かねてから交流の深いセカイイチとFoZZtoneが、7人編成のバンド「セカイイチとFoZZtone」を結成した。彼らによる共同音源『バンドマンは愛を叫ぶ』が2013年秋にライブハウス限定でリリースされ、予想を上回る反響を受けて1月15日に全国流通盤がリリースされることとなった。2013年に活動歴10年を迎え、様々な体験を繰り返しながら経験値を積んだ両バンドが、絶好のタイミングで混ざり合い、絶妙な化学反応を起こしている今作は、ライブ会場限定盤に収録された『リトルダンサー』と『退屈な僕と小さなギター』の2曲の他に、新曲が2曲、そしてお互いのカバーを含む全6曲を収録。
こちらのインタビューは、12月19日にNaked Loftにて"Rooftop presents セカイイチとFoZZtone「バンドマンは飲みながら愛を叫ぶ」"で、両バンドのボーカル&ギターの岩崎 慧さんと渡會将士さんを迎えて行なった公開インタビューをまとめたもの。CDの中だけでなく、トークでもお2人の息はぴったりと合い、この「キャリア10年の新人バンド」が今後さらに進化しながらライブハウス界隈を揺るがす存在になるのではないかと感じた。
そして、この場を借りて、当日は足元が悪いにも関わらず、Naked Loftに足を運んでくださった皆さまありがとうございました。(interview:やまだともこ)
10年の歴史を振り返る
── 2013年でバンドを結成して10年を迎えたわけですけど、まずはこの10年の道のりからお話を聞かせてください。
岩崎:僕は17歳ぐらいの時に弾き語りをやっていて、みんなバンドで出演している中ライブハウスに弾き語りで出ていたんです。そこで知り合ったのが今のメンバーで、良いプレイしますなって人から順番に声をかけていって。中内くん(中内正之:Gt)は当時ベースを弾いていて、その時にいたベースが辞めたタイミングだったので、彼をベースで引き込もうって響ちゃん(吉澤響:Dr)と言っていたんですけど、なんと彼が「ギターで入りたい」という謎のトンチを効かせてきまして。それで、3ピースだったセカイイチは中内くんがギターで加入したことで4ピースに生まれ変わり、そこからスタートしたんです。その後ベースが辞めて、この間辞めてしまいましたけど泉健太郎が加入し、メジャーデビューをきっかけに上京して、いろんなバンドと知り合い、今に至ります。
渡會:後半軽いですね。
岩崎:このペースで話したら終わらないですからね(苦笑)。
渡會:FoZZtoneは前身バンドが出来たのが12年ぐらい前で、お互いバンドをやりたいと言ってるらしいと、友人を介して竹尾(竹尾典明:Gt)と僕が知り合って、あとはメンバー募集をして、最初はベーシストが女の子だったんです。
岩崎:うちも女の子がベーシストだった!! またここに共通点が!
渡會:ドラマーは、竹尾の友達のデスメタルドラマーで、常にスタジオにツーバスのキックを持ってきていて。
岩崎:竹尾のプレイは前身のメタルバンドから来てるんですか?
渡會:もちろん。彼は上京してデスメタルバンドのサイドギターとして加入して。竹尾以外のメンバーは全員入れ墨だらけでしたね。
岩崎:水が合わへんかったやろうね。
渡會:それが、彼はデスメタルバンドで頑張りたいって思っていた節があったらしく、股をいかに開いたら美しいフォームがとれて、ダウンピッキングはBPMいくつ以上でやるべきかという研究をしていたらしく、その時の竹尾くんは右手だけすごく太かったですね。その後、女の子のベーシストとデスメタルドラマーが付き合い始めてバンドを抜けて、メンバー募集で今の形になりました。10周年とは言ってますけど、最初はスタジオに入ってお酒を飲みに行って、お好み焼き食べての繰り返しで。気が付いたらメジャーデビューをさせて頂いて。ほんとに良かったなって思います。
岩崎:やっぱり後半の話はフワッてなりますよね。
渡會:このペースで話したら終わらないですから(笑)。
10年の活動の中で起こったピンチとは
── この10年バンド活動をしていて、これは辛かったという思い出はありますか?
