──あと「スコア」にはギターで名越由貴夫さんが参加してますが、名越さんのギターと上田さんのベースってある意味最強コンビですよね。

留美　私にとっても名越さんは憧れの人だったので、今回参加してくれてすごく嬉しかった。

上田　「スコア」のサウンドはオランダのBENNY SINGSの要素も入っていて、そのオマージュ的な音作りをやっています。

──音数が少ないぶん、その配置が絶妙だなって思いました。

上田　バンドって3人でもやるものだし、もともとを思い出してよ、と。今のチャートものに対するアンチテーゼみたいな所もあるんです。セッション的な部分もありながら決める所はきちっと決める。それを言ってすぐに表現してくれるメンバーが集まってくれたので、それは感謝してますね。

留美　みなさんの経験とか人生の空気感まで録れてる気がして、わーすごいなと恐縮しました。

上田　まあ俺のアコギの所はいろいろあったけど。

留美　ああ、「for you」の時（笑）。

上田　全然弾けなくて。缶ビール5、6本空けてから、ちょっと俺のペースにさせてくれと。

留美　こんなんで弾けるのかなって思ったんですが…、最高の演奏でした。信用してなかったら飲んでる間とかそんなに待てないと思うんだけど、絶対いいものができると信じて待ちました。そこもまた自分が大人になってよかったなと（笑）。

──アコギ一本の「for you」同様、ピアノだけの「ランプ」もまたすごくいいですね。

上田　「ランプ」は高野勲のピアニスト人生の中で一番いいんじゃない？（笑）

留美　もう、素晴らしかった！

上田　ピアノ一本をバックに留美ちゃんが歌うのを聴きたかったというのがあって、だったら「ランプ」か「for you」だなと思ったんだけど、「for you」はフォーキーなギターがよかったんで、じゃあ「ランプ」はピアノだなと。

──「ランプ」は上田さんの曲のカバーなので、『楽しい追憶』に入っている原曲と聴き比べるとまた違った印象になりますね。

上田　『楽しい追憶』と『ルミネッセンス』は何曲ダブってるんだっけ？

留美　「君はライダー」「ランプ」「samida-rain」「乱れてロンリー」かな。

──「君はライダー」は最後の曲ですが、余韻を残す終わり方が最後に相応しい曲だなって思いました。

上田　あの音は松岡モトキさん（ex.BL.WALTZ）が考えて持ってきてくれたギターとアンプで。

留美　今まで見たこともないギターとアンプだった。

──ギターのフィードバックで終わるのが耳に残ります。

上田　そのままでいたいけど、どうしようもないという現実があの不協和音なんですよね。連れてって欲しいけど連れて行ってくれない。

留美　ライブでは弾き語りで歌うんですけど、終わった後「いい曲だね」ってよく言われます。

上田　俺も言われる。この曲しか言われないんだけど（笑）。

──これも留美さんと上田さんの両バージョンを聴き比べるとさらに楽しめますね。

上田　両方聴いて欲しいですね。こういう形で2枚のCDが出るっていうのは珍しいよね。作ってみて思ったんだけど。

──先日留美さんは20年振りにテレビ（「一番ソングSHOW」）にも出て「39歳を締めくくる最高の思い出(笑)」と仰ってましたが、この『ルミネッセンス』も留美さんの3部作として、また30代の最後を飾る作品として素晴らしいものになりましたね。

留美　人生折り返し地点なんで、これからはゆっくり生きていこうかなと。これまで生き急ぎ過ぎたので（笑）。

──アルバム発売記念のライブも上田さんと一緒にやるんですね。

留美　このアルバム曲をバンドでやるのは初めてなのですごい楽しみです！

──しかもライブの日は留美さんの誕生日でもある11月6日ですね。留美さんは40歳ブレイク説を唱えてますが、いよいよということで。

上田　以前「Colors of Life」という映画があって、そこに主演したのが増子直純、山中さわお、宍戸留美なんだけど、それが順番にブレイクしていくという説があるんだよね。

留美　次は私だっていう（笑）。でも何をもってブレイクなのか私にもわからなくて。

上田　武道館！

留美　ああ。でも武道館をやるような活動を全くしてきてないので…。でもちょっとだけ願ってきたことがあって、アニメファンや子供達に私が歌っているということをリンクさせたいんです。最近は地方に行くと十代の子とか来てくれて、やっと繋がってきたなと。

──今まで繋がってなかったんですか？

留美　そう。逆に声優をやってきたことを最近知ったアイドルファンの方もいて、もうちょっとリンクしたいですね。