共通する部分がたくさんあった
── そして、無事2013年にバンドを結成して10年を迎えた両バンドが、2013年秋に共同音源『バンドマンは愛を叫ぶ』をライブ会場限定でリリースし、全国流通盤が1月15日にリリースされますが、どんな経緯があって一緒にCDを作ることになったんですか?
渡會:1年ぐらい前に北海道で対バンした時に、「2013年はお互い10周年だから何かやれたら良いね」という話をしていたんです。その後、僕たちが高校の文化祭に呼ばれたんですけど、サポートドラマーの武並さん(武並“J.J.”俊明)のスケジュールが空いてなくて、響ちゃんにお願いしたら引き受けてくれて、それがセカイイチとFoZZtoneの前身になっているのかなという感じもありますね。その後、お酒を飲みながらみんなで話していくうちに、曲を作ろうかとか、ただ作るだけじゃなくてCDを出そうって。それを秋にライブ会場限定でリリースしたんですけど、すごく評判が良くて全国で流通させようという話になって。
岩崎:トントントンって感じで。
渡會:10年やってお互い酸いも甘いも噛み分けているので、レコーディングも早いし、流通させようと言った時のみんなの動きがすさまじくスムーズだったので、あっという間に今日に至ってますね。
── どんなところに共感し合ったんですか?
岩崎:お互い10周年ということや、4ピースでずっと活動していたけれど脱退した人がいて、今はサポートに入ってもらっているとか、ギタリストがちょっとやんちゃやったりとか、ドラマーとベーシストがすごく真面目なところ。それと、ボーカリストはソングライターを兼ねてバンドのアレンジの部分を担っているところとか、かぶることが多くて、一緒に音を出したらこうなるよねっていうのがすごく見えたんです。
── 全国流通盤にはライブ会場限定盤にも収録されている『リトルダンサー』と『退屈な僕と小さなギター』の他に、新曲の『ハレルヤ』と『GO JOHNNY GO』が入りますけど、まだCDを聴いていないここにいるみなさんにどんな曲か教えてもらえますか。
岩崎:『ハレルヤ』はアイリッシュ・トラッドっぽい感じの曲で、『GO JOHNNY GO』は作ったきっかけがあるんだよね。
渡會:漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の第6巻だったかな。ジョニィとジャイロという2人の主人公が出てくるんです。そのジャイロが何かに付けて、「GO! ジョニィ! GO!」って叫ぶシーンがあって、チャック・ベリーの『Johnny B. Goode』にかけてるんだろうなって思いますけど、それがすごく好きで「GO! ジョニィ! GO!」と叫ぶ曲を作りたいというだけの動機で作って。この曲を聴いて頂いたら、レコーディングの風景まで想像出来て面白いんじゃないかなって曲に仕上がっています。
── 『GO JOHNNY GO』はハンズクラップとストンプを用いた一発録音だったそうですが。
渡會:メンバーが7人いるにも関わらず、『GO JOHNNY GO』は楽器がギター1本だけで、あとはマイクを立てて全員が靴を手に持って床をドンドン鳴らして、その後ハンズクラップを録っているんです。『ハレルヤ』は曲を僕が作って、歌詞を2人で作ろうと練習のために入ったスタジオの休憩時間に慧ちゃんと話をしていたら慧ちゃんはネタを出すのが恐ろしく早くて、あっという間に慧ちゃんのパートが出来上がりました。面白い作業でしたよ。
── 『ハレルヤ』はお酒を想像させるワードがたくさん出てきますよね。お酒好きのお2人を表しているようでもありましたが。
渡會:元ネタとしては、前にどこかで慧ちゃんに会った時に、ポケットにブラックニッカの小瓶が入っているのを見て、これを歌にしたいと思い、「whisky in my pocket」という歌詞から書き始めたんです。そのデモの第一稿を響ちゃんに送ったら「曲はすごく良いですけど、歌詞が…」って(笑)。もともと福岡のラジオの方から、CMに使う曲を探しているという話から作り始めた曲でもあって、そのCMがエコをテーマにしたものだったので、お酒はあんまり関係ないんじゃないかなって。
岩崎:でも、電気やガスで体を温めるんじゃなくて、お酒で体を温めるなんてエコですよね。
渡會:そうなんですよ。みなさんもこの冬はお酒で体を温めてください(笑)。
岩崎:ワイルドターキーをポケットに入れ、ちょいちょい飲みながら1日で疲れ切った魂に火を灯そうという曲なんです。
渡會:今の説明で曲を聴いたら、言っていたことがわかってもらえると思う。
岩崎:電気じゃない、ガスじゃない、お酒なんだ! って(笑)。
活動歴を重ねるにつれて代表曲が出来ている
── さらに今作には、10月24日に下北沢CLUB251で行なわれたライブでお互いがカバーした、『バンドマン』と『LOVE』が収録されています。どちらも両バンドの代表曲中の代表曲という感じがしましたが、なぜこの2曲を選んだんですか?
