12/18(水)にDVD&Blu-rayが発売される西村喜廣監督の『ZOMBIE TV』と、1/25(土)より新宿バルト9ほか全国公開される井口昇監督の『ヌイグルマーZ』。『恋する幼虫』以降、10年に渡り創作を共にしてきた両監督によるゾンビ対談!!
12/7(土)Naked Loftでは、『ZOMBIE TV』NIGHTも開催決定!(聞き手:宮武孝至、齋藤航 文:小柳元 / Naked Loft)
日本のゾンビ、海外のZOMBIE!
——『ヌイグルマーZ』と『ZOMBIE TV』ということで、今回はゾンビ対談なんですが。
西村:最近ゾンビは人気あるんですか?
井口:世間的に言うとすごく人気がある気がします。僕が感じるのは、単に日本だとゲームの影響もあると思うんですけど、若い女の子にも認知されてきているんです。ゾンビ物っていうといわゆるボンクラな男の人しか見てなかったじゃないですか。外国の映画祭とか行くとゾンビ食傷気味になってるらしいですね。ゾンビ物は多過ぎて逆に排除されるような形になってきてる。
西村:そうなんですか?
井口:ゾンビって言っても変化球じゃないと、いわゆるワーと襲ってきて頭食べたりするのは「もうみんな観たよ」と。そういう感じに外国ではなってきているらしいです。
西村:『ABC・オブ・デス2』で、『へんげ』の大畑監督がゾンビ物をやるんですけど、アメリカ側のプロデューサーから、ゾンビが集団でワーって襲ってくる「ゾンビアタックはもう見飽きたからいい」って言われて結局カットしちゃったんだけど。やっぱりそういうのあるんだ。
井口:そう。その温度差はあって、今ようやく日本は国民的にゾンビを許容するようになってきたけど、他の国ではもうお腹いっぱいっていう感じみたいですね。違うゾンビを見てみたいっていう感じ。
西村:でも、『ヌイグルマーZ』は違うゾンビですからね。
井口:そうですね。阿波踊りですからね。
西村:踊ってますからね(笑)。
井口:でも僕もゾンビ物を何本か撮らせて頂いて、正直ノーマルゾンビはもういいかなって思ってるんです。今回も銃を撃つゾンビと、人生を説教するゾンビと、阿波踊りゾンビっていうのがあって(笑)。原作でもオーケンさんが『死霊の盆踊り』をかけたシーンを書いてるんですけど、それを映像化するとどうしても阿波踊りを踊らせた方がいいかと思って。あと、日本ぽいゾンビ! 各国の個性を見たがると思うんですよね。
西村:そうなんだよね。
『ZOMBIE TV』3監督それぞれのゾンビ感!
井口:『ZOMBIE TV』は監督も3人いると、西村さん、元童貞だった田代君、女性の幕野さん、それぞれのゾンビ感ってこんなに違うんだと思って、そこがおもしろかったですね。
西村:田代のは面白いんだけど、ほんとに童貞感丸出しじゃないですか?
井口:おっぱい触れるならゾンビに噛まれてもいいっていう(笑)。あれは僕も童貞歴がすごく長かったんで、死んでもいいからおっぱい触れたらいいかなって思えてくるんですよ。そういう意味では切実だと思いますね。最近プラスワンで結婚式を挙げたばかりなのにそういう感じは貴重ですよ。あと何年続くのか見てみたいなって思いましたね(笑)。
——『ZOMBIE TV』ってどういうところから企画が出たんですか?
西村:ポニーキャニオンのプロデューサーから、ゾンビHOWTOみたいな「ゾンビに襲われたらどう逃げるか、どういう攻撃してくるかっていうのをやりたいんですけど」って言われて、考えたらああなっちゃった。昔深夜放送で『ウソップランド』とかあったじゃないですか? スネークマンショーみたいな。これを狙いたいって思ってやったのが『ZOMBIE TV』。
井口:そういう意味では懐かしさもありましたね。昔こういうの深夜番組でもやってたなーって。ああいう毒のある物をテレビ番組風にやるっていう。
西村:80年代にやってたやつをゾンビネタでやってみようかなっていうのがあって、それでゾンビの神様っていうのがあるんですけど、最初僕が考えたのはゾンビのキリストっていうやつだったんですけど、キリストはちょっとヤバイからやめてくれって言われて、じゃぁ、神様ならいいですかって言って、なんかゾンビの神様って聞いたことあるなーと思って、それでトイレの神様のゾンビバージョンになったんですよ。
井口:あのエピソードは女性が撮ってるだけあって女性映画になってますよね。鳥居みゆきさんが普通のOLとして出てくるのが逆にインパクトを感じて、普通の芝居も出来るんだ〜と思って結構びっくりしましたね。
女性化する井口監督!?
西村:女性映画って言ったら、井口さん最近本当に女性映画になっていますよね(笑)。
井口:そう。なんか自分の中の女性っぽさが強くなってきていて。
西村:それじゃあ子供出来ないんじゃないの?
井口:今、それが深刻な悩みになってきていて(笑)。夫婦の関係がダブルお母さんみたいな感じなんです(笑)。レズカップルみたいな感じ。おっぱいもちょっと前よりデカくなってきているんですよ(笑)。だから自分のDNAにまかせて映画を撮ってるとこういう感じになるんだなと思って、マトリックスの監督も女子になったじゃないですか。あの気持すごくよくわかる(笑)。似合うんだったら女装してもいいかなと思っているんだけど、似合わないって分かってるから女装してないだけなんです。
西村:『ヌイグルマーZ』も女性向けですよね。言ってみればずっと女性にも向けて作ってたんですけどね。
井口:そうそう。だから、ずっと僕はホラーとかアクションとかがデートムービーに進化していけばいいなと思って、それをずっと連呼し続けてたんですけど「そんな事あるわけないじゃないかこのクソ馬鹿トボケ!」みたいな事を言われ続けて、それでも10年続けているとあら不思議、段々女性のお客さんが少しずつ増えてきているんですよ。
西村:それは井口さんがデートムービーだ、デートムービーだって唱え続けてきた成果だと思いますけど。あと出てもいいっていう女優さんが増えてきているんですよね?
井口:そうですね。10年前はしょこたんが出てくれるなんて夢にも思わなかった。