渡會:うちは今インディーズなんですけど、EMIと当時としては破格の3年契約をさせて頂いて、任期満了でEMIを離れてインディーズに戻った時が一番ピンチというか、これはやばいんじゃないかなって思いました。でも、その後、オーダーメイドアルバムという企画だったり、ライブ中に撮影録音OKにしたりとか、新しいことをやり始めた結果、ありがたいことにメジャーを離れて以降お客さんが増えているんです。珍しいケースだとはよく言われますね。逆境はありましたけど、なんとか乗り越えてここまで生きてまいりました。みなさんありがとうございます。
会場:(拍手)
岩崎:僕は言えない話も含めていっぱいありますけど…悲惨なことがたくさんあったんです。でも、それを話してしまうと、途端にこの会場の良いムードが一変してしまうので…。
渡會:ホントに凄まじいですよ。お酒が入って、慧ちゃんに何度か凄まじい話を聞きましたけど、まあ、乗り越えてんなって思います(笑)。
岩崎:まぁ、それは置いといて…。ちょっとしたピンチの話をしてもいいですか。
── どうぞ。
岩崎:北海道に初めてツアーに行った時のことなんですけど、バンドのツアーって、ライブやって移動日があってまたライブすることが多いじゃないですか。ライブ何連チャンの間の日だったんですけど、初めて行った北海道で雪がすごく深くて、雪国の歩き方ってあるんですよね。僕たちみんな関西出身だから、それを誰も知らなくて、歩いているとすぐにツルン! パーン! ってコケてたんですよ。でもベースの泉くんだけは1回もコケてなくて。
渡會:下半身が安定してますね。
岩崎:「すごいやろ!」ってえらい自慢されて、内心は早よコケろって思ってたんです。それで、ライブが終わってみんなで飲んで、けっこう良い感じに酔っぱらってホテルに戻る時に健太郎がツルーンって滑って、「ウギャー!」って声が聞こえたんです。それで振り返ったら、「痛い痛い」ってずっと左手首を押さえていて、最初は僕たちはめっちゃ笑ってたんですけど、翌日病院に行ったらヒビが入ってるって診断されて。ライブが飛びかけたというピンチはありました。
── 飛びかけた、ということは?
岩崎:弾かせました。俺ら新人やでって。やってくれって。
渡會:酔って転んでヒビが入ったからライブ飛ばしたって、新人にしては肝が据わってるじゃないかって言われますよ。
岩崎:だから、痛み止めを打ってやってもらいました。
渡會:10年やると命の危機はありますよね。
── FoZZtoneもあったんですか?
渡會:うちは北海道だったら、ブラックアイスバーンで機材車がツルンと行ったことがありますね。高速から降りる坂道で運転していたマネージャーが、急に「あぁ!」って声をあげるので見たらすでに車が回転していて、そのまま横の壁にぶつかったんです。その時僕は後部座席の右側に座っていて、これは後ろから追突されると思って窓を見たら、現地の方々は僕たちの車が滑った瞬間に既にブレーキを上手に踏んで、遥か後方で止まってくれていて。以来マネージャーには北海道で運転させるなというお達しが出ました。
岩崎:我々は一度浜名湖の上でバーストしたことがありますね。マネージャーが運転してたんですけど、鬼の形相でハンドル握っていて、車が止まって初めて発煙筒を焚きました。
渡會:バーストって、タイヤの皮が剥けてホイールの所に当たるから走ってると急に謎の音がし始めるんですよ。その時に急ブレーキをかけると大事故になるので、バーストしたら急ブレーキを踏まずに、ゆっくりブレーキをかけて路肩に寄せる。そして発煙筒を。発煙筒はこの時に使うのか! って思うよね。
岩崎:我こそが発煙筒を! 我が王者なり! っていう気分になるよ。
渡會:バースト経験ある方いますか?
岩崎:いないよね(笑)。
── みなさん車移動が多いから危ない経験もありますよね。大事故にならなくて良かったです。