを基盤としながらも、どこにも属さないその革命音楽に笑い、泣き、踊れ!(interview:国広克典/photo:Chabo)
年々支持が高まっていくバンドを取り巻く状況
──昨年ってライブ何本やったんですか?
伊藤:85本です。
──一昨年が一番多かったんでしたっけ?
伊藤:103本ですね。
──それが前作のアルバム『いいえ、その逆です。』のレコ発ツアーを廻った年ですね。前作のアルバムを出してから、共演するバンドのジャンルも幅広くなってきて、「京都大作戦」みたいな大きな野外フェスにも出演するようになったり、オーガナイズしてる10-FEETを始めいろんなバンドがオールディックフォギーの支持を声に出し始めたり、バンドを取り巻く状況がそれ以前と変わってきたと思うんですが、自分たちでもそういった変化を感じてますか?
伊藤:感じますね。何でそういう状況になったかって、多分「京都大作戦」に出たのが切っ掛けだと思うんですけど。(自分たちのことを)ただ知らなかっただけですよね。だから大きなとこ出るようになって聴く人が増えると、そこで引っ掛かる人の絶対数は多いわけじゃないですか。多分それだけだと思うんですけどね。
──以前と比べて、そんなに大きく変わったって感じではないんですかね?
伊藤:変わったって言われると、確かに変わりましたけどね。客の入りもやっぱ違いますからね、2年前と現在じゃ。ガラガラでライブをやるような状況があんまりなくなりましたね。まぁ今でもそういう時もありますけど。以前はほぼガラガラだったんで。そういうのが「京都大作戦」以降は増えてきて。
──ライブに来るお客さんも幅広くなってきましたよね?
伊藤:メロディックとか好きそうな、若い人たちが来てくれるようになりましたね。ファッションとか、今までいなかったような子どもたちがいるなっていうのは、見た目で分かりますね。
──『いいえ、その逆です。』を出してから、いろんな人がライブに来るようになりましたよね。ジャンル云々じゃなく、オールディックフォギーが好きって人が増えてる。そして今回、フル・アルバムとしては2年5ヶ月振りとなる新作『新世界』がリリースされます。聴かせて頂きましたが、本当に素晴らしい作品ですね。オールディックってライブ本数がめちゃくちゃ多いですけど、曲作りっていつやってるんですか?
伊藤:毎日、常にやってます。
──ライブがこんなに多いのに、スタジオも常に入ってるんですよね?
伊藤:毎週入ってます。
──じゃ、新しい曲は常に作られてるんですね。
伊藤:個人的に作ってたものをちゃんと形にするのはスタジオなんですけど。殴り書きとかスケッチ的、断片的なものっていうのは常に溜まってて。だだ、それを次のアルバムでどうしようか? とかは考えてなくて。基本的に思い浮かんだものを記録してるっていう。そこから広げていく作業をスタジオでみんなでやるって感じですね。だからずっと溜めてますね。歌詞に関しても。
──今回、レコーディングは順調に進んだんですか?
順堂:今回はレコーディング自体を3回に分けてやって。最初が昨年の10月にシングル録る段階でアルバムの曲も録ってて。そっから2曲シングルにして。次のシングル録る時もアルバムの曲を一緒に録って、残りの曲を別で録って。「マスターベーション」も再録してます。
──オールディックのレコーディングって、いつもすんなり進む感じですか?
伊藤:すんなり行ってますよ。
他のメンバー:(笑)
──みなさん、笑ってますけど(笑)。
未来:オケ録りはすんなり行きますけど(笑)。
順堂:伊藤ちゃんの歌が。今回、首だっけ?
伊藤:頸椎ヘルニアで。レコーディングどころじゃなかったんですよ。
──歌詞は普段から書き溜めてるってことですけど、伊藤くんの歌詞って独特じゃないですか? 世界観も。あまり他にないって言うか、ちょっとズバ抜けてると思うんですけど、他のメンバーから見て伊藤くんの歌詞ってどう思ってるんですか? あまりそんな話、メンバー間でしないと思いますけど(笑)。
TAKE:前よりは分かりやすくなった。
伊藤:そうだね。前よりは分かりやすくなってるね。
順堂:いやでも、相変わらず分かりづらいよね。どうとでも取れる感じの。「こういうことなんでしょ?」って訊くと、「まぁそれもあるけど」って教えてくんない。
──いろいろ想像できる歌詞ですよね。ディスクユニオンのフリーペーパー『FOLLOW UP』で伊藤くん、小説書いてたじゃないですか? 普段から本を読むのが好きなんですか?
伊藤:好きですね。ベストセラーになるような陳腐なものは読まないですけど。
──最近読んで面白かった本って何ですか?
伊藤:筒井康隆の『創作の極意と掟』ですかね。それが凄く面白かったですね。
──伊藤くん以外のみなさんは本とか読みます?
伊藤:(順番にメンバーを指差しながら)『コロコロコミック』(順堂)、『ボンボン』(Misa)、『ジャンプ』(未来)、『サンデー』(TAKE)ですね。
一同:(笑)
──スージーくんは?
伊藤:スージーは『エロトピア』ですね。
一同:(笑)
伊藤:劇画モノのエロいのが好きですね、スージーは。