pertorikaが約2年半ぶりとなる2ndミニアルバム『enterium』を4月2日にリリースする。今作は前作の『esoraoto』に比べるとサウンドがよりわかりやすくなったという印象を受けた。それはインタビューでもメンバーが口を揃えて言っていたが、もっと多くの人に聴いてもらいたいという思いから、よりポップにというコンセプトを持って取り組んだ作品だったそうで、その思いは充分すぎるほどにこの作品から溢れ出ていたように思う。また、ボーカル&ギター三井拓郎の浮遊感のある独特な歌声は変わらずに、アコースティックが基調のバンドというイメージのあった彼らが芯のあるバンドサウンドを鳴らしていたというのも、今回注目して聴いてほしい部分である。
この作品を持って、pertorikaはこれまでには行ったことがなかった土地でのライブも決まっている。これまで数々のオーディションで賞を受賞してきた実力派の彼らが鳴らす心地よいサウンドを多くの人に聴いてもらいたいと思う。(interview:やまだともこ/Rooftop編集長)
“ポップス”を意識して取り組んだ作品
── 2年半振りとなる作品『enterium』が遂にリリースされますが、前作『esoraoto』(2011年8月リリースの1stミニアルバム)から比べると、楽曲がずいぶんキャッチーになったという印象を受けました。今回収録されている7曲は、どんなイメージで作り、どんな選曲の基準があったんですか?
三井拓郎(ボーカル&ギター):今までの僕らは、急に転調したりリズムが変わったりというのをバンドの持ち味にしてきたんですけど、それだと聴いてくれる人が限られちゃうなと思ったんです。それで今回は、一聴してキャッチーだねと思ってもらうために、ポップスを僕なりに咀嚼してから曲作りに挑んだんです。なので1回聴いてわかりやすい曲を基準に収録する曲を選んでいきました。コードはけっこうエグイことをやっているんですけど、それを難しく聴かせないメロディー付けというのは意識しましたね。
オショウチータ(ドラム):聴いてもらう方の間口を広げたいという思いでこのアルバムを作ったので。
izumi(キーボード):よりポップにというコンセプトがあったので、泣く泣く削ったアレンジもありましたし。
オショウ:それで、自分たちだけで考えると凝り固まっちゃう部分もあるので、いろんな人に聴いて頂いてその感想を選曲の判断材料にさせてもらったりもしました。
── 今回先に楽曲を聴いてもらった方々からは、キャッチーな曲のほうが評判が良かったんですか?
izumi:そうですね。それと、自分たちとしては初挑戦となる打ち込みを多用した曲があるんですけど、その曲が好評だったり、あとはやりたい意図をわかってくれて、ポップで良いねと言って頂いたりとか。
── 出来上がって手応えとしてはかなり良いですか?
オショウ:はい。本当にありがたい反応をいっぱい頂いてます。ライブで新曲をやるたびに良い感想をたくさん頂けたし、自信を持って聴いて頂けるアルバムになったと思います。
── レコーディングはいつぐらいからやっていたんですか?
オショウ:昨年の12月ぐらいです。レコーディングの方法が、まとめて録って編集という感じではなくて、スタジオでドラムとベースを録って残りのピアノ・ギター・歌の部分を各々が家で録って入れるという感じで。
── 歌も? 家にブースがあるんですか?
三井:毛布をかけて、なんちゃってブースを作ったんです。
── その状態でのびのびと歌えるんですか?
三井:僕は声を張るような歌い方をしないので特に問題はなかったです。それに家でやったほうが自分が納得するまで何回でも歌うことが出来ますから、その部分では良いなと思いましたね。
── でもジャッジが自分になるということですよね?
三井:最初のジャッジは僕ですけど、それをみんなに送って判断してもらい、良かったらエンジニアさんに送るという流れで。
── メンバーのみなさんから歌い直して欲しいというのはあったんですか?
三井:それが…けっこうありました。
オショウ:かなり苦労して頂いてます。
── わからないので教えて欲しいんですが、スタジオで録るのと家とどちらのほうが効率が良いんですか?
三井:前回のレコーディングはスタジオでやって、話をしながら出来たので効率的には絶対にスタジオのほうがいいと思う。勉強にはなりましたし、良いところもありましたが、宅録は当分いいですよ(笑)。