昨年6月に『NOISY SLUGGER』をリリース以降、サマーソニックを始めとした野外フェスに多数出演。さらに昨年末には東名阪福岡で行なわれた自身初のワンマンツアーが全てソールドアウトとなり、ライブハウスを飛び越えて話題となりつつある4人組エモーショナルギターロックバンド"BLUE ENCOUNT"が、初のフルアルバム『BAND OF DESTINATION』を2月5日にリリースする。これまでにリリースされた3枚のミニアルバムと、1枚のEPに収録されている曲の中からライブでお馴染みの曲や人気のある曲など選りすぐりの11曲と、新曲を含む全15曲を収録した今作は、今の彼らの勢いや熱量が体感出来る作品と言える。
今回は、メンバー全員にお話を聞くことが出来た。全員がバンド活動をしていく上でのひとつひとつのチャンスと真剣に向き合っていることが、インタビュー中の一言一言から充分に感じられた。今年はさらに活躍の場を広げて行くだろうということを想像させる彼らの活動に期待したい。(interview:やまだともこ)
昨年1年の活動でバンドに度胸と自信が付きました
── 昨年6月の『NOISY SLUGGER』リリース時にインタビューさせて頂いて以降、大きなフェスにいくつも出演したり、バンドの状況はずいぶん変わったという印象を受けてます。
田邊駿一(Vo.Gt.):変わりましたね。
高村佳秀(Dr.):あの時は年末のワンマンツアーが全箇所売り切れるとも思っていなかった頃ですね。
── ワンマンツアーについて田邊さんは「2013年の集大成を見せたい」と言ってましたよ。
田邊:発言に保険をかけてましたね(笑)。ソールドの「ソ」の字も口に出してなかった。良いツアーになれば良いねっていうぐらいで。まさか売り切れるとは思ってもいなかったです。
── 昨年1年を振り返って、バンドとしてはいかがでしたか?
田邊:特に後半の半年がすごく濃かったです。『NOISY SLUGGER』が少しずつ注目されて、いろんな人にツアーに呼んで頂き、昨年の6月の時点ではカウントダウンジャパンに出られるなんて思ってもいなかったですよ。思っていなかったことが叶った1年でした。サマソニでは僕たちはオープニングアクトで客席には次のモモクロさんのファンしかいなかったんですけど、SEからすごい盛り上がりで、途中で演奏した『HANDS』ではほぼ全員が手を挙げてくれて。その後KEYTALKと初めて対バンした時に、あの場にモモクロを見に来ていたというギターの武正くんからは「あの日のBLUE ENCOUNTのライブは、モノノフたちの間で話題になってますよ」って、いちモノノフとしての嬉しい意見を頂いて。サマソニの大きなステージを経験させて頂いたおかげで度胸も付きましたし、自信も付きました。だからカウントダウンジャパンでも臆することなくやれた感じもありますね。
辻村勇太(Ba.):カウントダウンジャパンはライブ前に、全然お客さんがいなかったんです。
江口雄也(Gt.):Twitterで「お客さんが全然いない」ってつぶやかれてました(苦笑)。
田邊:でもSEが始まったら轟音みたいな歓声があって、ステージに出たらお客さんが後ろまでいっぱいで。初めて見るお客さんが多かったから最初は探り探りの感じもあったけれど、最終的にはみんな楽しんでくれたみたいで、僕たちもすごく楽しかったです。
── 今年は1月3日からライブが始まってますね。
田邊:この日はよく一緒にやっている対バンだったので、お客さんもBLUE ENCOUNTを知ってる人がほとんどだからウエルカムな状態の中でライブが出来ましたけど、演奏面での課題がすごく見えたので、新年一発目に良い日を迎えられたなと思います。
高村:今年はいかにお客さんを増やすかというのが課題で、基本のバンドの姿勢はこれまでと変わらない中で、いかに越えて行けるかを考えていて。昨年は初めてライブを見てくれたお客さんが多かったのでインパクトを与えられたと思いますけど、2回目以降も同じライブをやっていたらインパクトがないので、それを越える何かを見せてお客さんを増やしていかないとなというのは感じてます。
── あの迫力のあるライブと、MCでのとっつきやすそうな人柄と、圧倒的な存在感はお客さんを巻き込める気がしますね。
田邊:いつでもオープニングアクトの気持ちでがっついていきたいですよね。12月のワンマンツアーが人生初のワンマンツアーで、バンドがひとつ大きくなったと思うんです。ワンマンツアーって自分たちのお客さんばかりの中でやるから、アットホームな感じでやれるものだと思っていたんですけど、今まで経験したどのライブよりもツラくて(苦笑)。昨年CDを買ってワンマンで初めて僕たちを見る人もたくさんいたから、その人たちに次に来てもらうためにもいつも以上に頑張らないとと思い、ライブ後はみんな毎回抜け殻みたいになってたよね。それに、MCも含めて毎回最高のものと考えていたから、同じMCはしないと心掛けて、ボーカリストとしてもステップアップ出来たかなと思ってます。
高村:ワンマンこそ良いライブをしないと、終わった時に充実感って感じないんだなっていうのはすごく思いましたね。
辻村:それと、昨年はイベントの30分ライブが多かったんだけど、ワンマンだと1時間半ぐらいやるので、だんだん体力が削れていくのがわかるんです。
高村:後半はいいけどスタートダッシュが遅いとか。温存しすぎると出だしの爆発力がなくなるし、スタートで飛ばすと後半ダメになって集中力が切れたり。2013年にたくさんライブをやって、ここが足りなかったとか、ここが出来てたんだというのがものすごく露呈された感じがあって。
辻村:ワンマンツアーは毎回ライブの映像を撮ってもらい、終わってからすぐにみんなでチェックして話をして。
江口:いつも以上にハングリーだったよね。
田邊:ワンマンツアーで今までが極まった感じがしましたね。
辻村:自分たちが置かれていた立場もわかっていたし、ちゃんとかましてやりたいというのがあったから、スタジオもたくさん入りましたし。
── これまではワンマンは東京だけだったんですか?
江口:東京と地元の熊本で1回ずつ。熊本は思い出作りのワンマンだったから。
田邊:渋谷O-crestで昨年1月にやったのが、ちゃんとした初めてのワンマンで、その時点で年末には渋谷O-WESTでワンマンという話はしていましたけど、キャパも倍だしムリだろうって思ってました。それがソールドアウトして、今までの活動の集大成だったなと思うんです。今年2月にアルバムをリリースしますけど、6月と7月にツアーやって、そこでバンドがいかに伸びていくかというのがすごくキーワードになりますね。インディーズのうちにこうやって少しずつ実績を残せるのはありがたいと思います。