もっと多くの人に聴いてもらいたいという意識が強くなった
── アルバムタイトルは『enterium』ですが、これにはどんな意味を持たせているんですか?
三井:今までの僕らは尖っていたというか、このアレンジはわかる人だけわかればいいみたいな感じだったんですけど、今回はすごくポップな作品だし、間口を広げてたくさんの人に聴いて欲しいという意味で“エンター”という言葉を使いたかったんです。その流れから、オショウくんがタイトルを考えて。
オショウ:“〜リウム”って、“〜するための入り口”という意味があるんです。それで、次に進みたいという思いと、みんなから入ってきてほしいという意味を込めて『enterium』というタイトルにしたんです。
三井:聴いてくださっている方たちに歩み寄っちゃおうという思いがありましたね。
── 聴き手に歩み寄ろうと思ったきっかけって何だったんですか?
三井:リアルに言うと年齢だと思います。音楽で生活をしたいと考えるようになって、もっと多くの人に聴いてもらいたいという思いが強くなったんだと思います。
izumi:結成当初は自分たちが好きな音楽を鳴らしていきたいと思っていただけだったのに、音楽で生活をしていきたいという意識になっていったんです。
三井:結成当初はどちらかと言うとインストバンドみたいな、BGMとして聴ける音楽が良いなと思っていたんですけど。
izumi:生活のジャマをせずに、寄り添う音楽というか。
オショウ:それがジャマをしないという意味の寄り添うから、そばに置いてほしい音楽という風に、年齢を重ねるにつれて思うようになって、自分たちの音楽に対する見方が変わったというか。普段聴いている音楽もそうだし、自分に影響している音楽をやりたいと思うきっかけは年を取ったことかもしれないですね。
── となると、結成当初と比べると歌詞も変わってきたんですか?
三井:昔は抽象的なものを歌うことが多く、メロディーを伝えるための歌詞ということを考えていましたが、今僕はこう思うんですというのを伝えてもいいかなと思い始めて。
オショウ:結成当初から、聴いてくれる人に対してメッセージがあるほうが三井くんの良さが出るとは思っていたんですが、今回6曲目の『変わらないもの』の歌詞はまさに僕が歌って欲しかった曲でした。
三井:今まで誰かのために曲を書いたことってなかったんですけど、お世話になったバイト先の方が辞められるということで、初めて僕なりの感謝の思いを込めて作ったのが『変わらないもの』なんです。別れを悲しむのではなく、出会えたことを喜べたら素敵なことだなという思いで歌詞を書いていて、この曲がきっかけでメッセージ性の強いものを書いても大丈夫なんだと思えるようになりました。
izumi:この曲でMVを作り、Youtubeで公開したらTwitterなどで良い反応をたくさん頂いたり、応募したオーディションで評価して頂いたり、亀田誠治さんのWeb大学「亀田大学」に通ったりして、自分たちでも良い曲だと思っていましたけど、反応が予想外にあって気付けばバンドの代表曲になってます。
── 『変わらないもの』が出来たきっかけで、pertorikaの鳴らす音楽の幅が広がったという感じはありますか?
オショウ:はい。この曲がターニングポイントだと思います。ただもともとpertorikaでやる曲ではなかったんです。
三井:もともとはその人にプレゼントするためだけに作っていたんです。でも、こんな曲作ったんだってメンバーに聴かせたらすごく気に入ったみたいで。僕はプレゼントした時点で曲が一応完結したんですけど、みんながもっと広げたほうがいいって言ってくれたから、表に出そうという気持ちになったんです。
── そこからバンドのアレンジが加わって?
三井:宅録の時点でだいたいバンドサウンドにはなっていたんです。
オショウ:もともと三井くんは楽器が入った状態で作ってくるんです。この曲に関しては、バンドでやろうと決めてから、もう一度アレンジを考えるという作業をしました。
── 三井さんが最初に作ってきたものから、アレンジはそこまで変えずに?
izumi:軸にはなってます。
── 三井さんはデモを持っていく時点で、こういう曲にしたいという思いは伝えるんですか?
三井:そうですね。とりあえず曲の意図が明確にある時は伝えます。ベースがかっこいい曲だからとか、ドラムがバンバン鳴ってとか。あとは各々のフィーリングで叩いてもらって。
オショウ:軸に三井くんのデモがあって、肉付けはpertorikaというスタンスで今はやってます。
── なおさんはレコーディングはどうでしたか?
なお(ベース):僕は三井さんのことを信頼しているので、自分でアレンジを考えるということは特にないですね。
── 自分のレコーディングにあたり、気にかけたことってありますか?
なお:なるべくシンプルに聴きやすくということは考えていました。