ひとつひとつのチャンスを自分たちのものにしていく年にしたい
── ところで今作に収録されている『声』や『T.K.』は、2010年の4月にリリースにした『the beginning of the beginning』に収録されていた曲で、4年も前の曲になりますけど、あの時の曲を今聴くとどうですか?
田邊:恥ずかしいよね。
江口:恥ずかしいけど個人的には好きです(笑)。
辻村:僕は一周まわって好きかなって思う。
田邊:僕は作り手だから恥ずかしい。ライブで育った曲もありますけど、もっとなんでこれを言えなかったんだとか、もっと良い歌い方が出来るんじゃないかとか。
江口:そういうのもありますけど、それを含めても自分らっぽいなというか。
辻村:この時はこれしか考えつかなかったんだなという見方も出来ますし。
── 20代前半ぐらいの曲ですからね。
田邊:『BAND OF DESTINATION』には入れてないですけど、『the beginning of the beginning』に入っている『夢花火』は19歳ぐらいの時に作った曲で、熊本時代に作って収録している曲ってそれぐらいだもんな。
── 前回のインタビューの時に話にあがりましたけど、高校時代に作ったという『song of winter』もいつか聴いてみたいですね。
田邊:よく覚えてますね。『冬〜song of winter』はいつかのライブで事故的に演奏してみたいですよね(笑)。
江口:『冬〜song of winter』はいろいろと地元では賞を頂いたんですけど、全国に進出した途端何もひっかかることがなかった曲で。
田邊:第一の挫折を味わいました。ずっとそうなんですけど、バンドをやっていて順風満帆っていうのはないんです。毎回何かのタイミングで気持ちが落ちて、何かのタイミングでその気持ちに勝てる時が来て、そうやってゆっくり今まで来たのかなという感じもあります。
── 前回のインタビューでもこの10年葛藤がいろいろあって、バンドが終わっちゃうかもしれないという時期もあったとおっしゃっていましたけど、今現在バンドを続けてきて、こちらから見ると良い波に乗り始めているんじゃないかと思います。
田邊:まだまだですよ。それは永遠に思わないかもしれないですね。
江口:乗ってるねって言われることは多くなりましたけど、自分らの中では感覚としてなくて。
── 余談ですけど、前回のインタビューで話にあがった高校の文化祭でカバーバンドをやって盛り上がった時が一番乗ってたとか?
田邊:あの時は乗ってました(笑)。
高村:初ライブが終わって楽屋に帰る時に、田邊っちが先頭で風切りながら、「俺ら絶対いけるぜ!」って言ったのは今でも覚えてます(笑)。
江口:ドヤ顔でね。
高村:その時のライブがすごい盛り上がったんです。
田邊:ELLEGARDENのカバーを3曲、オリジナル2曲。
高村:盛り上がったのはELLEGARDENの曲だからね(笑)。オリジナルじゃないから。
── 俺ら絶対いけるぜ! って言ってた人も10年経つと、いろいろと経験して現実の壁にぶち当たることもあり。
江口:いろいろ経験して打ちひしがれて、現実を知り、自分の力も知り、自分だから出来るっていうのもわかった現在でこうなったという。
田邊:あの時の自分をぶん殴りたいですよ(笑)。でも逆に言うと、あの時ってすごくロックだったというか、強気だったというか。あの時の行動力があったからこそ今があると思います。
高村:田邊っちが東京に行くって言わなければ、僕たちは言い出せなかったかもしれないし。
田邊:虚勢を張っていたかもしれないし、東京に行けばなんかあるという逃げだったかもしれないし。その言葉に頷いてくれたこの2人がいてくれて本当に良かったなって思います。
── イイ話ですね。では、今年の12月にはバンドがどうなっていたいとかありますか?
辻村:今年はライブに来てくれる人をもっと増やしたいですよね。こういうインタビューやCDを通してライブに行きたいと思ってくれれば。
江口:同じです。
── 今作にも収録されてましたが、昨年リリースした『JUST AWAKE』がキラーチューンだから、あの曲が出来たことでライブがずいぶんが変わったんじゃないですか?
江口:あの曲に助けられましたね。昨年のライブの1曲目はほとんどあの曲でしたから。
田邊:演奏していて楽しいですしね。曲を作る時もそうですけど、ライブで演奏して楽しい曲じゃないと。今回『アンバランス』もすごい楽しいんです。そういう曲を今後も作っていきたいですよね。それと、12月はさらに広いキャパでワンマンをやっていたいですね。キャパも倍にしたいですし、倍にした会場で新しいことが発表出来るように。ワンマンって新しいことが発表される場所というドキドキもあるじゃないですか。今はそれをやれているので、次のワンマンでも最大の告知が出来るように。そして2月に出るアルバムでさらにお客さんを掴んで、今年はフェスにいっぱい出たいですね。昔だったら興味本位でフェスに出てみたいというノリだったけど、今はフェスもひとつのチャンスだと思っていて。今年はスタートダッシュの年だから、年末まで振り返る暇もないぐらい走り続けたいです。今年も不安と共に走り続けると思います。
── その不安をひとつずつ自信と確信に変えながら。
田邊:悩んでいる次元が上がっていけばなって思います。なんで前はあんなことで悩んでいたんだろうって毎回言えるように。ワンマンツアーが全箇所売り切れるなんて自分らにしたら革命的だったしね。今は次の作品を作り始めている時期で、曲は100曲に届くんじゃないかぐらい出来ています。みんなをビックリさせるような新しい作品を早く作りたいですね。