渡會:これはセカイイチとFoZZtoneのブレインである吉澤響ちゃんが…。
岩崎:ちょいちょい出てきますね(笑)。
渡會:響ちゃんは素晴らしい人ですよね。しっかりしてるし、ドラムもかっこいいし、良いとこばっかりじゃないか! っていつも思うんですよ。
岩崎:いやー、それが全部ではないんです。この表情伝えたいですよね(笑)。
渡會:そこの言及は置いておいて(笑)。響ちゃんが、「お互い晩年に代表曲が出来てる」って言っていて。「晩年って…!?」って思ったけど(苦笑)。
── まだ晩年ではないですよね(苦笑)。
渡會:活動を重ねて代表曲が出来ているというのは成長が止まってないってことだから、カバーをやるならなるべく最近の曲を選ぼうと。それなら『LOVE』と『バンドマン』だねって。
── お互いのアレンジを聴いていかがでしたか?
岩崎+渡會:いやー。素晴らしかったですよ。
── ハモりましたね(笑)。
渡會:セカイイチがカバーしてくれた『LOVE』は特にベースのキャノン(菅野信昭:Ba)と僕が好きなので、リハやライブのセッティングの時に同期でドンドンパンのリズムが流れてくると、セカイイチのカバーバージョンで弾き出すというのをやってます。それは2人の中でマストになってます。
岩崎:僕たちの『バンドマン』はフォーキーで、もうこれしかないでしょっていうアレンジだったと思うんです。それで完結してしまってるものだから、FoZZtoneがどうアレンジして来るのかなと思ったら、まさかのビートパターンから変えていて、武並さんのビートも、キャノンも、わっちも竹尾も、みんなすごくて、リハーサルや本番を見ていたら、白い龍が絡み合って天に召されてる感じが見えたんです。すごいものを見ているんじゃないかという気分になりましたね。
── 竹尾さんの弾きまくるギターも、すごかったですね。
岩崎:その話しちゃいますか。
渡會:彼はちょっと原曲に対するリスペクトが足りないんじゃないかと思いましたね(苦笑)。
岩崎:竹尾だけ、我が我がが出ていましたよね(笑)。
渡會:でも、竹尾なしの状態でまとまっていてもFoZZtoneらしさが足りなかったのかなとも思いますけど、FoZZtoneらしさを竹尾に委ねてしまったというのはこの作品の中で唯一反省するところではありますね。
岩崎:いやいや。それはまた後日しましょう。
── この場に竹尾さんはいらっしゃいませんけど、本人には今の話は内緒にしたほうが良さそうですね。
渡會:いや、たぶん本人も「俺やりすぎたかなー」って自覚していると思います(笑)。
岩崎:でも、竹尾がFoZZtoneの良いスパイスになっていると思うから、あれをやってくれたのは僕は嬉しかったです。
── それにしても良い作品が出来ましたよね。
渡會:このCDは7人の顔がはっきり出ていて、バンドっぽいなって思うんです。面白いと思うので、ご期待ください。
岩崎:ご期待ください。